【決算】アールテック・ウエノ:前期は営業増益、今期業績は未定、仲裁判断待ち

2012年5月22日 11:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■新薬開発目白押し、重症ドライアイ、アトピー性皮膚炎の治療薬に期待

  医師の目線で医薬品開発・販売を行うアールテック・ウエノ <4573> (JQS)の2012年3月期は、製品価値の最大化に向けた販路の再構築や眼科・皮膚科領域における新薬の創出を目指し積極的な事業活動に取組んだ。売上は前期比3.6%減の40億5300万円、営業利益6.5%増の10億6300万円だった。純利益は、前年度に田辺三菱製薬とのライセンス契約の解消に伴う受取和解金を特別利益として計上していたことで特別利益がなくなり45.5%減の6億8000万円、1株利益6910円。配当は年3000円継続の予定。事業部門の売上状況は次の通り。

■アールテック・ウエノの業績と新薬開発状況

【レスキュラ点眼液】

  同社の主力商品。2012年3月期売上は国内処方数の減少等で11.0%減の19億4300万円。製品価値を最大化するため国内において販売先の参天製薬との共同プロモーションに注力。具体的には、(1)緑内障の早期発見を目指して眼科医を対象に眼底読影勉強会を積極的に開催や製品説明会を通じレスキュラ点眼液の販売活動促進(2)学会セミナーの開催や講演会記録集等の作成により製品特性等の情報提供を行い、レスキュラ点眼液の認知度向上・販売促進活動などに取組んでいる。なお、スキャンポAG社と昨年3月に日本、中国、韓国、台湾、北米を除く全世界で開発、製造及び商業化権のライセンス契約を締結、当2012年3月期は2億4700万円のライセンス収入を計上した。

【AMITIZAカプセル】

  売上は4.4%増の20億2600万円だった。アメリカのSPA社と北米地域における独占的製造供給契約に基づき、慢性特発性便秘症及び便秘型過敏性腸症候群治療薬の受託製造を行っている。円高の影響はあったものの、便秘型過敏性腸症候群治療薬の出荷数が増加した。

【医薬品開発支援及び受託製造サービス】

  売上は3.7%増の8300万円。

  次期(2013年3月期)は、売上の約50%を占めるAMITIZAカプセルについて、同社とSPI社及びSAG社が販売提携先の武田薬品工業に対し契約の終了と損害賠償を求める仲裁申立を行っている。このため、次期見通しは公表していない。5月31日にも仲裁判断が下される見通しで、その後に次期見通しを明らかとする。

  なお、同社は「医師の目線で医薬品開発・販売を行う分野特化型(眼科・皮膚科)のグローバルな医薬品会社」を目指している。とくに、国が推奨する「アンメット・メディカル・ニーズ」(未だ満たされない医療ニーズ)領域や「オーファンドラッグ」(希少疾病用医薬品)領域、「アンチエイジング」(生活改善薬)領域の新薬の開発を進めている。当2012年3月期の研究開発費は9億1700万円だった。領域別の研究活動の進捗は次の通り。

  眼疾患領域=(1)網膜色素変性(開発コードUF-021、製品名オキュセバ)。網膜色素変性は両眼に発症する遺伝性の網膜疾患。進行性の夜盲と視野狭窄をきたし末期には高度の視力低下、失明にまで至ることもある疾患。現在、第II相臨床試験まで終了。早期承認取得を目指し準備中。(2)重症ドライアイ(開発コードRU―101)。ドライアイは涙液層や眼表面の障害を特徴とする慢性で他因性の眼疾患。同社は結膜上皮細胞を用いた実験で血清アルブミンが涙液成分の一つであるムチンの産生を増強することを確認、安全性試験の一部が終了している。昨年10月18日にNovozymes社と遺伝子組換え人血清アルブミンの供給に関し基本合意を締結。重症ドライアイ治療薬の開発再開が可能となっている。また、昨年10月19日には財団法人化学及血清療法研究所と遺伝子組換え人血清アルブミンの安全性データの使用許諾について基本合意したことで重症ドライアイ治療薬の開発期間短縮が可能となる見込み。(3)糖尿病白内障(開発コードRTU―007)。糖尿病白内障は糖尿病が原因で発症する白内障で水晶体が混濁する疾患。同社はアステラス製薬からライセンス取得した糖尿病患者の体内で増加する酵素を阻害する物質について、細胞や動物を用いた実験で化合物の最適化を行っており当期は薬物試験を実施した。

  皮膚疾患領域=(1)男性型脱毛症(開発コードRK-023)。壮年脱毛症とも呼ばれ思春期以降に男性ホルモンの影響を受け頭頂部から前頭部に限局して太く長い毛が再生せず細く短い軟毛に置き換わり最終的には毛包が萎縮して毛髪数が減少し段階的に薄毛・脱毛が進行する疾患。現在、前期第2相臨床試験が終了している。(2)睫毛貧毛症(開発コードRK-023)。睫毛貧毛症は睫毛(まつげ)が貧弱で短い、まばら、毛が薄いなどの原因で、眼にほこりなどの異物や異常な光が入ることを防ぐ機能が十分に発揮できない疾患。第1相臨床試験が終了、眼圧下降や充血などの眼科的所見は認められなかった。(3)アトピー性皮膚炎(開発コードRTU―1096)。アレルギー体質により皮膚のバリアー機能が低下し、様々な刺激が加わることでかゆみを伴う慢性の湿疹、皮膚炎を生じ、症状の悪化と改善を繰り返す疾患。従来は学童期に自然治癒すると考えられたが、成人まで持ち越す例や成人してからの発症・再発の例が近年増加している。同社では炎症に関連して血液、組織中で活性の増加がみられる酵素を特異的に阻害する化合物を開発、前期は薬理試験の一部が終了している。

  神経性疾患領域=糖尿病神経障害(開発コードRTU―1096)。糖尿病3大合併症の1つで、血糖値の高い状態が続くと足や手などの末梢神経におこる障害で違和感、しびれ、痛みなどの症状が現れる疾患。同社では糖尿病患者において体内で増加する酵素を特異的に阻害する化合物を開発。前期、薬理試験の一部が終了している。

  このように、開発中の新薬はいずれも「アンメット・メディカル・ニーズ」領域のものばかりで、ここに同社の特徴と強みがある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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