【特集:2012年を読む】「総合商社」銘柄の動向(2)~株価に割安感強く上昇余地

2012年1月3日 14:30

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

欧州債務危機問題などを背景として、欧州や中国などを中心に世界的に景気減速感が強まっているため、その影響は避けられないが、原油価格などは依然として高水準に推移している。

欧州債務危機問題などを背景として、欧州や中国などを中心に世界的に景気減速感が強まっているため、その影響は避けられないが、原油価格などは依然として高水準に推移している。[写真拡大]

■「総合商社5社」新規投融資の実行が本格化

  欧州債務危機問題などを背景として、欧州や中国などを中心に世界的に景気減速感が強まっているため、その影響は避けられないが、原油価格などは依然として高水準に推移している。さらに、これまで着実に進めてきた成長分野への新規投融資と優良資産への入れ替え、事業ポートフォリオの最適化、バリューチェーンの構築などの成果とも言える、受取配当金や持分法投資損益の増加も寄与するだろう。

  投資有価証券評価損の計上など、一過性の特殊要因の大口損失が新たに発生しなければ、12年3月期通期の連結純利益は、各社ともに上振れの可能性が高いだろう。さらに、各社とも配当性向の引き上げを目指しているだけに、通期純利益が増額されれば、期末配当の増額も期待されるだろう。

  そして総合商社各社ともに、事業の成長性、資本の効率性、財務の健全性などのバランスを取りながら、成長分野への新規投融資や、優良資産への入れ替えを積極化させ、戦略的な事業ポートフォリオの構築を継続的に推進している。

  新規投融資、優良資産への入れ替え、バリューチェーンの構築は、石炭、鉄鉱石、銅、ニッケル、原油、天然ガス、シェールオイル・ガス、レアアースなどの金属資源・エネルギー分野にとどまらない。太陽光、風力、地熱、蓄電池などの新エネルギー・再生可能エネルギー関連、IPP火力発電、水(上下水道)ビジネス、鉄道・空港・港湾、交通・物流ネットワークなどの社会インフラ関連、穀物・飼料、肥料・農薬、養殖、植物工場などの食糧資源・農業関連、そして消費・ライフスタイル関連、生活産業関連、医療・ヘルスケア・介護関連など、非資源分野や新ビジネス領域への投融資も積極化し、戦略的な事業ポートフォリオの構築を目指している。

■11年4~9月期の新規投融資実績

  11年4~9月期の新規投融資実績を見ると、伊藤忠商事 <8001> はグロス3000億円(資源・エネルギー1300億円、生活消費1000億円、機械400億円、化学品・建設・他300億円)だった。丸紅 <8002> はグロス1200億円(資源450億円、インフラ250億円、環境生活その他500億円)だった。三井物産 <8031> はグロス3600億円(資源・エネルギー1200億円、物流ネットワーク300億円、生活産業1500億円、インフラ600億円)だった。住友商事 <8053> はグロス900億円(資源・エネルギー290億円、新産業・インフラ30億円、メディア・生活関連300億円、その他280億円)だった。そして三菱商事 <8058> はグロス2700億円(金属・エネルギー資源1000億円、全社戦略200億円、その他1500億円)だった。優良な候補案件が多いため、各社とも10月以降に、新規投融資の実行が本格化する模様である。

  非資源分野に関しては、一案件当たりの投融資金額が、金属資源・エネルギー分野に比べて小さいため、株式市場では目立たず、手掛かり材料としてのインパクトも小さく感じられるが、投融資の積み上げで着実に収益に貢献しつつある。中期的にも、各社の収益基盤は一段と強化され、収益の拡大基調が期待されるだろう。

■株価の上昇余地は大きい

  5社の足元の株価の動きを見ると、三菱商事 <8058> については安値圏でのモミ合い展開だが、伊藤忠商事 <8001> 、丸紅 <8002> 、三井物産 <8031> 、住友商事 <8053> については、概ね安値圏からの反発過程と言えるだろう。そして株価水準を指標面で見ると、概ね予想PERが4~5倍台、予想配当利回りが4%台となっている。

  総合商社の株価については、原油価格や金属資源価格との連動性の高さが意識される傾向が強いだけに、世界的な景気減速で原油価格や金属資源価格が下落するのではないかという警戒感が、株価の戻りを圧迫しているようだ。

  しかし、収益基盤が大幅に強化されていることや、戦略的な事業ポートフォリオの構築を推進していることに対しては、評価不足という印象は強い。また12年3月期通期純利益の上振れ期待、13年3月期以降の収益拡大期待を考慮すれば、指標面での割安感は強いと言えるだろう。

  チャート面で見れば、上値抵抗線となっている26週移動平均線の突破が当面のポイントになるが、上昇余地は大きいだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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