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キヤノン国内生産強化 日本製という付加価値を武器に躍進なるか
大手精密電子機器メーカーのキヤノンは1月28日、円安の影響を受け、今後の生産体制を国内重視に変更する方針を明らかにした。現在の生産金額のうち4割が国内で、6割が海外となっているが、国内生産を増やしていき、3年かけて6割まで引き上げる予定だ。[写真拡大]
大手精密電子機器メーカーのキヤノン<7751>は1月28日、円安の影響を受け、今後の生産体制を国内重視に変更する方針を明らかにした。現在の生産金額のうち4割が国内で、6割が海外となっているが、国内生産を増やしていき、3年かけて6割まで引き上げる予定だ。海外の工場についてはこれまでどおりで減産はしないとした。東京で開かれた記者会見で福社長の田中稔三氏は「国内生産の自動化を進め、コスト削減を目指す」と話した。
円安や海外の人件費上昇により、これまでコストが高くかかった国内生産が見直されるという形となった。同日発表された2014年の12月期連結決算は、純利益が2,547億円で、前年比10.5%増だった。円安を追い風に、2年連続増益という好結果を迎えた。好調だったのはオフィス関連商品の複写機など。
一方、主力のデジタルカメラはヨーロッパでの販売減が響いて不調だった。レンズ交換式カメラにおいては600万台を維持して推移しているが、コンパクトカメラの販売数は前年比32%減の903万台にとどまり、厳しい状況にある。キヤノンはこの状況を打破するために、デジタルカメラの分野で高性能製品を新たに投入し、増収を計画している。15年の12月期連結決算は3,800億円の前年比4.5%増を見込む。
円安を受け、国内生産に比重を移す動きは他のメーカーでも見られている。パナソニック<6752>は1月5日に、電子レンジなど白物家電の一部を国内で生産する方針を明らかにしている。電子レンジや電磁誘導加熱(IH)調理器具の製造は神戸市の工場で、エアコンは滋賀県で、洗濯機は静岡県で製造を行っていくとした。
国内生産のコストは依然として海外より高い状態にあるが、円安だけがメリットではない。国内生産が増加するとなればそれだけ「メードインジャパン」の出荷量が増える。日本製に対する信用の高さは世界共通の認識と言ってもいいだろう。信頼と品質の高さという付加価値のついた製品が今後、国内外でどれだけのシェアを獲得していくのか、今から楽しみだ。(編集担当:久保田雄城)
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