北星学園大学の視覚に障がいのある大学院生が「女性視覚障害者における複合差別の経験とその意味付け」をテーマとした論文で博士号を取得 ― 複合差別の実態を明らかにした世界的にも独自性の高い研究

プレスリリース発表元企業:北星学園大学

配信日時: 2025-03-11 20:05:07



北星学園大学(札幌市厚別区)大学院博士後期課程の安達朗子さんが、このたび、「女性視覚障害者における複合差別の経験とその意味付け」をテーマとした論文で博士(社会福祉学)を授与されるはこびとなった。安達さんは高校生の時、事故が原因で失明。女性視覚障害者が、女性であるとともに視覚障害者であるがゆえに被る「複合差別」をテーマに研究を続けてきた。実際に視覚障害者の声に耳をかたむけ、ライフストーリー・インタビューによって、その複合差別の実態を明らかにした。




 安達さんは、ライフストーリー研究法を用いた研究を実施。その結果、女性視覚障害者は、教育過程、就労、恋愛から結婚、妊娠と死産の経験という場面ごとに、複合差別を経験していることがわかった。
 博士論文「女性視覚障害者における複合差別の経験とその意味付け ― 女性視覚障害者は複合差別をどのように生きてきたか ―」は、指導教員である田中耕一郎教授からも高く評価。同論文は1年以内に北星学園大学図書館によって電子データで公開される。

■田中耕一郎教授(社会福祉学部社会福祉学科) コメント
 複数の女性視覚障害者のライフストーリーをこれほどまでに深く探求し、複合差別の実態と、その差別に対峙する女性視覚障害者たちの生活戦略を浮き彫りにした安達さんの研究は、国内の障害者福祉研究や障害学においては言うまでもなく、世界においても類を見ない独自性を持つ大変貴重な研究であり、障害者福祉研究・障害学の進展に大きく貢献するものだと言えます。安達さんの研究に対する真摯な姿勢と人後に落ちない熱意によって生み出された労作に、私は深く敬意を評したいと思います。

■安達朗子さん コメント
 私は、視覚障害に対する北星学園大学の万全なサポート体制と、温かく見守り、 応援して下さった先生方や職員の皆様のおかげで、安心感と探求心を持ちながら、有意義な研究生活を送り、自分の可能性を開花させることができました。今後 は、この北星学園大学で培ったことを発揮し、多くの方々の力になれるよう尽力 して参ります。

《安達朗子さん 経歴》
 高校生の時に信号無視の車にひき逃げされ、重傷を負って失明。その後リハビリに励み、20歳で北海道高等盲学校(現・北海道札幌視覚支援学校)に入学。2008年に北星学園大学短期大学部英文学科に入学。2010年同大文学部英文学科に三年次編入学し、首席で卒業。同大大学院文学研究科および社会福祉学研究科を修了し、同大学院博士後期課程へ入学。2025年3月、博士(社会福祉学)を取得。

(参考/2022年論文)
・論文名:女性視覚障害者における複合差別の経験とその意味づけ――ある女性視覚障害者のライフストーリーの分析を通して――
・著者:安達 朗子
・DOI: https://doi.org/10.24469/jssw.63.1_30


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