【アナリストの眼】新政権と円安・金融緩和・財政出動先行の流れが継続するか焦点

2012年11月18日 13:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>

  来週(11月19日~22日)の株式市場は強基調の展開を想定する。米国の「財政の崖」問題など海外要因に警戒感が強い中で、国内要因でのキーワードとなる「新政権と円安・金融緩和・財政出動」に対する期待先行の流れが継続するかどうかが焦点だが、海外要因はすでに織り込み済みであり、国内の買い要因が優勢となる可能性が高いだろう。

  もちろん、週末に3連休を控えているため様子見ムードを強める可能性があり、テクニカル面では日経平均株価の200日移動平均線が意識される可能性もあるが、米国では23日のブラック・フライデーからクリスマス・年末商戦が本格スタートするため、個人消費への期待感などで米国株式市場が反発する可能性があり、日本株式市場にとって支援材料となるだろう。

  前週(11月12日~16日)は米国株式市場が大幅に下落して調整色を強める状況だったが、日本の株式市場は国内政局を好感する形で週後半に大幅反発した。14日夕の党首討論で野田佳彦首相が「16日衆院解散」を明言したことを受けて外国為替市場が円安方向に反応した。さらに翌15日には、安倍晋三自民党総裁の「無制限の金融緩和」という発言を受けて円安・株高・債券高の動きとなった。主力の景気敏感大型株に対する買い戻しが優勢になり、週末16日の日経平均株価は終値で9000円台を回復した。

  新政権に関する現時点での見通しとしては自民党中心の政権が有力視されており、先週後半の円安・株高・債券高は安倍晋三新首相誕生を期待する動きのようだ。もちろん新政権の枠組みは総選挙の結果次第で大きく変わる可能性があり、連立の枠組みによっては政策実現に向けての不透明感も強まるだけに、期待先行の買い戻し一巡という展開にも注意が必要だが、12月16日の投開票に向けて当面は期待感が優勢となりそうだ。また11月19日~20日の日銀金融政策決定会合については現状の金融政策維持で、追加緩和は次回12月の会合という見方が優勢だが、景気後退局面入りという状況に加えて政府が圧力を強めているだけに、どのような対応を取るかもポイントになるだろう。

  海外要因については不透明感が強い状況に大きな変化はないだろう。米国の「財政の崖」問題、ユーロ圏のギリシャ支援問題、中国の新指導部の経済政策や対日政策、そして中東ではイスラエルによるガザ地区侵攻の可能性という問題も浮上してきた。

  米国に関しては、年明けにかけて大型減税(ブッシュ減税)の失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」問題が引き続き焦点となる。最終的には妥協案をまとめざるを得ないという見方が優勢であり、先週末16日にはベイナー下院議長の発言を受けて楽観的な見通しも浮上したようだが、一方ではタイムリミットとされるクリスマスまでチキンレースが繰り広げられる可能性も残されており、警戒感を強める場面もあるだろう。

  ユーロ圏に関してはギリシャへの次回融資問題が当面の焦点だろう。20日のユーロ圏財務相会合と22日~23日のEU首脳会議に向けて、ギリシャへの次回融資が決定すれば一旦は関心が薄れるが、ギリシャやスペインに対する支援問題に進展がなければ、リスク回避の動きを強める可能性があるだろう。中国に関しては15日に新指導部が決定したが、新体制移行後の政策に関しては現時点で不明な点が多いだけに、消化不良の状況が続きそうだ。

  その他の注目スケジュールとしては、19日の米10月中古住宅販売、20日の米10月住宅着工件数、21日の日本10月貿易統計、米10月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、22日のユーロ圏総合・製造業・サービス部門PMI速報値などがあるだろう。ただし外国為替市場で大きな動きがなければ株式市場の反応は限定的だろう。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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