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【震災後の自動車株に明暗】「生産回復」から「需要の見極め」へ=犬丸正寛
震災後の自動車株に明暗がみられる。急ピッチで回復する生産に対し、「需要」が本格回復するのだろうか、と問われているようでもある。[写真拡大]
■自動車株の動きから見える事とは?
震災後の自動車株に明暗がみられる。急ピッチで回復する生産に対し、「需要」が本格回復するのだろうか、と問われているようでもある。
3月11日に発生した東日本大震災。自動車株も軒並み大きく値を下げた。しかし、その後の戻りにはバラつきが出ている。表のように、震災後の戻り高値が、震災発生直前3月10日の終値を奪回した銘柄(○印)は10銘柄中6銘柄。未だに達成できていない銘柄(●印)が4銘柄ある。
日産自動車 <7201> 816 - 881(7月8日) ○ いすゞ自動車 <7202> 354 - 393(7月12日) ○ トヨタ自動車 <7203> 3650 - 3480(7月8日) ● 日野自動車 <7205> 434 - 480(7月8日) ○ 三菱自動車 <7211> 112 - 107(7月8日) ● マツダ <7261> 202 - 223(7月8日) ○ ダイハツ工業 <7262> 1259 - 1389(7月4日) ○ ホンダ <7267> 3400 - 3295(7月14日) ● スズキ <7269> 1928 - 1950(4月28日) ○ 富士重工業 <7270> 652 - 643(7月8日) ● 【社名、コード、3月10日終値、戻り高値(月日)、プラスマイナス】
■マーケットは軽自動車への期待が高い
最も早く震災前水準を奪回したのは4月28日のスズキ。しかも、4月中は同社のみで群を抜いている強さ。続いて、7月上旬のダイハツ、マツダ、日産、日野、いすゞとなっている。奪回の最も早かったスズキは東南アジアでの需要が好調な「軽自動車」である。スズキに次いで早かったダイハツも軽自動車だ。明らかに、マーケットは軽自動車への期待が高いとみることができる。
また、いすゞ、日野は「トラック」が注目された動きといえる。
一方、トヨタ、ホンダの主力組は大きく出遅れている。ただ、日産はトヨタ、ホンダとは別格の動きをみせている。
こうした株価の動きから見えてくるのは、震災の影響を受けた国内生産は各社とも急ピッチで回復しているのに対し、果たして、震災発生前のような国内需要が回復するのだろうかということだろう。
海外景気には、いっそう不透明感が強まる。とくに、主力組にとって輸出は楽ではない。また、震災の痛手を受けた国内消費者には高価格車より低価格の軽を選考する。復興にもトラックは必要ということだろう。ここまで、生産の回復に注目してきたマーケットは、「需要」面に強く注目し始めているようだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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