NYの視点:FRB高官のタカ派発言が続く、弱い12月雇用統計でも見解変えず

2014年1月15日 07:01

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記事提供元:フィスコ


*07:03JST NYの視点:FRB高官のタカ派発言が続く、弱い12月雇用統計でも見解変えず

現在のところ市場予想を下振れた米12月の雇用統計を懸念する米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの意見は全く聞かれない。メンバーは14年の米国経済が依然、回復基調にあるとの見通しを崩していない。

2014年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を持たないラッカー米リッチモンド地区連銀総裁は、「米国の雇用はかなり安定して増加基調にあり、ひと月の雇用統計に過剰に反応することは賢明でない」との見解を示し、米連邦公開市場委員会(FOMC)は計画通り1月の会合で100億ドル規模のQE縮小を協議すると予想。

また、2014年度の投票権を持たないロックハート・アトランタ連銀総裁もひとつきの雇用統計に過剰に反応することに対して警告。FRBが今後もQE縮小を現在のペースで継続していく可能性を示唆した。

2014年の投票権を有するプロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁は「12月の米雇用統計を過剰に深く分析する必要ない」、「米12月の雇用統計は“労働市場の著しい回復”という規準を達成したとの見解を変更させることはない」と、やはり量的緩和第3弾(QE3)の縮小の継続を示唆。さらに可能であれば14年末までできるだけ早い時期にQEを終了することが望ましいとの見解を示した。また、QE縮小ペースを変更するバリアーは高いと指摘。フォワードガイダンスで「失業率規準を変更することは賢明でない」とした。

FRBは利上げの目安となるフォワードガイダンスで失業率規準を6.5%に設定している。しかし、失業率が適切な労働市場の状況を反映していないとの意見も多く、一部では規準引き下げの憶測もある。利上げに関しては「失業率が6.5%まで低下したのちに利上げを急ぐ必要はない」としたものの、引き締め時には積極的な引き上げが必要となる可能性も指摘した。

14年度のFOMCメンバーのフィッシャー米ダラス連銀総裁は「FRBがやっと資産購入縮小を決定した」と歓迎すると同時に、FRBが決定した100億ドルではなく規模をその倍の200億ドル規模の縮小を推奨。株式相場の調整に直面したとしてもQE縮小を支持していくと断固とした方針を示した。

米国商務省が発表した12月の小売売上高も予想を上振れ米国の10-12月の国内総生産(GDP)が押し上げられるとの期待が強い。米国商務省は10-12月期の国内総生産(GDP)速報値を1月30日に発表する。ドルの上昇予想を変更する理由は見当たらない。《KO》

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