【相場展望】前半は様子見ムード、地合い改善で日経平均は9000円を挟む展開を想定

2012年2月12日 11:27

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■日経平均株価9000円を挟むレンジで底堅い展開に

  来週(2月13日~17日)の日本株式市場では、前週末10日の米国株式市場が高値警戒感、ギリシャ第2次支援問題に関する警戒感、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数の悪化などで下落したことを受けて、週初の13日は売り優勢でのスタートとなりそうだ。

  また、ギリシャ第2次支援の決定を15日のユーロ圏財務相会合に持ち越しているため、週前半は警戒感で様子見ムードを強めそうだ。

  さらに、主要企業の11年4~12月期決算発表が一巡して手掛かり材料難となることに加えて、短期的な過熱感や、米国株式市場と外国為替市場の動向にも注意が必要となるだろう。

  ただし、ユーロ圏債務危機問題に対する過度な警戒感が後退していることに加えて、米雇用指標の改善で米景気回復への期待感が高まり、日本の株式市場では地合い改善が意識されている。このためギリシャ第2次支援問題で波乱がなければ、日経平均株価9000円を挟むレンジで底堅い展開となりそうだ。

  前週(2月6日~10日)は、週間ベースで日経平均株価が前週末比115円24銭(1.31%)上昇、TOPIXが同18.38ポイント(2.42%)上昇し、いずれも週間ベースで2週ぶりに上昇した。8日には、日経平均株価の終値が9015円59銭となり、9000円台を回復して昨年10月28日(9050円47銭)以来の水準となった。また9日には、TOPIXの終値が784.49となり、昨年8月8日(782.86)を上回る水準に回復した。

  ギリシャの債務交換交渉や第2次支援協議の合意に対する期待感、米雇用情勢の改善、米国株式市場の上昇に加えて、外国為替市場で対ドル、対ユーロともにやや円安方向に傾いたことを好感した。主要企業の12年3月期業績見通しでは、下振れでも悪材料出尽くし感が広がった。急ピッチの戻りに対する短期的な過熱感が警戒されたが、全体として堅調な展開となり地合い改善が意識された。

  ユーロ圏債務危機問題に関する前週の動きを整理すると、ギリシャの債務交換交渉と第2次支援協議の進展に関心が集中した。合意が遅れていることに対して警戒感を強める場面もあったが、概ね合意に対する期待感が優勢だった。9日にはギリシャ連立与党が第2次支援条件の追加財政緊縮策の受け入れで合意した。ただし9日のユーロ圏財務相会合で、ギリシャ第2次支援に関して財政緊縮策のギリシャ議会承認などを求め、正式決定を15日に持ち越したため、週末10日には警戒感を強めた。

  米国の主要経済指標では雇用情勢の改善が目立った。3日には、米1月雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比24.3万人増加となり、12月改定値の同20.3万人増加に比べて4.0万人増加し市場予想を上回った。1月の失業率は8.3%となり、12月の8.5%に比べて0.2ポイント低下し市場予想以上に改善した。米1月ISM非製造業景況指数は56.8となり、12月改定値の53.0に比べて上昇し市場予想も上回った。米1月製造業新規受注は前月比1.1%増加となり、12月改定値の同2.2%増加に比べて減速し市場予想を下回った。7日には、米12月消費者信用残高が193億ドルとなり、11月の204億ドルから減少したが市場予想を上回った。9日には、米新規失業保険申請件数が35.8万件となり、前週改定値の37.3万件に比べて1.5万件減少し市場予想以上に改善した。また4週移動平均は前週比1.1万件減少の36.625万件となり08年4月以来の低水準となった。10日には、米12月貿易収支が488億ドルの赤字となり、11月改定値の471億ドルの赤字に比べて悪化したが市場予想とほぼ同水準だった。米2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は72.5となり、1月の75.0に比べて悪化し市場予想も下回った。

  中国の主要経済指標に関しては、9日には、中国1月CPI(消費者物価指数)が前年同月比4.5%上昇となり、12月の同4.1%上昇を上回り市場予想も上回ったため、金融緩和期待が後退する場面もあった。しかし春節の時期が昨年と異なる影響を除けば、物価上昇は鎮静化しつつあるとの見方が優勢だった。10日には、中国1月貿易収支で輸出が前年同月比0.5%減少、輸入が同15.3%減少となり、いずれも市場予想を下回った。春節の時期が昨年と異なることの影響を考慮しても、輸入減少で景気減速が意識された。

  外国為替市場ではやや円安方向に傾いた。ドル・円相場は概ね1ドル=76円50銭近辺~77円80銭近辺で推移し、週後半にはギリシャ第2次支援協議の合意に対する期待感に加えて、日本の11年経常黒字が前年比43.9%減少したことも円売りにつながった。ユーロ・円相場は概ね1ユーロ=99円80銭台~103円20銭台で推移し、週後半にはギリシャ第2次支援協議の合意に対する期待感で、ユーロ買い戻し・円売りが優勢になった。週末10日の海外市場で終盤は1ドル=77円60銭近辺、1ユーロ=102円50銭近辺だった。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(10日時点の8947円17銭)の移動平均線に対する乖離率は25日移動平均線(同8719円95銭)に対して2.60%、75日移動平均線(同8610円59銭)に対して3.90%となった。また200日移動平均線(同9057円26銭)に対してはマイナス1.21%となり、当面のターゲットとなった。なお東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は10日時点で117.0%となっている。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、13日の10~12月期GDP1次速報値、12月第3次産業活動指数、日銀金融政策決定会合(1日目)、14日の12月鉱工業生産確報、日銀金融政策決定会合(2日目)、16日の1月首都圏マンション発売戸数などがあるだろう。その後の注目イベントとしては、20日の1月貿易統計などが予定されている。

  海外では、13日のイタリア短期債入札、ドイツ短期債入札、フランス国債入札、ギリシャ債務交換の最終案提示期限、オバマ米大統領2013会計年度予算教書発表、14日の英1月消費者物価指数、独2月ZEW景気期待指数、ユーロ圏12月鉱工業生産、イタリア中期債入札、スペイン12カ月物入札、EU・中国首脳会談、米12月企業在庫、米1月輸出入物価、米1月小売売上高、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、ガイトナー米財務長官の議会証言、ウィリアムズ米サンフランシスコ地区連銀総裁の講演、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁の講演、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、オバマ米大統領と習近平中国国家副主席の会談、15日のマレーシア10~12月期GDP、独10~12月期GDP速報値、仏10~12月期GDP速報値、ユーロ圏12月貿易収支、ユーロ圏10~12月期GDP速報値、ポルトガル短期債入札、スペイン国債入札、ユーロ圏財務相会合、IMF・EUトロイカ調査団によるポルトガルへの調査開始、米1月設備稼働率、米1月鉱工業生産、米2月ニューヨーク州製造業業況指数、米2月住宅建設業者指数、米住宅ローン・借り換え申請指数、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁の講演、米FOMC議事録(1月24日~25日分)公表、16日の豪1月雇用統計、シンガポール10~12月期GDP確報値、スウェーデン中銀金利発表、スペイン10~12月期GDP、ECB月報、スペイン国債入札、フランス国債入札、米1月住宅着工件数、米1月卸売物価指数、米2月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数、バーナンキ米FRB議長の講演、17日の英1月小売売上高、独1月生産者物価指数、ユーロ圏12月経常収支、米1月消費者物価指数、米1月景気先行指数(コンファレンス・ボード)などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、20日のユーロ圏財務相会合、21日のEU財務相理事会、25日~26日のG20財務相・中央銀行総裁会議、29日のECB3年物オペ、3月1日~2日のEU首脳会議などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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