伯鳳会グループとシーメンスヘルスケア、MRI装置の電力消費量削減に向けたモニタリング・分析を実施

プレスリリース発表元企業:シーメンスヘルスケア株式会社

配信日時: 2026-05-11 11:00:00



~大阪暁明館病院での電力消費量モニタリング・分析に基づき、ソフトウェアアップデートによる電力消費の削減可能性を可視化~

 医療法人伯鳳会(理事長:古城 資久、以下「伯鳳会」)を中心とする伯鳳会グループとシーメンスヘルスケア株式会社(代表取締役社長:櫻井 悟郎、以下「シーメンスヘルスケア」)は、医療機関におけるエネルギーコストの上昇およびサステナビリティへの要請が高まる中、検査の質を維持しながらMRI装置の電力消費を最適化する可能性を検証することを目的に、大阪暁明館病院においてMRI装置の電力消費量に関するモニタリングおよび分析を実施しました。本取り組みでは、実際の稼働データと電力消費データを組み合わせることで、日常運用に即した改善余地を可視化し、ソフトウェアのアップデートによる消費電力の削減可能性を試算しています。

背景
 人命や医療の安全を最優先とする医療機関は、他業種と比べ止められる電力が圧倒的に少なく、安易な節電は医療リスクにもつながります。一方で、近年の電力料金の高騰は、大型医療機器を多数運用する医療機関にとって、経営面での大きな負荷となっており、必要不可欠な医療機器の安定稼働を維持しつつ、電力消費をいかに抑えるかが重要な課題となっています。

 MRI装置は、脳・神経疾患や整形外科領域、がん診断などに不可欠な画像診断装置であり、近年はアルツハイマー病治療薬の使用に伴う脳浮腫や微小出血の経過観察など、治療の安全性を支える役割も担っています。一方で、MRIは他の医療機器と比べて電力消費量が大きく、1台あたりの年間消費電力量はCTの約5倍に及ぶとされ※1、CTとMRIを合わせると病院全体の電力消費の約5%を占めるとの報告もあります※2。

 このような背景のもと、伯鳳会とシーメンスヘルスケアは、MRI装置の運用における電力消費量削減の余地を探り、他の医療機関にも応用可能な改善策を模索することを目的に、MRI装置の電力消費パターンのモニタリングに取り組んでいます。今回はその第一弾として、大阪暁明館病院においてモニタリングを実施し、ソフトウェアのアップデートを行うことによる削減可能な電力消費量の試算を行いました。

モニタリングの概要


実施施設:社会福祉法人 大阪暁明館 大阪暁明館病院(大阪市此花区)
対象装置:Siemens Healthineers製 1.5T MRI装置「MAGNETOM Avanto fit Upgrade」
計測方法:装置への電力供給系統に計測機器を設置し、電力消費データを実測するとともに、装置の稼働状況データを重ね合わせて分析
主な評価軸:部位別・撮像モード別の電力消費、待機(電源ON/OFF)差分、曜日・時間帯別負荷
計測期間:2025年10月20日〜2026年1月20日
期間中に実施されたMRI検査:1,175件(HEAD、SPINE、PELVIS、KNEE等の合計)



モニタリングの目的


ユーザーインターフェースの変更や放射線技師への追加トレーニングに要する時間を考慮した上でソフトウェアのアップデートの是非判断ができるよう、アップデートによりどの程度の電力消費削減効果が得られるのかを明確にすること
夜間にMRI検査が実施できる体制整備を検討するにあたり、装置の電源をONにしたまま待機させる場合の増加コストについて、即応性と省エネのどちらを優先すべきかの判断ができるよう、そのトレードオフを可視化すること


 

モニタリング結果および所見の要約


日中の電力プロファイルでは、特に高分解能拡散強調画像(DWI)撮像時に電力ピークが生じる傾向が明瞭となった。
待機電力は、電源OFF時≒10kW、電源ON時≒14kWと計測された。
これらを踏まえ、拡散強調画像を含む撮像時間の短縮および夜間などの待機電力を減少させることにより、電力消費の削減が期待できる。



ソフトウェアアップデートによる電力消費の削減可能性の試算


1.撮像分解能の最適化

 従来、撮像分解能を下げることで撮像時間を短縮できるものの、画質低下による診断への影響が大きな課題でした。最新ソフトウェアへのアップデートにより、分解能をより細かく調整でき、画質や臨床への影響を最小限に抑えながら撮像時間を短縮し、電力消費を抑えることが可能となります。(現行の運用体制に基づく計算では、約57,000円/年)

 


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2303/132975/700_246_2026042717595669ef258ce50f6.png
 



2.「Eco Power Mode」による待機電力削減

 ソフトウェアアップデートにより使用可能となる「Eco Power Mode」により、待機時の冷却コンプレッサー動作を最適化し、待機電力を平均12〜15%削減することが可能です。「Eco Power Mode」を使用しない場合、使用する場合、それぞれの電力消費量および年間の電気代を、夜間=17時~朝7時の14時間、電力単価=30円/kWという条件で比較しました。
 
[画像2]https://digitalpr.jp/table_img/2303/132975/132975_web_1.png
  
 「Eco Power Mode」を使用することで、夜間の検査依頼に対応するために電源をONにしたままでも、現行の夜間電源OFFの運用からのコスト増は、291,270円/年(③-②)となります。これに人件費等を加えることにより、夜間の検査に対応する場合の実質コストを可視化できました。また、夜間の検査対応を行わない場合でも、「Eco Power Mode」を導入することで、229,950円/年(②-④)の電気代削減につながります。
 
 これら1と2による削減効果と合計すると、ソフトウェアのアップデートにより、年間約290千円のコスト削減が見込めることが分かりました。
 
 今回のモニタリング・分析の結果について、伯鳳会理事長の古城資久は以下のように述べています。「MRIは、患者さんに質の高い医療を提供する上で欠かせない一方、運用に伴う電力負荷が大きい装置でもあります。今回、電力消費の実測データに基づいた分析を通じ、検査や診療の質を損なうことなく省エネを推進する具体的な選択肢を確認できたことに大きな意義を感じています。医療の価値と病院経営の持続性を両立させる取り組みとして、今後も必要なアクションを進めていきたいと考えています。 」
 
 シーメンスヘルスケア株式会社の事業開発部長鎌田素子は、以下のように述べています。
「医療機関の持続可能性を高めていくためには、装置そのものの性能向上に加え、実際の運用データに基づいた現実的な改善の積み重ねが不可欠だと考えています。今回、伯鳳会グループ様とともに取り組んだMRI装置の電力消費モニタリングでは、現場の運用を丁寧に可視化することで、診療の質を維持しながらエネルギー負荷を抑える具体的な選択肢を示すことができました。今後も医療現場と協働しながら、品質と効率の向上、環境負荷低減を通じて価値を提供してまいります。」
 
 両者は今後も、実装、院内研修、効果検証など後続フェーズを着実に推進するとともに、ヘリウムフリーMRI装置の電力実測・従来装置との比較検討など、より先進的、実効的なテーマに取り組みます。
 
※1 Heye T, Knoerl R, Wehrle T, Mangold D, Cerminara A, Loser M, et al.
The energy consumption of radiology: Energy- and cost-saving opportunities for CT and MRI operation.
Radiology. 2020;295:593–605. doi:10.1148/radiol.2020192084
※2 U.S. Department of Energy, Medical imaging equipment energy efficiency. Better Buildings Fact Sheet. DOE/GO-102024-6385; September 2024


関連リンク
医療法人伯鳳会
https://www.hakuho.or.jp
シーメンスヘルスケア株式会社
https://www.siemens-healthineers.com/jp/about

プレスリリース情報提供元:Digital PR Platform