【不動産大手・銘柄診断】三菱地所は都市開発事業の反動減響き減収減益

2012年5月27日 11:05

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■都市開発事業の反動減響き減収減益に、ビル営業利益2ケタ減益

  三菱地所 <8802> は13年3月期連結業績見通しについて、売上高が前期比9%減の9270億円、営業利益が同8%減の1340億円、経常利益が同10%減の1090億円、純利益が同12%減の500億円としている。

  主力のビル事業や都市開発事業での物件売却収入の反動減を主因として、減収減益の見込みである。予想EPS(1株利益)は36円03銭、年間配当は12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。

  セグメント別営業利益(連結消去前)見通しは、ビル事業が前期比13%減の1270億円、住宅事業が同88%増の90億円、都市開発事業が同24%増の20億円、海外事業が同横ばいの80億円、投資マネジメント事業が同37%増の20億円、設計監理事業が同16%減の10億円、ホテル事業が5億円(前期は2.8億円の赤字)、不動産サービス事業が5億円(同0.6億円の赤字)、その他事業が同2.8倍の5億円としている。

  住宅事業の分譲マンションの売上戸数は前期比882戸減少の4600戸だが、粗利益率改善や棚卸資産評価損計上の一巡がプラス要因としている。

  ビル事業の空室率の推移を見ると、単体ベースの全国全用途空室率は、08年3月期末が2.06%、09年3月期末が2.86%、10年3月期末が3.40%、11年3月期末が3.58%、12年3月期末が3.58%となった。また丸の内のオフィス空室率は、08年3月期末が0.19%、09年3月期末が1.09%、10年3月期末が2.42%、11年3月期末が2.26%、12年3月期末が2.42%となった。いずれも高止まり状況の模様である。

  住宅事業のマンション粗利益率の推移を見ると、10年3月期が10.8%、11年3月期が16.0%、12年3月期が17.3%となった。13年3月期は18.0%の計画である。

  なお、12年3月期末の有利子負債は1兆7168億円となり11年3月期末比778億円増加した。D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は1.37倍で同0.01ポイント上昇した。

■PERになお割高感、利回りも1%近辺

  株価の動きを見ると、3月15日の年初来高値1576円から反落し、足元では1200円割れ水準まで下落している。週足ベースで見ると26週移動平均線を割り込んで軟調展開となっている。

  足元の株価水準を指標面で見ると、13年3月期会社予想ベースの連結予想PERは30~35倍近辺、予想配当利回りは1%近辺、12年3月期BPS(1株当たり純資産905円60銭)ベースの実績PBRは1倍台前半の水準である。需給面では信用倍率(5月11日時点)が2倍近辺である。

  足元の1200円割れ水準でも予想PERには割高感が否めないだけに、当面は下値固めが必要で、11年の安値圏1100円近辺が意識される可能性もあるだろう。また反発には市場全体の地合い改善も必要なだけに、再度のサプライズ追加緩和などの支援材料が欲しいところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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