東証1部の橋梁工事会社サクラダが破産手続きを開始、負債は26億9000万円

2012年11月28日 11:13

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 帝国データバンクは27日、東証1部上場の橋梁工事会社サクラダが、11月27日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けたと発表した。負債は2012年10月31日時点で約26億9000万円。

 帝国データバンクによると、サクラダは1895年(明治28年)11月創業、1920年(大正9年)4月に法人改組された老舗の橋梁工事業者。本四架橋3ルートのうちのひとつ、85年竣工の「大鳴門橋」や、同じく88年竣工の「北備讃瀬戸大橋」、首都圏では葛飾区の「かつしかハープ橋」など豊富な実績を有していた。

 89年の東証1部上場後、ピークとなった92年3月期には年売上高約296億9600万円を計上したが、その後の業績は長期にわたって低迷。この間、91年の広島新交通システムの高架橋設置工事での橋梁落下事故や、98年の経理担当役員による損失額100億円超のデリバティブ取引失敗の発覚など不祥事も重なっていた。このため、金融機関に対し債権放棄を要請する一方で、企業買収や事業再生投資事業に進出。同事業の展開と並行して、同社の資産売却や人員削減、減資ならびに優先株式、新株予約権発行などの再建策が進められ、その後、投資事業から撤退していた。

 しかし近時においても業績の低迷は続き、2011年3月期の年売上高は約54億4700万円にとどまっていたが、同年3月に市川の本店兼工場を売却。川崎重工業の袖ケ浦工場と賃貸契約を結び、同工場敷地の一部を本店兼工場とする移転作業に着手したが計画は大幅に遅延していた。

 今年1月27日には、第三者割当方式の新株予約権募集と役員人事を発表。2月24日の臨時株主総会で承認された新株予約権は資金調達額10億円、時価から大幅にディスカウントされたいわゆる有利発行であった。さらに2002年の資本・業務提携以来、同社の信用を補完してきた東証2部上場の川岸工業との提携関係も解消したことから関係者の注目を集める状況となっていた。2013年3月期の中間決算発表後は信用も一段と低下、資金繰りも悪化し11月末の決済のメドが立たないため、今回の措置となった。

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