【再生可能エネルギー特集(3)】発電装置の役割を担う太陽電池

2012年4月1日 10:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度は高く、電力不足や節電への自己防衛策として、企業や一般家庭で太陽光発電システムの導入意欲が高まっている。

再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度は高く、電力不足や節電への自己防衛策として、企業や一般家庭で太陽光発電システムの導入意欲が高まっている。[写真拡大]

■注目度が最も高い太陽光発電

  再生可能な自然エネルギーの中でも、電力会社からの送電への依存度を減らす小規模分散型電源として、特に太陽光発電(PV=Photovoltaic)システムに対する注目度は高く、電力不足や節電への自己防衛策として、企業や一般家庭で太陽光発電システムの導入意欲が高まっている。

  太陽光発電システムは、太陽電池が太陽の光エネルギーを吸収して、直接電気に変換する仕組みの発電方式である。太陽光エネルギーは無尽蔵でクリーンなエネルギーだが、日照時間など天候の影響を受けやすく、夜間は発電できないという欠点がある。さらに、太陽電池には蓄電機能がないため、出力変動の調整など安定的な電力供給を確保するという課題に対しては、蓄電池やスマートメーター(次世代電力計)を、太陽電池と組み合わせてシステム化することが重要なポイントになるだろう。

  太陽光発電システムで発電装置の役割を担う太陽電池は、使用する材料や構造によってSi(シリコン)単結晶型、Si多結晶型、Si薄膜型、金属化合物型、有機薄膜型など、さまざまな種類が開発・量産されている。

  太陽光発電協会(JPEA)の「太陽電池セル・モジュール出荷統計」によると、2011年4月~12月累計の日本の総出荷量(=国内生産出荷+輸入後出荷+輸出)は213万1306KW(キロワット)となり、材料別構成比で見ると、Si結晶型が74%(うちSi単結晶型が36%、Si多結晶型が38%)を占め、Si薄膜型・その他が26%となっている。また仕向け先・用途別構成比で見ると、国内が48%(うち住宅電力用が41%、非住宅電力用が4%、発電事業用が2%)、海外が52%となっている。

  Si結晶型は、単結晶または多結晶のシリコンウェハーをスライスして基板とするタイプで、高純度シリコンの使用量が多いため高コストが欠点とされるが、エネルギー変換効率の高さが特徴である。コストと性能のバランスが比較的良いとされるSi多結晶型が主流となっているが、シリコン薄型化などによる低コスト化も進展している。国内では、シャープ <6753> 、京セラ <6971> 、パナソニック <6752> (子会社化した三洋電機)、三菱電機 <6503> などが量産している。

  Si薄膜型は、ガラスや金属などの基板上に薄膜状のアモルファスシリコンを形成するタイプである。Si結晶型に比べて変換効率の低さが欠点だが、シリコン層が薄く使用量が少ないため低コストが特徴で、太陽電池を大量に設置する大規模太陽光発電所(メガソーラー)向けが需要の中心となっている。シャープ <6753> はシリコン使用量を結晶型の約100分の1に低減したSi薄膜型、パナソニック <6752> (子会社化した三洋電機)は多結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層した独自のハイブリッド型を量産している。この他に国内では、カネカ <4118> 、富士電機 <6504> 、三菱重工業 <7011> などがSi薄膜型を量産している。

  シリコンを使用しないタイプには、金属化合物型、色素増感型、有機薄膜型などがある。金属化合物型は化合物半導体を薄膜状にして発電層に使うタイプで、本田技研工業 <7267> (子会社のホンダソルテック)は銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)を原料とするCIGS薄膜型を、昭和シェル石油(5002)(子会社のソーラーフロンティア)は銅、インジウム、セレンを原料とするCIS薄膜型を量産している。

  色素増感型は、太陽光を吸収すると電子を放出する有機色素の性質を応用して電気に変える仕組みで、変換効率の低さが欠点だが、斜めから当たる光や弱い光でも発電が可能である。新日本製鉄 <5401> (子会社の新日鉄化学)、フジクラ <5803> 、ソニー <6758> 、アイシン精機 <7259> 、大阪ガス <9532> などが開発・商品化を目指している。

  有機薄膜型は、導電性ポリマーなどを組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池で、変換効率の低さが欠点だが、低コストで、シート状にして折り曲げることや、インクジェット方式で曲面に印刷することも可能となるため、用途拡大が期待されている。三菱ケミカルホールディングス <4188> (子会社の三菱化学)が2012年夏をメドに商品化を予定しており、住友化学 <4005> も商品化を目指している。

  なお、集光型太陽光発電システムは、太陽光をレンズや鏡で集めて、太陽電池に従来の500倍以上照射できるシステムである。砂漠のように日照時間が長く日射量が多い場所やメガソーラーなどで、発電効率を高めてコストを抑えるのに有効とされている。米アモニクスが世界最大手とされ、日本では大同特殊鋼 <5471> などが手掛けている。クラレ <3405> も集光レンズ分野に参入し、米アモニクスへ供給する。

  太陽熱発電は、鏡などで集めた太陽光の熱を使って蒸気を発生させ、タービンを回して発電する仕組みである。太陽光発電に比べて設備が大掛かりで初期投資も膨らむが、発電効率は太陽光発電より高いとされ、中東などで大型発電所の建設が計画されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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