NYダウと解散の行方を見守る展開=犬丸正寛の相場展望

2012年10月26日 17:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■解散先延ばしなら中国リスク高まり相場維持困難

  NYダウは、19日(金)と23日(火)にそれぞれ200ドルを超す下げとなったものの、1万3000ドルに近づいた水準で下げ渋っている。この1万3000ドルは、今年8月ころにモミ合った位置で下値のフシとなっていることがある。

  また、(アメリカ投資家の)売方としても、 (1)今後どの程度の反発力があるか (2)景気・企業業績がさらに悪化するのかどうか・・・などを見極めようとする意識が働いていることもある。ここまでの下げは、欧州、中国リスクで企業業績の悪化を売った相場である。しかし、輸出はダメでも住宅中心の内需効果がこれからの景気と企業業績を支え、浮上させる期待がある。その効果がどの程度のものかを見極めたいところである。

 日本も似た展開といえる。欧州、中国の不振で輸出比率の高い企業の業績が悪化し減額修正が相次いでいる。しかし、日経平均は9000円を挟んだモミ合いが継続、堅調となっている。政府の景気対策が控えているし、それに、政権が交代して新政権となれば、コジレテいる中国との関係修復を図ることができるチャンスとなる。日本でも売方(空売り)は、そのあたりを十分に心得ているから減額銘柄は素早く買い戻しに動いている。

  しかも、これまでの薄商いも幸いしている。4月以降、直近まで東証1部の1日当り出来高が20億株を越えたのは、僅か16回にすぎない。つまり、買い付いていないからシコリも少なく、処分売りする株がないという状況になっている。その結果、需給関係の良いことが相場堅調の背景にあるとみてよいだろう。

  さらに、実体面でもリーマンショック後、企業は設備投資を控えて、財務内容改善に努めてきたから、過去の不況時のように銀行に追いかけられることも少なくなっている。株価価値を計る日経平均ベースの1株利益は思ったほど低下しない。25日現在で730円と700円台をキープしている。

  今後の見所としては、 (1)アメリカの景気・企業業績に対し、「輸出」と「内需」の綱引きでどちらが強く現れるか。その結果、NYダウはどの程度戻すのか、あるいは一段安となるのか (2)日本の9月決算発表で日経平均ベースの1株利益がどの程度まで低下するか (3)解散が年内に行われるかどうか・・・などが注目されるものとみられる。とくに、解散が先延びとなって中国との修復が難しくなるようだと企業業績の一段の悪化という形で相場は値を保つことは難しくなりそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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