OKI、田中貴金属のプリント配線板事業を譲り受け

2012年6月21日 13:01

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 沖電気工業(OKI)は21日、田中貴金属工業(本社:東京都千代田区)と、田中貴金属のプリント配線板事業をOKIが譲り受けることで合意したと発表した。両社は、田中貴金属が設立する新会社にプリント配線板事業を譲渡した上で、OKIが新会社の株式の80%相当を10月1日付けで取得する旨の株式譲渡契約を、6月18日に締結した。

 新会社の名称は「OKI田中サーキット(予定)」。所在地は山形県鶴岡市で、高密度多層プリント基板の開発、設計、製造、販売事業を行う。2012年9月に設立予定。従業員数は330人。

 OKIは、2010年度策定の中期経営計画の中で、高度な生産技術と品質保証力を活かしたハイエンド型EMS(生産受託)事業を成長分野の1つとして位置付けている。OKIのプリント配線板事業は1965年からはじまり、世界初の80層基板製造を実現するなど、優れた技術力による大型・高多層基板で高い評価を受けている。しかし、EMS事業成長のためには、プリント配線板事業の拡大とともに、強みであるプリント配線板から最終製品組立までの一貫生産体制のさらなる強化が必要だった。

 一方、田中貴金属は、プリント配線板事業を1970年より開始し、大型・高多層基板を航空・宇宙産業向けに提供するなど高品質・高信頼性を実現し、多くの顧客の信頼を得てきた。しかし、国内のプリント配線板市場の縮小といった業界環境の変化や、企業競争力を高めるための事業構造変革を進め、プリント配線板事業の位置付けを見直していた。

 今回、OKIから事業譲渡の提案を受け、田中貴金属は、OKIのEMS事業の将来性・成長性を高く評価し、プリント配線板事業の確実な継承・雇用の維持ができると判断し、合意に至った。

 OKIは、今回の事業譲渡を受けることでハイエンド製品向けプリント配線板事業の国内シェアを拡大するとともに、プリント配線板から最終製品組立までの一貫受託生産も拡大し、EMS事業売上で2015年度に500億円を目指す。国内のプリント配線板市場は縮小傾向にあるものの、ハイエンド製品向けの大型・高多層基板は、高速大容量データ通信インフラの投資伸長などにより需要が堅調で、年間1,000億円の市場が見込まれている。

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