武田薬品、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する維持療法としてのHYQVIA®について、CHMPの肯定的意見を取得

プレスリリース発表元企業:Takeda Pharmaceutical Company Limited

配信日時: 2023-12-17 00:47:00

武田薬品、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する維持療法としてのHYQVIA®について、CHMPの肯定的意見を取得

HYQVIA[遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%] が承認されれば、 自宅や職場で最大月1回の皮下投与で治療する選択肢が実現
第3相ADVANCE-CIDP 1試験で、統計的に有意な再発率の減少という主要評価項目を満たしたことを踏まえた肯定的意見1


(日本・大阪およびマサチューセッツ州ケンブリッジ)- (ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社 (東京証券取引所:4502/ニューヨーク証券取引所:TAK)は、欧州医薬品庁(EMA)ヒト用医薬品委員会(CHMP)が、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する安定した静注免疫グロブリン(IVIG)療法後の維持療法としてのHYQVIA®[遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]の承認を推奨したことを発表しました。欧州委員会(EC)は、CIDPに対するHYQVIAの販売を欧州連合全域で承認する可能性を判断する際に、CHMPの肯定的意見を考慮します。

武田薬品プラズマ デライブド セラピーズ ビジネス ユニットのリサーチ&デベロップメントのシニア バイス プレジデント兼研究開発責任者であるクリスティナ・アルキメッツは、「武田薬品は、差別化された免疫グロブリン療法を神経免疫疾患の患者さんに提供することで、幅広い患者さんのニーズに応える治療の選択肢を提供することにフォーカスしています。CHMPの肯定的な意見は、CIDP患者とその介護者に有効な治療法を提供するための重要な一歩であり、承認されれば、自宅や職場での最大月1回の皮下投与という形で、個々の患者さんに合わせた維持療法を実現できる可能性があります」と述べます。

CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす慢性の後天性免疫介在性疾患であり、遠位および近位四肢の進行性の対称性筋力低下と感覚機能障害を特徴とします。2衰弱性かつ緩徐進行性、または再発を伴う希少な本疾患の療法として、免疫グロブリン(IG)療法が確立されています。同療法の幅広く多面的な免疫調整および抗炎症効果により、EAN/PNSガイドラインでは、これを複雑な異質性疾患である本疾患の標準治療と見なしています。3,4ただし、本疾患を効果的に管理するには多くの投与量とともに高頻度での投与が必要になるため、患者ならびに医療提供者にとって治療が大きな負担となることがあります。

今回提案されたHYQVIAの適応拡大は、成人CIDP患者の維持療法としてのHYQVIAについて調査した主要な第3相ADVANCE-CIDP 1臨床試験のデータに基づいています。

成人CIDP患者の維持療法としてのHYQVIAの使用について、米国でも承認審査が行われています。

HYQVIA®について

HYQVIA®[遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]は、遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼと免疫グロブリン(Ig)を含有する液剤であり、原発性免疫不全症(PID)の成人患者の治療として承認されています。また、欧州では、成人、小児および青年のPID患者、および重度または再発性感染症、無効な抗菌薬療法、特異的抗体不全(PSAF)が認められているか血清IgG濃度が4 g/L未満の続発性免疫不全症(SID)患者に対する補充療法としても承認されています。HYQVIAは、皮下脂肪組織に皮下注射されます。HYQVIAはヒト血漿から収集した免疫グロブリンを含んでおり、免疫グロブリンは身体の免疫系を維持する抗体です。 HYQVIAのヒアルロニダーゼ部分は、身体により多くのIgが吸収されるのを促進します。HYQVIAは最大で月1回(3または4週間毎)投与されます。

ADVANCE臨床試験について

ADVANCE-CIDP 1試験は、多施設共同プラセボ対照二重盲検臨床第3相試験であり、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の再発予防の維持療法としてHYQVIA®[遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]の有効性、安全性、忍容性を評価しました。本グローバル試験は、CIDPの確定診断を受け、スクリーニング前の少なくとも3ヵ月間、静注免疫グロブリン(IVIG)療法の用法・用量に変更がなかった成人患者132名を対象としています。

本臨床試験の主要評価項目は、連続する2回の調整INCATスコアにおいて、皮下(SC)投与前のベースラインスと比較して、1ポイント以上の増加と定義される機能障害の増悪がみられた患者の割合でした。有効性の主要解析では、統計的有意水準5%での連続補正カイ2乗検定を用いて再発率を比較し、欠損データは再発なしとしました。副次評価項目には、再発確率によって定義される再発までの期間、日常生活活動(ADL)への影響、安全性および忍容性が含まれています。患者を無作為に割り付けし、HYQVIAまたはプラセボのいずれかをこれまでのIVIG投与と同じ用量ならびに頻度(2、3、4週ごと)で6か月間または再発まで投与が行われました。再発した患者には、救済療法として、IVIG治療を最大6か月間投与しました。再発が認められなかった場合には、ADVANCE-CIDP 1試験を終了したCIDP患者を対象として、HYQVIAによる長期安全性、忍容性、免疫原性を評価することを目的とする非盲検エクステンション試験であるADVANCE-3の一部として、HYQVIA治療を継続を提案されました。

ADVANCE-1試験に関する詳細な情報は、ClinicalTrials.govの研究識別番号NCT02549170をご覧ください。

HyQvia®(ヒト免疫グロブリン) 100 mg/ml の皮下注射用 処方情報

処方前には必ず、製品概要(Summary of Product Characteristics:SmPC)および各国独自の処方情報を参照してください。

外観:HyQviaは2つのバイアルから構成され、1つのバイアルはヒト免疫グロブリン(IG)10%、もう1つはヒアルロニダーゼ(ヒト組換え型)(詳細は、SmPCを参照)です。

適応症:抗体産生不全を伴う原発性免疫不全症候群、重度または再発性感染症、奏功しない抗菌薬治療、および特異的抗体不全(PSAF)が認められているか血清IgG濃度が6 g/Lの続発性免疫不全症(SID)の成人、小児および青年(0~18歳)の患者に対する補充療法。PSAFは、肺炎球菌多糖類およびポリペプチド抗原ワクチンに対するIgG抗体力価を少なくとも2倍上昇できない状態です。

用法および用量:皮下注射のみ。補充療法は、免疫不全治療に経験のある医師の監督の下で開始および監視される必要があります。製品は使用前に室温に戻してください。投与前に両方のバイアルに変色や粒子状物質がないか検査してください。電子レンジなどの加熱機器は使用しないでください。2つのバイアルの成分を振ったり混ぜたりしないでください。推奨される注射部位は、腹部の中部から上部、および大腿部です。遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼから投与し、続けてIG 10%を同じ針を通して連続的に投与する必要があります。注入速度についてはSmPCを参照してください。IG 10%バイアルの全量を投与するかどうかに関係なく、遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼのバイアルの全量を投与する必要があります。注入部位の漏れを防ぐために、医師の監督の下でより長い針を使用して投与することができます。在宅治療は、在宅治療に関する患者の指導に経験のある医師によって開始され、モニタリングされる必要があります。

用法・用量:用法・用量レジメンは、反応に応じて患者ごとに個別に設定する必要があります。体重に基づく投与では、低体重・過体重の患者には調整が必要になります。IG療法が初めての患者:6 g/Lのトラフ濃度達成に必要な容量は、体重1㎏・1月あたりおよそ0.4~0.8 gです。定常状態レベルを維持するための投与間隔は、2~4週間と変動します。トラフ濃度は、感染の発生率と併せて測定、評価してください。感染率を減少させるためには、投与量を増加させ、より高いトラフ濃度(> 6 g/L)を目指す必要がある場合があります。治療の開始時、最初の投与間隔は1週間間隔の投与から3~4週間の投与へと徐々に期間を延ばしていくことが推奨されます。以前静脈注射(IV)により、IG療法を受けていた患者:IV IGから直接切り替える患者、または以前IGをIV投与されたことがある患者は、以前のIV IG治療と同じ投与量および同じ頻度で投与する必要があります。以前皮下投与によりIG療法を受けていた患者:現在IGの皮下投与を受けている患者は、HyQviaの初回用量は皮下投与と同じですが、3~4週間の間隔に調整することができます。IGの皮下投与から直接切り替える患者では、HyQviaの初回注射を前回のIGの投与から1週間以上開けて行ってください。続発性免疫不全:推奨用量は、3~4週間ごとに、体重1 kgあたり0.2~0.4 gとなります。感染の発生率と併せて、トラフ濃度を測定し、評価してください。感染を防止できる最適な投与量に調整が必要となり、持続した感染が見られる患者には増量が必要となる場合があります。感染が全くない状態が保たれている場合は、投与量の減少を検討することができます。小児および青年(0~18歳):成人向けの用法・用量に従ってください。

禁忌:すべての成分またはヒトIGに対する過敏症、特にIgAに対する抗体を有する患者、ヒアルロニダーゼまたは遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼに対する全身性過敏症の患者にはHyQviaは静脈または筋肉注射で投与してはなりません。

警告および注意事項:HyQviaが誤って血管内に投与された場合、患者にショック症状が起こる可能性があります。SmPCに定める推奨投与速度を守ってください。ゆっくりと注入し、特に治療開始時の患者においては注入期間を通して注意深く監視してください。投与後1時間まで、患者の観察が必要になる場合があります。注入に関連する副作用は、注入速度を遅くするか、中断して管理してください。治療法は、有害事象の性質と重症度によって異なります。患者には、注射部位またはその他の部位で発生した慢性的な炎症および結節について、報告するように指示してください。在宅治療の場合は、患者は副作用が発生した場合に備え、別の責任者によるサポートを受ける必要があります。HyQviaによる治療とバッチ番号を患者の記録簿に記録してください。

過敏症:抗IgA抗体を有する患者には過敏反応が発生する可能性があり、代替療法が不可能であり、医師による厳重な監督下にある場合のみ、HyQviaでの治療が可能になります。過敏症、ショックまたはアナフィラキシー様反応などが発現した場合、直ちに注入を中止して適切な処置を施してください。稀にヒト免疫グロブリンがアナフィラキシー反応を伴う血圧低下を引き起こすことがあります。高リスクの患者には、生命の危機に関わる反応に備え、対症療法が可能な環境でのみ投与する必要があります。患者には、アナフィラキシー/過敏症の初期兆候についてよく説明しておいてください。予防措置として、前投薬を行う場合もあります。

遺伝子組換えヒト ヒアルロニダーゼに対する過敏症:遺伝子組み換えヒト ヒアルロニダーゼによるあらゆるアレルギーまたはアナフィラキシー様反応の疑いがある場合、直ちに注入を中止し、必要に応じ標準的治療を実施する必要があります。遺伝子組み換えヒト ヒアルロニダーゼの免疫原性:遺伝子組み換えヒト ヒアルロニダーゼ成分に対する非中和抗体が、臨床試験でHyQvia投与を受けた患者に報告されています。

血栓塞栓症:心筋梗塞、脳卒中、深部静脈血栓症、 肺塞栓などの栓塞がIG治療で観察されており、HyQviaの使用により発生する可能性を否定しきれません。治療前に、十分な水分補給を行ってください。血栓症の兆候と症状を観察し、リスクのある患者の血液粘性を評価してください。患者には、初期症状について説明し、発症時は医師にすぐに伝えるように助言してください。

溶血性貧血:IG製剤には溶血素として作用する可能性のある血液型 (A、B、D など) に対する抗体が含まれています。溶血の兆候や症状について患者をモニタリングしてください。

急性腎不全:IG製剤の静脈内(IV)投与による重度の腎不全反応が報告されています。

無菌性髄膜炎症候群:無菌性髄膜炎症候群が報告されており、通常、投与より数時間から2日後にかけて症状が始まるとされています。患者には、初期症状について説明しておくようにしてください。IGの投与を中止することで、数日以内に後遺症を残さずに寛解する場合があります。

伝染性病原体:感染性病原体の伝播による感染症は、完全には除外しきれません。

ナトリウム含有量:遺伝子組み換えヒト ヒアルロニダーゼ構造体は、ナトリウムを4.03 mg/mLの割合で含有しています。ナトリウム制限下にある患者には、考慮が必要です。

トレーサビリティ:投与した製剤の名称およびバッチ番号は、明確に記録してください。

薬物相互作用: 弱毒化生ワクチン– HyQviaによる治療後3か月は、ワクチン接種を控えてください。麻疹ワクチンにおいては、最大1年までワクチンによる免疫反応を阻害する可能性があるため、抗体の状況を確認してください。詳細は、SmPCを参照してください。

出産、妊娠、授乳:妊娠期間中の安全性は確立されておらず、免疫グロブリンは母乳に分泌されるため、妊婦および授乳婦への使用は注意してください。

運転および機械操作能力への影響:HyQviaによる、眠気など運転および機械操作に対する影響は、皆無または無視できるものです。詳細は、SmPCを参照してください。

望ましくない副作用: 発現頻度が非常に高い(10名中1名以上):熱感、注射部位の感覚の異常、注射部位の痛み(不快感、圧痛、そ径部の痛みなどを含む)

発現頻度が高い(100名中1名以上、10名中1名未満):嘔吐、吐き気、腹痛(上腹部、下腹部の痛みと圧痛を含む)、下痢、注射部位の紅斑、注射部位の腫れ(局所の腫れおよび浮腫を含む)、注射部位のそう痒(外陰部そう痒を含む)、発熱、無力症(無力症、疲労感、嗜眠、倦怠感を含む)、筋肉痛、筋骨格系胸痛、頭痛。

その他の重篤な望ましくない影響(まれまたは頻度不明):直接クームス検査陽性、無菌性髄膜炎。すべての有害反応および薬物相互作用の詳細については、SmPCをご参照ください。

販売許可(MA)番号:: 2.5g EU/1/13/840/001、5g EU/1/13/840/002、10g EU/1/13/840/003、20g EU/1/13/840/004、30g EU/1/13/840/005。医薬品市販承認取得者名および住所:Baxalta Innovations GmbH, Industriestrasse 67, A-1221 Vienna, Austria。HyQviaは、登録商標です。

PI承認コード:pi-02539

作成日:2023年6月

ご要望により、詳細情報を提供いたします。

有害事象は、各国の規制に基づきご使用になっている国の機関に報告する必要があります。また、武田薬品にも次のアドレス宛に有害事象をご連絡ください:GPSE@takeda.com

この医薬品は追加モニタリングの対象となります。これにより、新たな安全性情報が迅速に特定されます。医療従事者は、副作用が疑われる場合には報告するよう求められています。副作用の報告方法については、SmPCのセクション4.8を参照してください。

米国における全処方情報については、https://www.shirecontent.com/PI/PDFs/HYQVIA_USA_ENG.pdfをご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社は、人々のより優れた健康とより明るい未来を創り出すことに注力しています。武田薬品は、核となる消化器系や炎症、希少疾患、⾎漿分画製剤、腫瘍、ニューロサイエンス(神経精神疾患)そしてワクチンなどの治療および事業分野において、革新的な医薬品を発見し、提供することを目的としています。提携企業と共に、ダイナミックかつ多様なパイプラインを通し、武田薬品は患者さんのエクスペリエンスを改善し、新たな治療選択肢を広げることを目指しています。日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーであり、患者さん、社員、地球へのコミットメントが原動力となっています。およそ80の国と地域に在籍する社員は、武田薬品の掲げる目的を行動の糧としており、2世紀以上にわたり社を定義してきた価値観を基盤としています。詳細は、www.takeda.comをご覧ください。

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1 Bril V, Hadden RDM, Brannagan TH 3rd, Bar M, Chroni E, Rejdak K, Rivero A, Andersen H, Latov N, Levine T, Pasnoor M, Sacconi S, Souayah N, Anderson-Smits C, Duff K, Greco E, Hasan S, Li Z, Yel L, Ay H. Hyaluronidase-facilitated subcutaneous immunoglobulin 10% as maintenance therapy for chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy: The ADVANCE-CIDP 1 randomized controlled trial. J Peripher Nerv Syst. 2023 Sep;28(3):436-449. doi: 10.1111/jns.12573. Epub 2023 Jul 6. PMID: 37314318.
2 Dalakas MC. Nat Rev Neurol. 2011;7(9):507–17.
3 Eftimov F, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013;12:CD001797.
4 Van den Bergh, P. Y. (2021). European Academy of Neurology/Peripheral Nerve Society guideline on diagnosis and treatment of chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy: Report of a joint task force—second revision. European Journal of Neurology, 28(11), 3556–3583. https://doi.org/10.1111/ene.14959

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