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フィンランド教育の強みは、「なぜ、どうして?」という質問にある
フィンランドの教育が注目を浴びたのは経済協力開発機構(OECD)が2000 年から3年に一度実施している国際学力調査がきっかけだ。この調査はPISA(Programme for International Student Assessment)と略される国際的な調査でフィンランドはトップクラスの成績を誇っている。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決力といった分野の多くで、なかでも読解力は1位になることが多い。この小国はいったどのような教育をしているのか、その本質はあまり知られていない。
特徴的なのは、児童生徒の発言に対して、徹底的に「ミクシ?(どうして?)」と尋ねることである。知識を多様な観点から関連する様々な情報を結びつけて思考することが大切だと考えていることが根底にあるようだ。なぜ自分がそう答えたのか、改めて考えるきっかっけを与えることが重要であるとフィンランド人から聞いたことがある。
日本では質疑応答はたいてい知識の有無や事実の確認になってしまう。思い付きでの質問も多い。子供の現場だけではなく、大人のビジネスの現場でも、学会のような場でもだ。「なぜ?」と聞くと理屈っぽいと言われてしまいがちだ。
具体的に考えてみよう。「日本旅行では東京のどこがよかった?」というと生徒児童は「渋谷」「秋葉原」「東京タワー」といった答えがあるとする。先生はそれに対して「なぜ?」と質問する。生徒児童はここで試される。なぜ自分がよかったと思うことを説明できないといけない。
「渋谷を歩いている人のファッションがなんとなくよかった」と回答すると、さらなる質問が飛んでくる。「どういうところが良かったの?」という質問だ。やってみてほしい。これは結構難しい。自分は何を考えたのか、自分自身を知ることになる。自分のことを知り、相手のことを知り、結果的に考える力をつけさせているといえよう。
「なぜ、どうして?という質問の手法は思考力を養うために企業の現場、特にコマツやトヨタといった大企業で使われている。論理的な思考が苦手な日本人。知識偏重で、議論や対話も慣れていないため、政治の場面では討論、議論がかみ合っていないことが多い。日本の教育の改善の手法として、少し注目してみるのもいいかもしれない。(編集担当:久保田雄城)
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