NEDO、世界最小の超小型・大出力SiCインバータを開発

2011年9月6日 16:40

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開発したインバータと汎用インバータとの比較(写真:NEDO 提供)

開発したインバータと汎用インバータとの比較(写真:NEDO 提供) [写真拡大]

  • 開発したインバータ(写真:NEDO 提供)

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、NEDOの次世代パワーエレクトロニクス技術開発の研究委託先である技術研究組合「次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構(FUPET)」は6日、同一パワーとしては世界最小の完全空冷オールSiC(シリコンカーバイド)インバータ(電力変換器)を開発し、出力15kWのモーターの連続動作に成功したと発表した。

 同インバータは、体積500cm3、出力パワー密度は30 kW/リットルの超小型で、産業用モーターの制御はもちろん、スマートコミュニティの実現に必要な電力変換や、電気自動車(EV)の小型化・軽量化・効率アップなど幅広い分野での利用が見込めるという。

 「引き続き、SiCインバータの設計の高度化を進めてさらなる小型・大容量のインバータの実現を目指すとともに信頼性強化を進める。これにより、スマートコミュニティやEVなど、多くの応用分野へ展開できる技術を確立し、CO2排出量を削減したグリーンな社会の実現に貢献するよう、努力していく」と両機構はコメントしている。

 「太陽光や風力による発電や、電気自動車の普及をはじめとする電力利用の高度化は、資源枯渇や地球温暖化解決の切り札。その中で、電力を望ましい電圧や周波数に変換する電力変換器(インバータ)が大きな役割を果たす。現在は、インバータに使われる半導体デバイスのほとんどが、材料にシリコン(Si)を用いたもの。材料にSiCを用いたデバイスは、現在開発中の新たなデバイスだが、内部の損失がSiの1/100と小さく、300℃程度までの高温で動作できるなど、いろいろな特性でSiデバイスを凌ぐので、インバータの効率を大きく向上させるものと期待されている」とNEDOは説明している。

 NEDOでは、SiCデバイスやその応用機器の本格普及を目指して、材料からデバイス、インバータ機器の開発に至る幅広いプロジェクトを推進している。その中で、技術研究組合次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構(FUPET)(下村 節宏理事長)は、NEDOからの研究委託を受け、2009年から、小型で高性能なSiCパワー半導体デバイスを使用した電力変換器の実現と普及に向けた技術開発を推進してきた。

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