【忠田公夫の経済&マーケット展望】米利上げ前の2004年と酷似だが、異なるのは「中国経済不安」

2015年8月10日 10:19

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 6月8日付けの当欄で『気になるのはNYダウの動向だ。2004年当時は6月利上げの4か月前の2月に高値をつけた後、調整に移行した。今回、仮に9月利上げになるようなら、4か月前の5月19日につけた1万8312ドル(終値)が当面の高値だった可能性が浮上してくると、NYダウを取り巻く状況が2004年の最初の利上げに向かう局面と大変よく似ている』ことを指摘した。

 8月5日に発表されたISM非製造業景気指数は60.3ptと、サービス業などを中心に10年ぶりの堅調を示している。なかでも新規受注指数63.8pt、雇用指数も59.6ptと共に前月に比べ5pt以上も上昇している。

また、同7日に発表された7月の雇用統計の内容も順調で、5月と6月の雇用者数の伸びが上方修正されており、9月4日に発表される8月の雇用統計が大きく下振れしなければ、9月16、17日のFOMCで利上げに進む可能性が高まってきた、と言えそうだ。

 米国が金融緩和局面から最初の利上げに向かうという点では、現在は04年当時と類似性が認められ、NYダウが下落するなかで、ドルが堅調(円は軟調)に推移し、つれて、日経平均もNYダウの高値時点より2か月余り上値を試しつつある動きも、当時と実によく似ている。

 04年当時と相違が認められるとすれば、足元で中国リスクが拡大している点だろう。このほど明らかにされた7月の貿易統計によると、米ドルベースの輸出と輸入を合わせた貿易額は前年同月比8.2%減少し、5か月連続で前年レベルを下回っているのだ。国内景気の減速で輸入の減少に歯止めがかからないうえ、輸出も生彩を欠いている。中国政府が早期に財政支出を含む景気対策を講じなければ、世界景気が一段と減速するリスクをはらんでいる、とみる。

 当面は、ドル円の動向に気を配りながら、株式売買は機敏に行う必要がありそう。(アナリスト忠田公夫)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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