「殺せんせー」暗殺すると生徒は犯罪者?弁護士にマジメに聞いてみた!

2016年11月4日 14:11

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記事提供元:キャラペディア

弁護士先生に聞いてみたシリーズ

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 大人気アニメ『暗殺教室』。「椚ヶ丘中学校」の成績・素行不良者を集めた3年E組の生徒たちに、政府から謎の生物「殺せんせー」の殺害依頼が舞い込みます。その報酬はなんと成功報酬100億円。様々な手段で、担任となった「殺せんせー」暗殺を試みる生徒たちですが、なかなか思うようにはいかず・・・。

 そんな『暗殺教室』について、改めて法律の面から専門家の意見を交えて考えてみようと思います。今回『暗殺教室』の殺人について教えて頂いたのは、アディーレ法律事務所の岩沙好幸先生です。

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 --記者

 そもそも「自分を殺してくれ」と言われて殺す行為はどのような罪になるのでしょうか?

 --岩沙先生

 被殺者から依頼されてこれを殺害すると、嘱託殺人罪が成立します。6か月以上7年以下の懲役又は禁錮に処されます。

 --記者

 生徒たちは、成功報酬「100億円」で政府から暗殺を依頼されていますが、殺人を依頼する事がそもそも罪になるのではないでしょうか?政府からの指示(法令)となると、また違った見解になるのでしょうか?

 --岩沙先生

 誰かに殺人を依頼し実際に殺人が起きた場合は、実行役には殺人罪が成立し、依頼した者にも殺人罪の共謀共同正犯が成立します。

 もっとも、政府が法律に基づき殺人を指示した場合は、殺人は法令にもとづく正当行為となり、実行役も違法性がなくなり犯罪は成立しません。『暗殺教室』では、政府が「報酬100億円」で殺せんせーの殺害を依頼しているので、この指示が法律に基づく限り、殺せんせーを殺害しても犯罪は成立しないと思われます。

 --記者

 本作の場合、生徒たちは学校の授業として「暗殺」をおこなっています。この場合、子供たちは罪に問われるのでしょうか?(一種の洗脳状態と言える?その場合、学校の責任は?)また、銃やナイフ、爆薬などを子供たちに持たせる行為は犯罪になりませんか?

 --岩沙先生

 形式的には、殺人罪、殺人予備罪や凶器準備集合罪などの成立が考えられます。また、銃やナイフを所持すると銃刀法違反が、爆薬を所持すると火薬類取締法違反や爆発物取締罰則違反が問題となります。しかし、先ほども述べた通り、政府からの指示で所持しているのであれば、正当な行為なので犯罪は成立しないでしょう。銃刀法でも、法令に基づき職務のために銃やナイフを所持することは認められています。

 --記者

 また、どう見ても人間には見えない対象を殺したとして、それは殺人罪になるのでしょうか?

 --岩沙先生

 殺人罪は「人」を殺した場合に成立するものですので、「人」以外を殺しても同罪は成立しません。殺せんせーを人ではなく物だとみなしたとして、器物破損罪が成立しそうに思われますが、「他人の物」でもないのでこれも成立しないでしょう。

 それでは、動物愛護法ではどうでしょうか。この法律では「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。」とされています。しかし、愛護動物とは、馬、犬、猫など人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものと定められており、殺せんせーはこれにあたらないため、動物愛護法上も、殺せんせーを殺しても罰することは出来ないと思われます。
 というワケで、今回は暗殺教室について、弁護士の岩沙好幸先生に色々とお話を伺いました。『暗殺教室』における生徒による殺せんせーの暗殺行為は、政府からの正式な依頼である以上、生徒たちが罪に問われる事は無さそうです。

■取材協力


 岩沙好幸(いわさよしゆき)弁護士(東京弁護士会所属)
 弁護士法人アディーレ法律事務所

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