【株式市場を検証】リスク回避の売り一服、値ごろ感の買い優勢

2012年5月29日 16:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【日経平均株価、TOPIXともに上昇】

■東証1部市場の売買代金は3営業日連続で1兆円を下回る

  29日は上昇した。日経平均株価は前日比63円93銭(0.74%)高の8657円08銭となり4営業日続伸した。TOPIXは前日比5.92ポイント(0.82%)高の727.03となり3営業日ぶりに反発した。ギリシャ問題への警戒感が強い状況に変化はなく、売り優勢でスタートしたが、次第に値ごろ感からの買いが優勢になった。

  日経平均株価の日中値幅は139円90銭だった。東証1部市場の売買代金は概算で9378億円となり、前日の7814億円に比べて増加したが3営業日連続で1兆円を下回った。

  前日28日の米国株式市場は休場だった。欧州の株式市場は高安まちまちだった。外国為替市場では、スペインの10年債利回り上昇を受けてユーロ売りが優勢になる場面もあったが、概ね小動きだった。

  この流れを受けて日経平均株価は前日比27円59銭安と売り優勢でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き170万株の買い越し観測だった。

  寄り付き直後には、株価指数先物取引での仕掛け的な大口売りが出たため、日経平均株価は前日比75円97銭安の8517円18銭まで下落する場面もあった。しかし、売り一巡後は下げ渋り、徐々に下落幅を縮小する展開となった。

  午後に入ると、日経平均株価は前日比プラス圏に切り返し、徐々に上昇幅を広げる展開となった。値ごろ感からの買いに加えて、中国などアジアの主要株式市場が堅調だったことが支援材料となり、中国関連株の上昇が牽引した。結局、日経平均株価、TOPIXともに、この日の高値で取引を終了した。

  東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄1130(全体の67%)、値下がり銘柄423(全体の25%)だった。全体としては中国関連、景気敏感関連を中心に買い戻された。セクター別には海運の上昇が目立ち、鉱業、繊維、石油・石炭製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電機、その他製品、卸売、銀行、証券、保険、その他金融、不動産、倉庫・運輸なども上昇した。一方で食品、医薬品、情報・通信、電力・ガス、サービス業が下落し、ディフェンシブ関連が軟調だった。

  東証1部市場の売買代金上位の個別銘柄で見ると、2位のパナソニック <6752> 、5位のコマツ <6301> 、23位の伊藤忠商事 <8001> 、24位の商船三井 <9104> 、26位のルック <8029> が大幅上昇した。

  また1位の三菱UFJFG <8306> 、3位のトヨタ自動車 <7203> 、4位の日立製作所 <6501> 、6位のファナック <6954> 、8位のみずほFG <8411> 、9位のファーストリテイリング <9983> 、11位のソニー <6758> 、13位のホンダ <7267> 、14位の野村ホールディングス <8604> 、15位の三井住友FG <8316> 、16位の三井物産 <8031> 、17位の日産自動車 <7201> 、18位の東芝 <6502> が上昇した。10位のキヤノン <7751> は前日比変わらずとなった。

  7位のシャープ <6753> 、12位のJT(日本たばこ産業) <2914> 、19位の日本橋梁 <5912> 、20位のディー・エヌ・エー <2432> 、27位のグリー <3632> は下落した。

  日経平均株価、TOPIXともに、寄り付き直後に売り込まれる場面があったが、徐々に切り返して、結局この日の高値で取引を終了した。

  東証1部市場の売買代金は引き続き低水準だが、中国のインフラ投資に対する思惑も支援材料となり、大勢としては値ごろ感からの買いが優勢になった形だろう。

  ギリシャ問題、スペイン問題、そして為替の円高進行などのネガティブ材料に身構える状況に変化はないが、リスク回避の売りも一服状況の模様であり、一旦は自律反発的な展開が見られる可能性もあるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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