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デフレ関連株相場がサバイバルする可能性が捨て切れない=浅妻昭治
何ともしんどいことである。年収が4割も減ったというのである。テレビのニュース番組が映し出したギリシャの反政府デモに加わっていた教員のインタビュー発言だ。デフォルト(債務不履行)回避に向け、欧州連合(EU)の金融支援策の見返りに財政健全化計画の強化が求められ、それだけ国内への締め付けが厳しくなっているということだろう。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
■思惑外れの金価格急落
このところちょっと面食らわされたのが、金先物価格の急落である。今年8月中旬に1トロイオンス=1917ドルと史上最高値まで急騰したのが、アッという間に1600ドル台割れまで急落した。思惑外れで相場観を狂わされた投資家が少なくなかったのではないかと推察される。
どこが思惑外れかといえば、欧州の債務不安やユーロ安、ドル安の為替波乱が続く間は、金価格の上昇が止まらないとするのがほぼ市場コンセンサスとなっていたからである。「質への逃避」の対象、安全資産として買い進まれると信じられてきた。にもかかわらず、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が、ほぼピークに達しようとするまさにそのときに、金価格が急落に転じたのである。証拠金の引き上げなど取引規制の強化だけでは説明しきれないショック度である。
マーケット・コメントでは、コミコミの換金売りとされた。まだ高値で利が乗っているうちに株式投資などでの損失を埋め合わせるために売られ、現金ポジションを高めたというのである。リスク回避も極まって、いよいよ市場撤退に追い込まれ、「貯蓄から投資へ」が「投資から貯蓄へ」と逆流したのかと思わず身構えさせられた。
金価格に先立って原油先物価格も値崩れを起こしていて、さらに10月2日付けの日本経済新聞によると、穀物の国際価格も、急落して調整色を強めているというのである。ここまで「モノ」離れが進むと、世界のマネー・トレンドは、すでにインフレからデフレに大きく逆回転したと推測されないこともない。日本の「失われた10年」が、グローバル・スタンダードとなって蔓延し、「死に至る病」といわれるデフレが世界中を覆い尽すかもしれないのである。
もちろん投機マネーは、気紛れでいつ何時、この「モノ」離れが再逆転したいとも限らないが、下半期入り後の10月相場は、とにかく安全優先の第一歩を心掛け、デフレを前提とする投資スタンスを先行させるのが無難といえそうだ。とくに日本は、円高進行に加えて復興増税、消費税率引き上げとアゲインストの環境が強まるだけに、いまはマスコミへの露出も皆無となった菅前首相が、副総理兼経済財政担当相時代の2009年11月にデフレ宣言をしたことを受けて展開されたデフレ関連株相場が、サバイバルする可能性が捨て切れない。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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