【相場熟者が答える投資相談】三菱重工は高値奪回期待で持続、発電プラントで国策担う相場も

2012年9月26日 20:56

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  【問い】 三菱重工業 <7011> を持っています。日立製作所 <6501> に比べて動きが良いようですが見通しをお願いします。

  【答え】 26日(水)は5円高の343円と全般相場安の中で底堅い動きです。25日には8月20日の戻り高値に顔合わせしています。

  22日付の日本経済新聞朝刊が、「同社の主力部門で、発電プラントを手掛ける原動機部門が好調。2013年3月期の部門営業利益は、200億円規模で上回る公算が大きい。従来予想は前期比19%減の750億円だったが、一転して増益になる可能性がある。同部門は利益率が高いサービス事業が伸びているうえ、部品の海外調達も増やしコストを削減する」と報じたことを好感した買いが継続しています。

  さらに、25日付の同紙朝刊が「政府は環境への負荷の大きさから難しくなっていた石炭火力発電所の新増設を認める検討に入る。年内にも発電所の環境影響評価(アセスメント)を見直し、どのような場合に建設を認めるかをわかりやすくする。アセスの審査期間も短くし、民間事業者の投資を促す。東京電力 <9501> は当面、原子力に代わる電源として石炭火力を新設する方針で、来年にも新たな基準の下でアセスを申請する見通しだ」と報じたことも材料視されました。14日に三菱重工が米国大手電力会社のサザンカンパニーと共同で進めている石炭火力発電所排ガスからのCO2回収・貯留実証試験で、回収したCO2の地下への注入を開始。世界で初めて排ガス中に煤塵などの不純物が多い石炭火力発電所を対象に、500トン/日規模のCO2回収と貯留を一貫して行うと発表したことも見直されました。

  日立製作所 <6501> が、24日にポーランドで石炭火力発電所向け超々臨界圧石炭火力発電設備一式を受注と発表も反応薄だったことと比べると対照的な動きとなりました。やはりそこには、日中関係悪化によって、航空宇宙・防衛関連を強化しなければとの危機感から三菱重工に寄せられる思いがあったと見られます。

  足元の業績、2012年3月期売上高は3兆円(前期比6.3%増)、営業利益は1200億円(同7.2%増)と増収増益を確保する見通しです。8月21日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、ガスタービンなどを牽引役に業績拡大が続くことに加え、新中計の内容を評価したことを背景に、投資判断を「Neutral」から「Outperform」へ格上げ、目標株価を420円としているほか、四季報では会社計画は過小と観測しており、業績上ブレ期待があります。

  需給面では、信用買残が843万1000株と、日立製作所 <6501> の2977万7000株や東芝 <6502> の4868万8000株などと比べても少なく、戻り待ちの売りに押される可能性は低いでしょう。マーケットは方向感に乏しいため、相場を牽引するような銘柄を待望する声も聞かれており、期待先行との感が強いですが、高値奪回するとの見方で持続がよいと思います。(株式評論家・摩周湖)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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