新興国市場からの資本流出、前向きに捉えたい米緩和策の縮小

2013年6月14日 09:37

印刷

記事提供元:フィスコ


*09:37JST 新興国市場からの資本流出、前向きに捉えたい米緩和策の縮小
きのう13日の株式相場では日経平均株価が一時6.57%の急落、外国為替市場ではドル・円が93円78銭辺りまで下落する場面がありました。世界的に金融市場が不安定になる中、投資家のリスク回避姿勢が強まっていることが一因で、足元では外国人投資家による資金引き揚げが鮮明化しています。

新興国市場でも、端午節の連休明けの中国本土市場が急落、上海総合指数は前営業日比2.83%安の2148.36と、2012年12月13日以来の安値水準で引けました。このほか、香港ハンセン指数は2.19%安、インドSENSEX指数は1.12%安で終了しています。

新興国市場からの資金回避を促している最大の要因とみなされているのが米国での量的緩和の縮小観測。世界金融危機の発生後、米連邦準備理事会(FRB)は12兆米ドル以上の余剰資金を世界に供給しました。この恩恵を最も多く受けたのが新興国ですが、その巻き戻しによる反動が現在の金融市場に跳ね返っている格好です。

また、世界経済成長のけん引役を期待されていた中国の失速も市場に打撃を与えています。中国では社会不安を収めるために最低8%の成長を維持する必要があると言われますが、政府が目標とする成長率は7.5%。一方、アナリストらはこれが7%まで落ち込んでも政府は容認するだろうと指摘しています。

さらにゴールドマン・サックス証券(GS)は、2020年まで7年間の中国の経済成長率が年率平均で6%まで低下する可能性を指摘しました。同証券は「中国は基本的に8%成長におさらばした」と描写し、統計に表れなくても意志の面で(8%成長を)断念したと主張しています。

さて、問題は新興国市場の凋落が本格的に長引くのか。米国での量的緩和縮小については、ある意味「市場が過剰反応している」とも捉えられます。米ウォールストリート・ジャーナル(電子版、13日付)では、米連邦準備理事会(FRB)が債券購入プログラムを縮小し始める際に過剰反応しないよう、投資家を納得させようと努力してきたとのFRB当局者の話を掲載。この関係者はさらに、購入プログラムの調整が債券購入を一気に終了するという意味ではないと念を押しています。

また、FRBが量的緩和を縮小させる条件が、雇用など米国景気の十分な回復であることを考慮すれば、今後は金融危機を受けた異常な金融政策が正常に戻される過程であるはずです。米国景気が回復すれば新興国の輸出も改善するため、今後はファンダメンタルズ(基礎的要因)に基づいた足腰の強い株高にも期待できるでしょう。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

関連記事