2023年度自賠責運用益拠出事業17.1億円を決定

プレスリリース発表元企業:一般社団法人 日本損害保険協会

配信日時: 2023-02-16 15:00:00

一般社団法人日本損害保険協会(会長:白川 儀一)は、2月16日(木)の理事会において、各損害保険会社から拠出される自動車損害賠償責任保険の運用益を活用し、新規4事業を含めた38事業に対する総額17億888万円の支援を決定しました。

当協会では、1971(昭和46)年から、同運用益を活用して自動車事故防止対策事業や自動車事故被害者対策事業などの多様な分野に対する支援を行っています。
2023年度は、事故当事者や家族等への支援につながるよう、自動車事故被害者対策を中心に取り組むとともに、昨今の交通環境の変化を踏まえて、自動車事故防止対策にもより一層注力することを基本方針としています。事業の詳細は、別紙「自賠責運用益拠出事業一覧」をご参照ください。

なお、自動車事故防止対策においては、自動車事故の防止に貢献する様々な取組みに関して幅広く情報を収集するため、2019年度から公募制を導入し、より社会的ニーズに即した事業・研究に拠出するように努めています。
※自動車事故防止対策事業の公募については、当協会ホームページをご参照ください。
(2024年度の公募は、2023年4月頃にご案内予定です)
URL: https://www.sonpo.or.jp/about/efforts/reduction/jibai-info/

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/344115/LL_img_344115_1.jpg
交通事故による脳外傷や脊髄損傷などで重度後遺障害を被った被害者やその家族に対して実施される「リハビリテーション講習会」

交通事故による脳外傷や脊髄損傷などで重度後遺障害を被った被害者や
その家族に対して実施される「リハビリテーション講習会」


1. 2023年度「自賠責運用益拠出事業」概要
(1)自動車事故防止対策
交通事故防止のための啓発・教育
交通事故防止機器の寄贈
交通事故防止に関する研究

(2)救急医療体制の整備
救命救急医療機器・機材の購入費補助
救急医師・救急看護師の育成
ドクターヘリ事業の推進

(3)自動車事故被害者対策
交通事故相談等への支援
交通遺児への支援、被害者・家族等の心のケア
講習会の支援、研究支援

(4)後遺障害認定対策
公募による医療研究助成

(5)医療費支払適正化対策
医療費支払適正化の取組み


2. 2023年度に支援する新規事業・研究の紹介
(1)自動車事故防止対策
ア. 地域の安全を守る「高齢者安全運転点検・助言」の実施と「中学生の交通事故防止自己学習システム」の構築(事業主体:(NPO)安全と安心 心のまなびば)
・本事業は、高齢者の安全意識の向上及び安全な運転行動寿命を延伸できるよう「高齢者安全運転点検・助言プロジェクト」を立ち上げ、高齢運転者の運転能力・身体機能・健康体力の測定結果に基づく専門家による助言を実施します。また、子ども(中学生)においては、生徒が主役となり、自己学習およびアクティブラーニングを実施することで安全意識の向上を図るシステムの構築を目指します。これらの取組みにより、高齢者の安全な運転行動寿命の延伸及び子どもの交通事故防止の教育効果を高められることが期待されます。

イ. 体調起因性事故予防に向けた効果的なドライバーモニタリング及び運転支援技術の検討(研究主体:(一社)日本交通科学学会)
・自動運転技術が進歩し、対応主体がシステムになっても運転者はシステムの介入要求時には適切に対応することが求められます。本研究では、運転者の居眠りや急な体調変化にも適切に対応できる効果的なドライバーモニタリングシステムの構築及び運転支援技術を検討し、今後進展する自動運転技術にも適用させていこうという新たな試みであり、体調起因性事故の防止対策に実践的に寄与し、広く活用されることが期待されます。

(2) 救急医療体制の整備
○交通外傷で受傷した開放骨折患者に明るい未来をもたらす日本全国で運用可能な外傷ネットワークの構築(事業主体:慶應義塾大学医学部救急医学)
・緊急手術を要する開放骨折治療に対する正しい知識を、救急隊や整形外科が効率的に学べる教育システムと教科書を構築・作成します。更に、作成した教科書に準じたアプリケーションを開発し、アプリケーションを用いた外傷ネットワークモデルの構築を行い、地域を限定して効果検証のうえ、AIを用いた全国で運用可能な搬送システムの構築を検討します。本取組みにより、感染対策の観点から緊急対応が必要とされる開放骨折患者の迅速かつ的確な搬送システムが普及していくことが期待されます。

(3)自動車事故被害者対策
○高次脳機能障害者のピアサポーター養成のための実践的研究(研究主体:千葉リハビリテーションセンター)
・高次脳機能障害者の復職に向けて、自治体が開催する「障害者ピアサポート養成研修(自治体研修)」への参加を促し、就労にまで結びつけることを目的として、エスポアール出雲クリニックを中心に作成した「ピアサポーター養成準備研修テキスト」を活用して、全国各地で、ピアサポート養成研修の「準備研修」を実施します。また、同研修での意見や実態を反映させ、より実効性の高いテキストに改定して普及させることも目指します。本研究で行う「準備研修」に参加することで自信を付け、自治体研修への参加意欲を後押しし、高次脳機能障害領域でのピアサポーターの増加と就労が推進されることが期待されます。


<ご参考>「自賠責運用益拠出事業」について
・自賠責保険は、交通事故被害者への損害賠償という保険本来の役割だけでなく、自賠責保険の収支の改善や被害者保護を増進するため、交通事故防止や救急医療体制の充実、被害者やその家族への支援事業などを支える役割も担っており、自賠責保険の運用益が活用されています。

・自賠責運用益の使途は、将来の自賠責保険の収支改善のための財源とするほか、自動車事故防止対策、救急医療体制の整備、自動車事故被害者対策等に必要な費用など、被害者保護の増進に資する施策に活用できるとされています(自賠法第28条の3)。

・当協会では、各損害保険会社から運用益の拠出を受け、真に被害者の支援となる事業を心掛け、「自賠責運用益拠出事業」の運営を行っております。


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