3Dインベストメント:富士ソフトの会社提案を受け、プレゼンテーション資料を更新して見解を表明
配信日時: 2022-11-17 17:20:00
3Dは富士ソフトの株主提案に対する意見と会社提案の開示を受けて、プレゼンテーション資料を更新しました
富士ソフトの当社推薦候補者の独立性に関する記載は株主の皆様に深刻な事実誤認を生じさせるものです
3Dは会社提案の3名の取締役候補者のうち、2名の選任に反対し、1名の選任に賛成します
(東京)-(ビジネスワイヤ) -- 3D OPPORTUNITY MASTER FUNDの資産運用会社である3D Investment Partners Pte. Ltd. (以下、3D Investment Partners Pte. Ltd.及び3D OPPORTUNITY MASTER FUNDを総称して「3D」又は「当社」)は、2022年11月7日付けで富士ソフト株式会社(以下「富士ソフト」)が発表した「臨時株主総会の開催日時等の決定並びに臨時株主総会の付議議案及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」(以下「当該開示資料」)を受けて、株主提案の詳細を説明したプレゼンテーション資料を更新いたしました。また、当該開示資料における当社推薦候補者の独立性に関する事実誤認への注意喚起と、会社提案に対する議決権行使の方針等について、以下のとおり見解を開示いたします。
本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:https://www.businesswire.com/news/home/20221116006099/ja/
別添資料 (画像:ビジネスワイヤ)
プレゼンテーション資料更新版:
https://www.3dipartners.com/engagement/fujisoft-presentation-on-shareholderproposal-jp-202210.pdf
株主の皆様へ
当社は、現在、富士ソフトの発行済み株式を21%以上保有する筆頭株主です。当社は、富士ソフトが継続的かつ飛躍的な企業価値成長を実現するためには、事業効率や資本効率の改善にもフォーカスした成長戦略の追求が必要であると考えております。しかしながら、現在の取締役会はそれらを追求するために必要な経営課題に対応した専門性や執行からの独立性に欠けているため、当社は、4名の社外取締役候補者(以下「当社推薦候補者」)について取締役の選任に係る株主提案(以下「当該株主提案」)を行いました。
これに対して、富士ソフトは2022年11月7日に当該開示資料を公表し、当社推薦候補者のうち2名を会社提案としての取締役候補者とすること、残りの2名についてはその選任に反対すること、及び別途3名を会社提案としての取締役候補者とする取締役選任議案を提案することを公表いたしました。しかしながら、当該開示資料には株主の皆様に深刻な事実誤認を生じさせる記載が含まれております。また、新たな3名の取締役候補者についての会社提案は、当社推薦候補者による取締役会への影響を減殺するためのものと疑わざるを得ません。そこで、当社は、以下のとおり、当該開示資料及び会社提案の取締役候補者に対する当社の見解をご説明いたします。
当社は、当社推薦候補者4名(石丸氏、岡村氏、清水氏、筒井氏)及び会社提案の今井氏を新たな社外取締役として選任することが、富士ソフトの中長期の企業価値向上のために、最善であると確信しております。株主の皆様におかれましては、当社のプレゼンテーション資料や、下記当社見解を十分にご検討いただき、議決権を行使していただきますよう、お願い申し上げます。
独立性に関する誤導への注意喚起
富士ソフトは、当社による当該株主提案を受け、11月7日、当該開示資料における「第3号議案(株主提案)に対する当社取締役会の意見」にて、以下のとおり、あたかも「株主提案候補者の当社取締役の在任期間における」当社の「株式の買い増し制限、株主提案の制限等」を定める合意書を締結できなかったために、当社推薦候補者の当社からの独立性を確認できなかったかような記載をしております。
「当社はこれまで、請求株主との間で、株主提案候補者の当社取締役の在任期間における、請求株主による当社株式の買い増し制限、株主提案の制限等を定める合意書を締結することで、株主提案候補者の請求株主からの独立性の確保を実効性あるものにし、本臨時株主総会以降も含めて請求株主との建設的な対話のための環境を整えることも模索してまいりましたが、請求株主とは合意には至っておりません。」
(2022年11月7日 「臨時株主総会の開催日時等の決定並びに臨時株主総会の付議議案及び株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ」より抜粋)
(以下「当該独立性に関する記載」)
しかしながら、この記載は、株主の皆様に深刻な事実誤認を生じさせるものです。
当社は、10月4日付けで当社推薦候補者が当社から独立していることを担保するための誓約書(以下「当該誓約書」)のドラフトを送付し、その後、富士ソフトとの間で数次にわたる内容の修正を行いました。その結果、11日4日付けで富士ソフトから「リーガル確認が終了いたしました。本内容での差し入れをお願いいたします。」との連絡をうけ、同日、当該誓約書を差し入れております。
(https://www.3dipartners.com/engagement/PledgeSigned_20221104.pdf)
当該誓約書は下記の内容を含むものです。
当社推薦候補者が富士ソフトの取締役に選任された場合、当該候補者は、守秘義務及び法令・定款等に定める義務を遵守し、当社は、当該候補者に対し、直接又は間接を問わず、これらの義務に違反するよう働きかけを行わないこと。現在および過去において、当社推薦候補者を取締役に推薦すること以外に、当社と候補者の間には、商業上または取引上の関係や他の株主において共通する利害関係と異なる利害関係はなく、当社推薦候補者は、当社から完全に独立していること。今後も、当社と当社推薦候補者の間で、商業上または取引上の関係を持つ予定はなく、当該候補者に対して報酬を支払う予定もないこと。上記に反する事実が判明し、当社推薦候補者がこれを理由として辞任する場合に当社は当該候補者の辞任に反対しないこと。上記2及び3の誓約により、当社推薦候補者が、過去、現在、将来のいずれの時点においても、当社から完全に独立していることは、法的に担保されております。また、当社推薦候補者が取締役に選任された場合、富士ソフトに対して善管注意義務(会社法330条、民法644条)を負い、株主共同の利益のために行動すべき責任を負うこととなりますが、上記1により、法的拘束力を伴う方法によって、当社は、当社推薦候補者に対して法令等に違反するような働きかけを行わないことを誓約しております。そのため、当社が当社推薦候補者に株主共同の利益に反する行為をするよう働きかけることは不可能です。したがいまして、当社推薦候補者は当社から完全に独立しており、富士ソフトも当該誓約書の受領により、その事実を確認しています。
このような背景があるにもかかわらず、富士ソフトが開示した当該独立性に関する記載は、本誓約書の存在に一切触れることなく、あたかも当社推薦候補者が当社から独立しておらず、かつ、当社がその独立性の確保のために一切対応をしなかったかのような事実と異なる印象を生じさせるものであり、株主の皆様に深刻な事実誤認を引き起こすものです。
株主の皆様におかれましては、当社推薦候補者の4名が当社から完全に独立している事実や、富士ソフトも承認した当社推薦候補者の独立性を担保するために十分な内容の当該誓約書を当社が差し入れることによって当社推薦候補者の独立性を確保するための措置が既に執られている事実について、是非ご理解くださいますよう、お願い申し上げます。
なお、当該独立性に関する記載は、株主が議決権の行使内容を適切に判断するうえで重要な事実をあえて記載しないなど、株主総会において株主が判断を行うに資する情報について、意図的に不正確な記載をしているものです。これは、「上場会社は、株主総会において株主が適切に判断を行うことに資すると考えられる情報について、必要に応じて的確に提供すべきである」という指針(コーポレートガバナンス・コード補充原則1-2①)に反するものであり、富士ソフトの深刻なガバナンス不全を示すものであると考えております。
富士ソフトからの「株式の買い増し制限、株主提案権の制限」等の要望について
当該独立性に関する記載にある「合意書」(以下「当該合意書」)は、当社が、富士ソフトから、当社推薦候補者の独立性を確保したいとの理由により、富士ソフト、当社、当社推薦候補者の三者間で締結することを打診されたものです。
当該合意書は、当社推薦候補者のいずれもが富士ソフトの取締役でなくなるまでの間、当社は富士ソフトの株式の買増しを行わないこと、富士ソフトに対して少数株主権を行使しないことなどを含むものでした。
しかしながら、会社・投資家株主間での合意による株式の買増制限や少数株主権行使の制限は、会社経営者の自己保身のために用いられるおそれがあるものであって、投資家株主がその派遣した取締役を利用して不当に利益を得ることを防止する限度において正当化されるものです。
すなわち、株式の買増制限は、投資家株主が派遣した取締役を通じ、投資家株主が情報の非対称性を利用して株式売買等を行うことにより利益を得ることや、株式取得による圧力を背景として対象会社に自己に有利な取引を行わせることを防止することが正当化事由であるとされております。また、少数株主権行使の制限については、投資家株主の派遣した取締役が、当該投資家株主による少数株主権行使を示唆することにより、取締役会で自らの主張を押し通すことが可能となり、取締役会が会社の最善利益に適う決定を下すことが困難になることを防止することなどが正当化事由であるとされております。
しかしながら、本件においては、下記3つの理由から、株式の買増制限や株主権行使の制限を行うことについての正当化事由はありません。
・ 当社は、当社から完全に独立し、中長期の企業価値向上に資する専門性を有した4名を社外取締役の候補者に推薦していること
・ 当該誓約書において、当社推薦候補者の過去、現在、将来にわたる独立性が法的に担保され、かつ、就任後に特定株主の利益のための働くリスクが排除されていること
・ 当該誓約書の内容が独立性を法的に担保したものであることは、石丸氏と清水氏が会社提案の取締役候補者として臨時株主総会に上程される事実からも明らかであること
当社は、以上のような判断に基づき、富士ソフトに対し、当該誓約書ではなく、当該合意書の締結が、なぜ当社推薦候補者の独立性の確保のために必要であるのかについて繰り返し質問しましたが、合理的な回答は得られませんでした。当社は、当該合意書の締結が、企業価値向上や少数株主の利益の保護に必要不可欠なものであるならば、締結する意思を有しておりましたが、それらについても富士ソフトからは合理的な回答を得られませんでした。そのため、当社は当該合意書の締結を断念し、誓約書を差し入れることとしております。
以上のとおり、本件において、当該合意書の締結は、当社推薦候補者の独立性の確保、企業価値向上、少数株主の利益の保護のいずれにも資さないものです。当社は、富士ソフトがそれを要望し続けた事実について、経営陣の保身を疑わせるものであると強く懸念しております。しかしながら、富士ソフトの経営陣の意図の如何にかかわらず、当社は、今後も、企業価値向上及び少数株主の皆様の利益の確保のため、「株式の買い増し制限、株主提案権の制限」を内容とする合意書を締結することが必要であるかどうかについて、他の株主の皆様のご意見も踏まえたうえで、真摯な検討を続けて参る所存です。
会社提案に対する議決権行使方針
富士ソフトは、当社の4名の社外取締役選任提案を受けて、3名の社外取締役の選任提案(以下「当該会社提案」)を行っておりますが、これは当社推薦候補者による富士ソフト取締役会への好影響を減殺するためのものであることがうかがわれるものであり、さらには経営陣が保身を図るためのものであると疑わざるを得ないものです。
すなわち、富士ソフトは、2022年2月付け第52回定時株主総会招集通知においては、現在の取締役会が「当社基本方針や中期方針のもと企業価値を高めていく最適且つ実効性ある経営監督機能を有する体制」であり、現任取締役の9名が「最適な布陣である」ことを理由として、当社による社外取締役2名を追加することを内容とする取締役の選任提案に反対意見を示していました。
また、2022年8月5日付け「企業価値向上委員会の新設について」によれば、現在の取締役会出席者により企業価値向上委員会を構成し、本年11月に社内での中間報告を取りまとめ、来年2月に最終結論を出す予定としていました。
このように、富士ソフトは、現取締役9名で企業価値向上のために十分な体制が整備されており、社外取締役の追加選任は不要であるという行動を続けてきました。それにもかかわらず、富士ソフトは、当社が当該株主提案を行ったことを受けて、急遽、当該会社提案を行うに至っております。当社が実施した各候補者へのインタビューによれば、富士ソフトから各候補者に対する取締役候補者となることについての最初の打診は、当社の臨時株主総会招集請求がなされた後に行われたとのことです。
このような経緯を踏まえれば、当該会社提案は、当社推薦候補者4名の取締役会に対する影響力を薄めることで、その経営に対する影響等を減殺しようとするものと考えられます。
富士ソフトが当社に対して、誓約書ではなく、株式の売買等を制限する内容の当該合意書の締結を求めたことも勘案すると、当該会社提案が、真に、富士ソフトのコーポレートガバナンス機能の強化による企業価値の向上を企図して行われたものとは考え難く、経営陣の保身の意図すら疑われます。
他方、当社は、上記定時株主総会から一貫して、取締役会の機能強化のために社外取締役の追加選任を求めており、本臨時株主総会においても、会社提案、株主提案の別を問わず、経営課題に対応した専門性を十分に備えた人材であれば、取締役として選任することが、富士ソフトの取締役会の監督機能強化と企業価値向上に寄与すると考えております。そのため、当社は、当該会社提案に係る各候補者について、取締役としての適性を真摯に評価し、その結果、以下の理由から、辻 孝夫 氏、仁科 秀隆 氏の取締役選任には反対、今井 光 氏の取締役選任には賛成の議決権行使を行うことといたしました。
辻氏は、JVCケンウッド社の社外取締役、代表取締役社長、代表取締役会長などを歴任されましたが、同社は富士ソフトと取引関係を有しており、経営陣との長年の関係性を有しています。また、辻氏によれば、同氏は、富士ソフトの代表取締役社長である坂下氏と個人的な親交があり、この度の選任においても、坂下氏から直々に社外取締役就任を打診されたとのことです。そのため、当社は、辻氏の富士ソフト執行からの独立性に問題があると考えております。加えて、富士ソフトは、辻氏の経営者としての経験を重要視しておりますが、辻氏の取締役就任時期(2013年6月から2021年6月まで)のJVCケンウッド社のTSR(Total Shareholder Return・株主総利回り)は13%であり、TOPIXの81%、TOPIX業種別株価指数(電気機器)の177%を大きく下回っております。また、2014年度から2021年度の同社の営業利益率、一人当たり営業利益額、ROIC(投下資本利益率)は、別添資料のとおり、TOPIX業種別株価指数(電気機器)に分類される企業群の平均を大きく下回ったままであり、競合比で改善が見られません。したがって、辻氏の社外取締役の就任が、富士ソフトの取締役会の機能強化に資するとは考え難く、当社は辻氏の取締役選任に反対することといたしました。
仁科氏は、企業法務・証券法関連分野において、常勤の弁護士業務をされており、かつ既に合計3社の社外役員を兼任しております。新任の社外取締役は企業価値向上委員会の運営に深く関わることが期待されることから、仁科氏がそのための十分な時間を確保できるかについて、当社は強く懸念しております。また、仁科氏は、弁護士として会社法やコーポレートガバナンスの制度に関する知見を有しているとしても、上場会社の経営陣としての経験や、富士ソフトに類する規模の上場会社の社外取締役を務めた経験はなく、当事者として企業価値やコーポレートガバナンスの追求をした経験がないことから、仮に同氏が取締役に選任されたとしても、期待できる役割は、会社法などの知識の取締役会への提供にとどまりますが、そのような役割は、外部弁護士の登用により充足すべきです。以上のとおり、仁科氏の社外取締役選任は、富士ソフトの持続的な企業価値向上に資するものではないため、当社は仁科氏の取締役選任に反対いたします。
辻氏及び仁科氏と異なり、今井氏は、コーポレートファイナンスの領域で、30年以上に亘りキャリアを構築してきたほか、複数社の上場会社の社外取締役としての経験を有しております。特に、今井氏は、オリンパス社において不正会計が露見した後に同社の社外取締役となり、その社外取締役としての就任期間中に営業利益率の改善や、高いTSRを実現するなどした実績を有しており、富士ソフトの経営課題に対応した専門性を有しております。そのため、今井氏は、富士ソフトの取締役会の機能強化に寄与し得る候補者であると判断いたしました。当社は今井氏の取締役選任に賛成いたします。
詳しくは、冒頭にリンクを掲載させていただきました、当社作成のプレゼンテーション資料をご参照ください。
最後に
当社は、2022年9月に、投資方針を含めた成長戦略の再検証、利益率の改善による稼ぐ力の強化、低ROICの自社オフィスの売却による投資原資の確保、コア事業への戦略的な再投資等を通し、1株当たりCFの持続的かつ複利的な成長を目指すべきであるとの提案を行っております。当社は、本臨時株主総会を経て、富士ソフトの取締役会の監督機能が大幅に強化され、すべての株主の皆様の利益に資する形で、力強い中長期の企業価値向上が実現されることを強く願っております。
当社の提案等に関して、何かご不明な点等ございましたら、是非お問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます。(連絡先: 3DIPartners@3dipartners.com)
3D Investment Partners Pte. Ltd.について
当社は、2015年に設立された、シンガポールを拠点に日本特化型のバリュー投資を行う独立系資産運用会社です。複利的な資本成長を通じた中長期的な価値創造を投資哲学とし、長期的なリターンの達成という共通の目的を共有する経営者とのパートナーシップを重視しております。
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