【話題】エネルギーに明暗、「太陽光売り」の「メタンハイドレード買い」

2013年3月13日 14:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  3月12日、エネルギー関連の材料が二つ出た。一つは太陽光で発電した電気の買い取り価格を引き下げるというニュース、もう一つはメタンハイドレードの産出に成功したというニュースだ。明暗が分かれる可能性もありそうだ。

  太陽光発電の買い取り価格に関するニュースは、経済産業省が太陽光で発電した電気の買い取り価格を12年度の1キロワット当たり42円から、13年度には事業者用(10キロワット以上)を37.8円、住宅用(10キロワット未満)を38円に引き下げることを決めた模様という内容だ。企業や家庭の電気料金に上乗せされる負担も考慮して、太陽光に偏重していた再生可能エネルギーの価格政策を見直すもので、風力や地熱などは現状を据え置く模様だ。

  太陽光で発電した電気の買い取り価格42円については、全量買い取り制度がスタートした昨年の価格決定時から「高すぎる」との指摘が多く、早い段階から13年度は引き下げられる方向との見通しが強まっていた。このため昨年秋以降からは、メガソーラー事業に参入する企業が事業者としての認定を受けるための駆け込み申請が殺到していた模様である。太陽光パネルの価格が一段と下落しているため、13年度の新価格で新規申請しても利益が出る見通しとの指摘もあるようだが、駆け込み申請の反動はやはり気がかりだ。

  一方のメタンハイドレードについては政府が12日、愛知・三重県沖の海底にあるメタンハイドレードからガスの取り出しに成功したと発表した。経済産業省の委託を受けた石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEG)や産業技術総合研究所が、渥美半島から志摩半島にかけての沖合で試掘の準備を進めていたもので、水深約1000メートルの海底から約300メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレードを減圧して、水とガスに分解して回収に成功したとしている。海底で産出したのは世界初となる。

  政府は「海洋基本計画(13年度~17年度)」にメタンハイドレードの商業化を盛り込み、ガスを低コストで回収・貯蔵する技術を5年以内に開発して、23年度までに商業化を目指す模様としている。以前から新エネルギーとして注目されていたメタンハイドレードだが、漸く試掘に成功し、商業化に向けて動き出したという印象だ。

  太陽光で発電した電気の買い取り価格引き下げでは、太陽光パネルの価格下落でパネルメーカーの採算が一段と厳しくなる可能性があり、メガソーラー事業者の駆け込み申請の反動も懸念される。これに対してメタンハイドレード産出の商業化に向けては、技術やコストなどの面で課題が多く商業化は当分先になるが、明るい話題であることは確かだろう。米国のシェールガス・オイル産出も、かつては技術的に商業化が難しいとされながらも、数百種類の化学物質を混入させた水による水圧破砕などの技術革新によって、低コストでの商業生産が可能になり「シェール革命」に沸き返っている。メタンハイドレードに関しても、そうした技術革新が期待されるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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