週刊ダイヤモンド今週号より~公共施設を取り壊す! ハコモノ撤去時代の幕開け

2014年1月14日 08:00

印刷

記事提供元:フィスコ


*08:01JST 週刊ダイヤモンド今週号より~公共施設を取り壊す! ハコモノ撤去時代の幕開け
人口減などに起因する想定外の現象が日本社会を覆っています。都市部にまで広がり始めた空き家もその一つで、今やその対策は全国共通の課題となっています。しかしながら、使われぬまま放置されている建物は民家に限らず、老朽化した公共施設もまた大きな問題となっているのです。今週号の特集では、地方自治体を悩ます不要なハコモノの現状に迫っています。

まず、多くの地方自治体にとって最も頭の痛い問題となっているのが、ごみの焼却施設です。「解体したくても、できない市町村は多い」(和歌山市一般廃棄物課の担当者)といいます。背景にあるのは、費用の問題。公共施設の建設には国からの補助が認められますが、解体撤去には財政支援がありません。このため、不要となったごみ焼却施設の処理を先送りしているケースが目立ちます。

こうした状況を受け、総務省は費用面での支援策として、公共施設を取り壊すための地方債を認める方針を固めました。しかしながら、「取り壊し債」とでも言うべき特例債の創設には“ふに落ちない”点も。無尽蔵にハコモノを造ってきた自治体に対し、解体にまで借金を認めるのは甘過ぎるのではないかとの見方も示されています。

一方で、不要なハコモノ削減において、独自の方法で成果を挙げている自治体も見られます。例えば、北海道の滝川市では、老朽化した図書館を市役所内の空きフロアへと移転。移転費用は新築移転する場合の10分の1で済んだといいます。また、市役所を訪れた市民がついでに図書館に立ち寄るようになったことで、来館者数は旧図書館の約3倍へと増加しました。

不要な公共施設を大量に取り壊す時代が幕を開けた今、最も必要なものは国の財政支援ではなく、資産を最大限に生かすための自治体や住民の創意工夫であり、自助努力なのです。そして、本当に取り壊すべきなのは、国への依存を高じさせる現在の行財政システムであり、行政頼みを続ける住民の意識だと、ダイヤモンド誌では指摘しています。《NT》

関連記事