新興国通貨“フラジャイル5”に明暗:ブラジルはへま、インドはカリスマ総裁の手柄?

2013年12月20日 09:40

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記事提供元:フィスコ


*09:40JST 新興国通貨“フラジャイル5”に明暗:ブラジルはへま、インドはカリスマ総裁の手柄?
“フラジャイル・ファイブ(もろい5通貨=Fragile 5)”という言葉をご存知ですか?これはモルガン・スタンレー(MS)が命名したもので、米連邦準備理事会(FRB)による量的金融緩和(QE)縮小で打撃を受けやすい5カ国の通貨を指したものです。

メンバーはブラジル、トルコ、南アフリカ、インド、インドネシアで、いずれもバーナンキFRB議長が緩和縮小のタイムラインを示した今夏に通貨が暴落した苦い経験を持っています。

さて、FRBは17-18日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、毎月850億ドルの資産購入プログラムを750億ドルに減額することを決定しました。

これを受け、インドネシア通貨ルピアは対ドルで約5年ぶりの安値を更新。インドネシア中央銀行がルピア買い介入を実施したとの観測も出ましたが、売り圧力に押された形になりました。

トルコリラは0.9%下落して1ドル=2.0781リラを付け、ドルとユーロで構成される通貨バスケットに対しては過去最低水準に沈んでいます。トルコは大きな経常赤字を抱えているほか、不安定な政治も投資資金の流出を招きやすくなっています。

ブラジルレアルは1.2%下落して1ドル=2.3550レアルまで軟化しましたが、背後には政府や中央銀行のまずい政策が挙げられます。ルセフ大統領はFOMCが決定した縮小規模が小幅だったのを受け、「ブラジルは今回の縮小決定を歓迎する」との声明を発表。また、ブラジル中央銀行は為替市場への介入規模をスケールダウンする方針を示しました。これが「悪いタイミングでの悪いシグナル」となり、ドル買い・レアル売りに拍車がかかったと分析されています。

一方、南アランドは0.2%下落、インドルピーもほぼ横ばいで推移するなど、大きな打撃は受けていません。

インドでは準備銀行(中央銀行)の“カリスマ総裁”であるラジャン氏が利上げカードを手元に残しており、資本流出に勢いがつけばすぐに追加利上げを打ち出す可能性が指摘されていました。

準備銀行はFOMC結果発表に先立つ18日、利上げ予想に反して政策金利の据え置きを決定。景気への配慮や食品価格の落ち着きを見込んだ措置との分析も出ましたが、一部では「米緩和縮小を前に利上げ余地を狭めたくない」との思惑があったとの指摘もあります。なかなかの切れ者です。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

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