「JAHB net」、木造住宅の可能性を見据え、17回大会でシンポジウム開催

2016年8月13日 22:09

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記事提供元:エコノミックニュース

都内のホテルで開催された「第17回JAHB net全国大会」で行なわれたシンポジウムのパネルディスカッションの模様

都内のホテルで開催された「第17回JAHB net全国大会」で行なわれたシンポジウムのパネルディスカッションの模様[写真拡大]

 アキュラホーム代表取締役・宮沢俊哉氏が主宰する工務店ネットワーク「ジャーブネット(JAHB net)」が、17回目の全国大会を都内のホテルで開催した。この全国大会で代表の宮沢氏は、2015年度の活動報告を行ない、2016年度アキュラグループ・ジャーブネットシンポジウムのテーマとして「木造住宅の可能性と近未来の豊かな暮らし」を掲出した。

 そのテーマに基づいて大会では“シンポジウム”が行なわれ、基調講演に株式会社アルセッド建築研究所代表取締役所長の三井所清典氏が立った。

 三井所氏は冒頭、「明治以降、日本は涙ぐましいとも言える西洋化のなかで、西洋建築が絶対で最先端だと考えてきた、私も若い頃は“建築とはグローバルな構造物であり世界共通のシステムでつくるものだ”と決めつけていた。が、昭和の後期に猛反省することになった。“建物はその地域に根ざした、あるいは地域に溶け込むテイストでつくらねばならない”と思い至った。だから、日本国内の建物、いわんや日本の住宅は“和のあじわい”を尊重した旧くて新しい日本の文化を尊重した心でつくるべきだ」と述べ、このあとに続くシンポジウム~パネルディスカッションの軸ともいうべき核心を提示した。

 基調講演では三井所氏がこれまで作り上げてきた木の建物を具体的に紹介しながら、現代木造建築の歩みや木造公共建築の普及活動を示し、出席者は木造建築の流れについて理解を深めた。

 氏が主宰するアルセッド建築研究所は「建築の設計」と「まちづくり支援」さらにそのための「システムづくりや調査研究」を活動の三本柱に据えている。そのうえで建築という分野から地域貢献、社会貢献を目指し活動を行っている。

 「建物は、その性能・機能においてグローバルスタンダードであるべきだが、デザインやテイスト、空間設計などは、地域社会に根づく建築の創造を目指氏べきだ。したがって日本の建築はその気候風土に合わせて、その廻りを整えることから始め「街」を考え「都市」を考えていくことが必要。建築を構想するとき、現在ある課題を解決しながら未来に向かって数十年、数百年もの長期にわたり、その地で期待される建築の役割を全うすることをも想定。建築は地域に依拠するもの」とも三井所氏。

 その後のパネルディスカッションには芝浦工業大学教授で株式会社マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所主宰の原田真宏氏、岐阜県立森林文化アカデミー客員教授でMOK-MSD主宰の三澤文子氏、明星大学デザイン部講師でブルースタジオ執行役員の石井健氏、アキュラホーム「AQレジデンス瀬田展示場」設計監理者で海建築設計研究所の中野海太郎氏が参加。それぞれ、これまでの作品を紹介しながら“これからの木の住宅”について語った。

 参加者に一致していたのは、“木造住宅建設は、サスティナブルとリレーションシップ”、つまり“木を巡る営みを、山から都市(住宅)につなげる”行為だということだった。

 このなかで印象的だったのは、「海外の建築家が自国以外の地域で建築設計を実施するとき、その地域の気候風土を学び、周囲の街並みを研究し、地域の人たちが見て“違和感のない建築”を心がける。日本人建築家もこうした姿勢を学ぶべきで、“和を理解する心”で建てる住宅をつくるべきだろう。そうして建てた建築は、日本人の眼に違和感がなく、外国の人の眼に新鮮に映る」とした三井所氏の言葉だった。(編集担当:吉田恒)

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