NYの視点:イエレン次期米FRB議長の哲学

2014年1月10日 07:01

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記事提供元:フィスコ


*07:01JST NYの視点:イエレン次期米FRB議長の哲学

イエレン次期FRB議長は、ウォールストリートの企業を助けるよりもメインストリート(米国経済の大部分を占める中小企業や地方経済)の経済の健全化により関心を持っていることを再確認した。正式に承認後、初めてとなる米タイムズ誌とのインタビューで明らかにした。

イエレン次期議長は1979年にカーター元大統領が選出したボルカー元議長以降はじめての民主党員で、リベラル派。改革推進派でケインズの信奉者として知られる。経済を刺激するための積極的な政府の介入・歳出を支持しているほか、ドッド・フランクの金融改革案が金融セクターを規制するのに十分ではないとの考えを持っている。

ケネディ元大統領が初めて1963年の演説で使った「A rising tide can lift allboats潮がさせばすべての船が浮かぶ」(一般経済が改善すれば経済の全参加者が恩恵を受けるとの意味での格言として度々引用される)を引き続き信じているという。

■インタビューのポイント

●米国経済
「2015年の成長ペースが加速すると予想」
「米連邦準備制度理事会(FRB)のメンバーは3%かそれ以上の成長を期待」
「回復ペースはいらいらするほど遅かったが、雇用も進展しつつあり、インフレも我々の長期の目標である2%に向けて上昇すると予想」
「住宅市場は一時低迷したものの、再び回復ペースが加速し一段と改善すると予想」

●QE
「多くの人が量的緩和(QE)が富裕層を支援すると考えているようだがそうではない」
「我々の政策目標は長期金利を引き下げること。これにより、消費などの回復で景気の回復を支援できる」
「経済の刺激策で、住宅や株式価格の上昇により住宅・株式の所有者が消費を強める。これが雇用の創出や賃金の上昇につながる」

●銀行改革
「金融市場の安定に向けて、ドッド・フランク案がロードマップとなり必要な措置を計画できる。しかし、一段の措置をとる必要がある」

●任務
「インフレに対処することや金融システムを監督することだけが任務ではない。一般人が政府の支援がなくとも独立して家計を支え、今後の不安がなくなるような労働市場を創出することを目指す」《KO》

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