【特集】次世代型の微細藻類由来バイオ燃料関連(1)

2014年9月16日 16:51

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

化石燃料への依存度を低下させる代替燃料・エネルギーとして、次世代型の微細藻類由来バイオ燃料の事業化に向けた取り組みが活発化し、注目度が高まっている。

化石燃料への依存度を低下させる代替燃料・エネルギーとして、次世代型の微細藻類由来バイオ燃料の事業化に向けた取り組みが活発化し、注目度が高まっている。[写真拡大]

■食料競合が小さい非穀物系の次世代型バイオ燃料が求められ、特に微細藻類由来のバイオ燃料が世界的に注目される

 化石燃料への依存度を低下させる代替燃料・エネルギーとして、次世代型の微細藻類由来バイオ燃料の事業化に向けた取り組みが活発化し、注目度が高まっている。化石燃料への依存度を低下させることは地球環境問題への対策としてだけでなく、エネルギー資源の多様化やエネルギー自給率の向上にも繋がるため、国のエネルギー政策や安全保障政策にも関連する重要な取り組みだ。

 バイオ燃料というのは生物体(バイオマス)の持つエネルギーを活用したアルコール燃料(バイオマスエタノール燃料)や合成ガスの総称である。枯渇資源である化石燃料のガソリンに比べて出力が劣るものの、非枯渇性資源であるさまざまな動植物を利用して製造することが可能である。

 植物を原料とする場合は、現在主流となっているトウモロコシやサトウキビといった穀物系だけでなく、稲、穀物の搾りかす、藻類、サボテン、間伐材、廃材、おがくず、菜種、パーム、大豆、さらに生ゴミや廃食用油なども利用できる。そして植物由来のバイオ燃料は、植物の生育過程で光合成によって大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収するため、燃焼させてエネルギーとして利用しても大気中のCO2総量が増加しないカーボンニュートラルとみなされる。

 従来型の植物由来バイオエタノール燃料は、原油価格高騰や地球環境問題も背景として、自動車用のガソリンや軽油に一定量を混合させる方式で広く利用されている。ブラジルではバイオエタノール燃料を利用できるフレックス燃料車が普及している。米国でもバイオエタノール燃料など再生可能燃料を、自動車燃料に一定量混合することが義務付けられている。

 日本でも09年施行のエネルギー供給構造高度化法によって、電気・ガス・石油精製事業者といったエネルギー供給事業者に対して、非化石エネルギーの利用および化石燃料の有効利用促進を義務付け、石油精製事業者には17年度に原油換算50万KL/年のバイオエタノール燃料利用の達成を導入目標とした。

 しかし、現在主流のトウモロコシまたはサトウキビを原料とする従来型の穀物系バイオ燃料は、比較的安価に生産できるが、原料栽培に広大な土地やエネルギーが必要となる。そして温室効果ガス削減効果が疑問視されるとともに、世界的な穀物価格高騰の一因となったことが大きな問題点とされている。いわゆる食料競合問題である。今後も供給量を増やすために耕作地を広げることは難しいとされている。

 こうした状況も背景として、食料競合が小さい非穀物系の次世代型バイオ燃料が求められ、特に微細藻類由来のバイオ燃料が世界的に注目されている。

 微細藻類は水(水槽)さえあれば限られた土地で大量培養が可能であり、遺伝子操作を施して油脂を増やすことも可能である。そして微細藻類由来のバイオ燃料は、陸生植物由来に比べて栽培面積当たり油脂生産量が桁違いに大きく、油脂の分子構造の面でも既存石油系燃料と同様に扱えるため、理論的には既存石油系燃料から100%代替することも可能であり、自動車や航空機のエンジン改良や燃料供給インフラへの新規投資が不要という利点もある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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