トヨタ・パッソが好調でダイハツ・ブーンが目標半分の理由は?

2016年8月16日 12:24

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記事提供元:Auto World News

トヨタ・パッソ (トヨタ自動車)

トヨタ・パッソ (トヨタ自動車)[写真拡大]

 2016年4月にフルモデルチェンジされたトヨタ・パッソが売れている。

 フルモデルチェンジ前のモデル末期でも毎月4千台を販売する人気車種であったパッソ。モデルチェンジ後は販売台数が倍増し、「プリウス」「アクア」「シエンタ」という全チャネル扱いの大ヒット車種に次ぐ台数を記録している。取り扱うカローラ店では、主力車のカローラを凌ぐ台数だ。

 人気のハイブリッドでもなく、価格も思ったほど安くはない非力なリッターカーのパッソは、何故これほど人気があるのだろうか?ここではその理由は置いといて、パッソと姉妹車のダイハツ・ブーンの話をしてみよう。

■パッソは目標の倍、ブーンは半分の謎


 トヨタ・パッソとダイハツ・ブーンの関係を見てみると、不思議な数字が見えてくる。2016年4月に発売されたパッソはダイハツが製造し、トヨタにはOEM供給されている。したがってダイハツのブーンがベース車両である。姉妹車種であるから、フロントのデザインが多少差別化されている以外はほぼ同じ車だ。

 もちろん販売力が違うのでトヨタに供給する台数の方が圧倒的に多い。月間目標販売台数はパッソが5千台、ブーンが1千台というのも納得がいく。

 販売が本格化した6月の販売台数を見ると、パッソが8,278台と目標を大幅に上回ったのに対して、ブーンは467台と、なんと目標の半分にも届いていないのだ。トヨタからの無茶振りで、自社販売店向けよりも、トヨタ向け車両を多く生産せざるを得ないのかもしれない。ダイハツにとってはどちらが売れても工場の稼働率が上がれば良いのだから。しかし、あまりの比率の大きさはそんな理由では説明がつかず、目標台数の意味が無くなる。

 想像できる理由はひとつ。ダイハツの販売店に売る気がなく、メーカーも力を入れていないということになる。

■軽より軽らしい普通車はじゃま?


 言うまでも無くダイハツの主力車種は軽自動車だ。ライバルのスズキが、収益の上がらない軽自動車からの脱却を目指すのに対して、トヨタグループではスバルが普通車販売に移行して成功しているため、ダイハツは軽自動車担当メーカーでかまわないのだ。

 そのノウハウを活かしたコンパクトカー造りもダイハツの担当だが、販売には力をいれなくてもいい。ブーンを売るためには軽自動車の顧客から代替を促進することになり、主力車種の販売に影響する。促進しなくても、他社へ流出するのを食い止めるだけで十分なのだ。

 軽自動車からの乗り換え需要を狙い大成功したパッソと、軽自動車を必至に守りながらもトヨタに供給し、せっせと小銭を稼ぐダイハツ。世の中はトヨタグループを中心に回り始めているのだろうか。

※この記事はAuto World Newsから提供を受けて配信しています。

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