安倍首相流の材料株の「好循環相場」が本格化するなら外国人旅行客関連株にも出番を期待=浅妻昭治

2014年1月27日 11:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  安倍晋三首相が、開会した通常国会で「好循環実現国会」と施政方針演説したその1月24日に、日経平均株価は、304円安と続急落した。しかも、そのあと取引が開始された米国市場でも、NYダウは、318ドル安と連続して大幅安となって、為替相場は、1ドル=102円台と円高に進んだ。安倍首相の施政方針演説とは真逆に、株式市場の「好循環」期待は、早くも「悪循環」懸念に変わりそうだ。

  言い出し難いのだが、今週29日に月替わりとなる2月相場は、またまた3日に月商いがスタートする実質の「2日新甫」である。「2日新甫」は荒れるとするのが、兜町のアノマリーであり、また2月相場は「節分天井、彼岸底」などという相場格言なども、根強く信じられていることから、市場全般が先々、ネガティブな及び腰になることも覚悟しなくてはならない。

  もちろん「荒れる」のは、必ずしも下ばかりでなく上に急伸することも意味している。その証拠に、一昨年の2012年以来、昨年の12月まで「2日新甫」は「3日新甫」を含めて7回あったが、この該当月の月足で判定する勝ち(上昇)、負け(下落)は、4勝3敗と勝ち越しているのである。昨年5月のバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長の量的緩和策縮小を示唆する議会証言を受けて始まった6月の「2日新甫」相場は、月中では5月高値に対して日経平均株価が、3500円安と急落したものの、月初・月末対比の月足ではしっかり陽足を示現した。

  さて今年2月の「2日新甫」相場は、どのような展開になるのか?外部環境は、アゲインストであることは否定できない。1月23日に発表された中国のPMI(製造業購買担当者景気指数)が、好不調の境目の50%を下回ったことから新興国経済への懸念が強まって新興国通貨が急落、リスク回避売りが先行して米国株価が急落、為替相場も円高に転じたからである。さらに安倍政権の原発再稼働政策に反旗を掲げた脱原発を最大の争点とする東京都知事選挙が、2月9日に投開票日を迎え、この選挙結果次第では、外国人投資家が最も嫌うといわれる政局動揺につながる恐れもなきにしもあらずとなる。新興国懸念についても1月28日~29日に開催されるFRBのFOMC(公開市場委員会)や、折から本格化する3月期決算会社の4~12月期(第3四半期、3Q)決算でどの程度カバーできるかにかかっているようである。

  ただその3Q決算も、前週末までは下方修正の任天堂 <7974> や期初予想を据え置いた安川電機 <6506> と、上方修正した日本電産 <6594> や日本航空電子工業 <6807> などとの間で明暗マチマチとなって個別物色にとどまり全般相場をリードするまでには至っていない。

  となれば、2月相場は、1月相場と同様に材料株中心のゲリラ相場が続くと想定され、それがうまくいけば安倍首相が施政方針演説でアピールしたのと同様に、材料株の「好循環相場」の展開となって個人投資家を「勝ち組投資家」として株式市場につなぎ止めてくれるかもしれないのである。1月相場では、脱原発を訴えた細川護煕元首相の東京都都知事選挙への立候補に反応して再生エネルギー関連株に連続ストップ高する銘柄が続出し、関連株は、動意付いて約2週間で賞味期限切れとなったのか、それとももう一度、東京知事選後に再人気化するのかを含めて、材料株相場で出番を迎えそうな候補セクターは目白押しである。すでにIPS関連のバイオ株、ゲーム関連株などが、動意付いて候補セクターに名乗りを上げているが、同じ内需セクターで、マークしてみたいのがちょっと地味だが、高値圏で堅調に推移している外国人旅行客関連の出遅れ株である。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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