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NYの視点:イエレンFRB議長のイージーマネースピーチ
*07:23JST NYの視点:イエレンFRB議長のイージーマネースピーチ
市場関係者は、米国の利上げの軌道を確認するため米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演に注目していた。「6月の利上げの基盤をつくるのでは」との憶測もあった3月連邦公開市場委員会(FOMC)では「世界経済や金融市場の展開は依然リスクとなる」との文言が声明に加えられ、スタッフの金利見通しが下方修正されるなど、予想外にハト派に傾斜した。その後、17メンバーの半数近くが4月の利上げの可能性や金利軌道に変更はないと再確認したため、米国の金融政策に関する不透明感が広がった。
FRBが警告なくハト派に転じた3月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明を相殺するために、イエレン議長の講演でタカ派的な発言を予想していたアナリストもいた。しかし、イエレン議長はNY講演で、3月FOMCを受けた市場の反応に「満足している」とし、3月FOMC後、利上げ先送りを織り込んだドル安や株高の動きを支持した。イエレンFRB議長の意図が「ドル安やリスク資産市場を押し上げることにある」ともとれる。
議長は3月のハト派FOMCに続き、1)米国経済の強さよりも世界経済の弱さによる見通しリスク上昇への懸念を再確認。また、2)利上げへの慎重な姿勢に関しても、「特に正当化される(ESPECIALLY WARRANTED)」と「特に」が加えられた。3)利上げペースでも「Gradual(緩やか)」から「Greater gradualism(最大の漸進主義で)」と、一段と慎重な姿勢が必要であることを強調した。また、4)今回の講演内容には「normalization(正常化)」の文言は全く使用されなかった。5)利上げの軌道に関しても「不透明である」と他のメンバーのように「各会合で利上げが選択肢となる、4月利上げの可能性」には触れず、一段とハト派色を強めた。
インフレはいずれ目標値に向けて上昇すると見ており、6)コアインフレも12月から上昇したものの、持続的な上昇と言及するには時期尚早との見方。ドル高が今後も消費者物価指数(CPI)を抑制するとの見通しを示した。7)インフレ期待が低下した可能性や、最大雇用に近いとの見解を示しながらも、8)労働市場のたるみが存続していることに触れた。
見通しで、12月時点から大幅な変化は見られない。このため、一部市場関係者からは「12月の利上げ判断が間違いだった」との思惑も浮上。あるいは、イエレンFRB議長と一部連銀総裁、他の連銀総裁との間で意見の対立が生まれているとの憶測も浮上している。米国金利先物市場では4月の利上げ確率がイエレンFRB議長の講演前の5%前後から2%まで低下。6月の利上げ確率は38%から27.5%へ低下した。ただ、低金利の資金が今後当面、可能になるとの見方から金融市場や新興市場通貨は大幅に上昇した。《NO》
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