【神奈川工科大学(KAIT)】汎用PCで動作する高速SRv6ソフトウェアルータをオープンソースとして公開
配信日時: 2026-03-24 14:20:05



神奈川工科大学(KAIT)(所在地:神奈川県厚木市)は、JST「情報通信科学・イノベーション基盤創出(CRONOS)」委託研究「広帯域インラインコンピューティングの実現」の一環として、SRv6に対応したソフトウェアルータを開発し、オープンソースソフトウェアとして公開します。
本ソフトウェアルータは、先に公開した独自の実行環境「sdplane」を基盤に、DPDKを活用して汎用PC上で100Gbps級の高速パケット処理を実現するものです。特定メーカーに依存しない柔軟なネットワーク構成を可能にし、設備投資の抑制や用途に応じた機能拡張を通じて、次世代ネットワーク基盤の構築に貢献します。
【今回のソフトウェアの公開について】
神奈川工科大学では、2024年10月より、科学技術振興機構(JST)CRONOS委託研究「広帯域インラインコンピューティングの実現」に取り組んでいます。本研究では、「ネットワークやコンピューティングリソースの変化に追従し、柔軟に再構成可能なネットワークアーキテクチャ」の確立を目標とし、時間連続性を有する広帯域ストリームデータを、多様なネットワーク環境下で安定かつ低遅延に共有できる基盤の構築を目指しています。
本研究で提案するプラットフォームは、ルータ部とコンピューティング部におけるDPDKベースのレイヤ間処理を融合することでデータ転送を最適化し、広帯域・低遅延性能を実現します。さらに、広域テストベッド上でのアプリケーション実証を通じて、早期の社会実装につなげることを目標としています。
本プラットフォームの中核機能であるルータ部として、セグメントルーティング(*1)のIPv6ベース実装であるSRv6(*2)に対応したソフトウェアルータを開発し、カスタマイズ可能なオープンソースソフトウェアとして公開します。
本ソフトウェアルータは、汎用PC上で高速なパケット処理を実現するため、DPDK(Data Plane Development Kit)を採用しています。DPDKは、CPUコアおよびネットワークインタフェースカード(NIC)のリソースをOSカーネルから分離し、ユーザ空間から直接制御することで、高効率かつ低遅延なパケット処理を可能にする技術です。(図1)
図1 カーネルバイパス技術(DPDK)とsdplane
今回公開するSRv6ソフトウェアルータは、2025年9月8日にOSS公開済みのDPDKスレッド実行環境「sdplane」上で動作するアプリケーションとして実装されています。100Gbps級のIPv4およびIPv6のパケットフォワーディング機能に加え、Linuxのnetlink(*3)インタフェースを実装しており、Linuxの経路情報に基づくフォワーディングが可能です。これにより、各種動的ルーティングソフトウェアとの連携にも対応します。
さらに、SRv6の基本機能をサポートしているため、サービスファンクションチェイニング(*4)やトラヒックエンジニアリング(*5)など、次世代ネットワーク制御技術への応用が可能です。
近年、ネットワークの高度化により、高価な専用ルータへの依存や運用コストの増大が課題となっています。SRv6ソフトウェアルータにより、専用装置を用いずに高度なトラヒック制御を実現します。本技術は、設備投資の削減、柔軟な機能拡張、そしてオープンソース公開によるベンダー依存からの脱却を可能にし、持続可能なネットワーク基盤の構築に貢献します。
本ソフトウェアは現在も機能拡張を継続しており、キャリア事業者、データセンター事業者、ならびにネットワーク分野の研究機関の皆様に先行的にご活用いただけるよう、GNU GPLのオープンソースソフトウェアとして公開します。(図2、図3)
図2 sdplane ルータ
図3 sdplane 開発プラットフォーム
公開先URL:
https://github.com/kait-cronos/
https://github.com/kait-cronos/sdplane-oss/
【今後の展開】
本SRv6ソフトウェアルータについては、標準化された各種SRv6 Endファンクションの実装を順次拡充し、多様な用途に対応可能な機能強化を進めていきます。
また、スイッチ、ルータ、VLAN変換、BGP/EVPN、パケットキャプチャ、トラフィックジェネレータといった多様な機能を単一のプラットフォームに統合し、ネットワーク運用のシンプル化と効率化を目指します。
さらに、神奈川工科大学では、これまでに8K非圧縮映像を対象としたDPDKベースの映像処理機能を開発してきました。今後はこれらの技術資産を活用し、コンピューティング部とSRv6ルータ部が密接に連携するSRv6 End.AN(*6)プラットフォームの開発を推進します。
特に、大容量・超低遅延が求められる高精細映像伝送を具体的なユースケースとして、ネットワークとコンピューティングを統合的に制御するアーキテクチャの高度化を図ります。さらに、広域テストベッド環境における実証実験を通じて新たな応用分野の開拓を進め、次世代ネットワーク基盤技術の社会実装を加速していきます。
<研究助成等>
本研究成果の一部は、JST CRONOS の委託研究(JPMJCS24N9)およびJSPS 科研費22K12021、22K12003 により得られたものです。
<関連リンク>
神奈川工科大学 2025年9月公開:DPDKスレッド実行環境「sdplane」の公開について
https://www.u-presscenter.jp/article/6502
<用語解説>
(1)セグメントルーティング:ネットワークをセグメントとよぶ要素で表現し、パケットの転送をセグメントを指定することで行うルーティング方式。
(2)SRv6:Segment Routing over IPv6は、IPv6の拡張ヘッダを利用してパケット単位の経路制御を行う。拡張ヘッダ部にセグメント識別子(SID: Segment Identifier)と呼ぶロケーションと処理情報を複数追加することができ、各ルータはパケットをSIDリスト通りに特定の経路に誘導する。
(3)netlink:Linuxカーネルとユーザ空間アプリケーションとの間でネットワーク設定や経路情報などをやり取りするための通信インタフェース。ルーティングテーブルの更新やインタフェース設定の変更などの情報をリアルタイムに通知・取得できる仕組みで、動的ルーティングソフトウェアと連携する際に広く利用される。
(4)サービスファンクションチェイニング(SFC):通信データを決められた順番で複数の機能に通す仕組み。
(5)トラヒックエンジニアリング:ネットワークの混雑を防ぎ、通信を効率よく流すための“交通整理”の仕組み。
(6)SRv6 End.AN:SRv6 End Application Native:SRv6のパケットフォワーディング機能と処理機能(ネットワークファンクション)が一体化されたモデルで、低遅延インラインサービスチェイニングを実現する。
※「KAIT」は神奈川工科大学のコミュニケーションネームです。
▼本件に関する問い合わせ先
神奈川工科大学 研究推進機構
研究広報部門
住所:〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
TEL:046-291-3218
メール:ken-koho@mlst.kanagawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
プレスリリース情報提供元:Digital PR Platform
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