現代バイオサイエンス、CP-COV03の第2相試験投薬手続き開始
配信日時: 2022-05-12 17:08:28
世界初「汎用抗ウイルス剤」への期待感上昇
「ワクチン依存」という従来のウイルス対応システムに大変化を予告
あらゆるウイルス感染症に適用できるメカニズムを持つ汎用抗ウイルス剤の誕生が迫っている。
韓国技術が生んだ抗ウイルス剤は、特定のウイルスを標的とする従来の抗ウイルス剤とは異なり、全てのウイルスに適用できる「ウイルス除去」という革新的なメカニズムを有しているため、有効な臨床結果が出ると、世界的に抗ウイルス剤の歴史に名を刻むものと予想される。
CNPharmの子会社である現代バイオサイエンス(以下、現代バイオ)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめ、ウイルス汎用治療剤として開発した経口抗ウイルス剤の候補物質であるCP-COV03のコロナ患者の募集を公告するなど第2相試験の投薬手続きを開始したことを、11日に発表した。
[画像1: https://prtimes.jp/i/35123/16/resize/d35123-16-69ed5dd26e27628254f4-0.jpg ]
CP-COV03は、ウイルスが細胞に浸透すると、細胞はそのウイルスのことを異物として認識し、自ら除去する「自食作用(autophagy)」を促進し、細胞が全てのウイルスを除去するよう手伝う薬理作用を持つ革新的な汎用抗ウイルス剤である。
今回の臨床試験で、CP-COV03がCOVID-19に有効であることが確認されると、COVID-19やその変異株を含め、インフルエンザ、肺炎、エイズ、エボラ、ヘルペスなど人類を苦しめる全てのウイルスに適用できる汎用抗ウイルス剤が誕生することになるため、科学界から注目を集めると期待される。こうしたことから、今回CP-COV03のCOVID-19における肯定的な臨床結果は、汎用抗ウイルス剤の誕生を知らせる「信号弾」になる見通しだ。
特定ウイルスの複製を抑える従来の抗ウイルス剤は、薬物毒性を理由に投薬対象が限定され、ウイルスが薬物に対して耐性を持つ恐れがあるという限界がある。しかし、薬効が細胞を標的とする画期的な抗ウイルス剤の特性を備えたCP-COV03は、先述の限界から自由であることも大きな特徴だ。
「世界第1号汎用抗ウイルス剤」の誕生を狙った今回のCP-COV03の臨床試験は、いろいろな面で1941年、人体を対象に行われたペニシリン試験と類似していることから、科学界から大きな注目を集めている。世界初の汎用抗生物質であるペニシリンは、青カビが細菌感染から生き残るため自ら抗菌物質を生産し、細菌の細胞壁形成を抑制・殺菌するメカニズムを基盤に開発された薬物だ。 ペニシリンの誕生で、人類は細菌に対する恐怖から逃れることにつながった。
現代バイオの関係者は、「細菌を殺すメカニズムが発見され、そのメカニズムを発揮する物質を見つけ出したため、ペニシリンという20世紀の名薬が誕生した」とし、「オートファージ促進でウイルスを除去するメカニズムを持つCP-COV03は、ペニシリンのようにウイルス分野において、初めての汎用薬物になるだろう」と自信を示した。
CP-COV03が汎用抗ウイルス剤として誕生すれば、ウイルスに感染した時に、汎用治療剤を処方することで、迅速かつ先行的に取り組むことができるため、ウイルスによるパンデミックも防げるものと期待される。実現できれば、集団感染の発生時にワクチンに依存する現行のウイルス対応システムにも、大きな変化をもたらすものと見られる。
[画像2: https://prtimes.jp/i/35123/16/resize/d35123-16-98c59032ddc6b616b90b-2.jpg ]
<参考資料>
◼ 細菌戦を勝利に導いた「20世紀の名薬」ペニシリン
代表的な汎用抗生物質である「ペニシリン」の開発は、20世紀医療分野の10大事件の一つとされる。 ペニシリンは、1928年スコットランドの細菌学者アレクサンダー・フレミング氏が、青カビから偶然発見し、抗菌剤開発に乗り出すが、失敗に終わる。後に、英国オックスフォード大学の2人の科学者ハワード・フローリー氏とエルンスト·チェーン氏の後続研究により、1942年世界初の抗生物質の開発につながった。 第1次世界大戦中になんと18%にも達した細菌性肺炎による死亡率が、第2次世界大戦ではペニシリンのおかげで1%未満へと激減した。
ペニシリンは、微生物である青カビ(学名:ペニシリウム)が細菌の攻撃から生き残るため自ら抗菌物質を生産し、細菌の細胞壁形成を抑制・殺菌するメカニズムを基盤に開発された薬物だ。細菌を殺すメカニズムを究明し、そのメカニズムを発揮する物質を見つけ出したことで、ペニシリンという20世紀の名薬が誕生することになった。ペニシリンがブドウ球菌だけでなく、連鎖球菌、髄膜炎菌、淋菌、ジフテリア菌など広範囲にわたる細菌性感染症に抗菌効果を発揮したおかげで、人間は初めて細菌に対する恐怖から逃れることになった。
人類が効果的な汎用抗生物質を開発したことで、細菌との戦争では勝つことができたものの、主なウイルス感染症の中には未だにペニシリンのように確実に効く汎用治療剤がない。ペニシリンが複数の細菌を撲滅するように、ウイルスの種類を問わずに除去できるメカニズムはもちろん、このような薬理作用をする物質を今まで見つけられなかったためだった。
◼ ウイルスを殺す細胞内の「オートファジー」
人の細胞は、体内の不要なタンパク質などを自ら分解し再利用する。これを細胞の「自食作用(オートファジー, autophagy)」と呼ぶ。こうしたオートファジーの仕組みを通じて、細胞は細菌やウイルスの攻撃から自らを守るが、一種の免疫作用である。
細胞のオートファージ作用に関する研究が始まったのは、1950年代半ばからだ。 この頃、科学者は細胞の中に物質を分解する小さな器官があることを研究でわかった。その後、1974年、ノーベル生理学・医学賞受賞者であるベルギー科学者クリスチャン・ド・デューブ氏は、小器官によって細胞中の不要な成分が分解されることを確認し、これをオートファージと名付けた。 日本の科学者である大隅良典氏は、オートファージに重要な作用をする遺伝子を発見した功労が認められ、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
タンパク質を含むウイルスは、宿主である細胞に侵入する際、オートファージによって分解されることを防ぐため、細胞のオートファージを抑制すると知られている。 しかし、ニクロサミドは、逆に細胞のオートファージを促進する薬理作用をするということが、科学界のさまざまな研究や実験で明らかになった。
◼ CP-COV03の主成分、ニクロサミドとは?
CP-COV03の主成分であるニクロサミドは、1958年ドイツのバイエル社が開発した薬物で、生体利用率(投与量に比して生体に吸収される薬物量)が低く、駆虫薬としてのみ使われてきた薬だ。2000年代から複数の研究所が研究を行い、SARS(2004年、台湾の国防大学)、C型肝炎(2011年、米国のスタンフォード大学)、ヘルペスとインフルエンザ(2012年、スイスのチューリッヒ大学)、エボラ(2015年、米国の陸軍伝染病研究所)、ジカ(2016年、米国のジョンズ・ホプキンズ大学)、エイズ(2019年、米国のテキサス大学)、MERS(2019年、ドイツのマックス・プランク研究所、同大学)、COVID-19(2021年、ドイツのマックス・プランク研究所、同大学)など多様なウイルスに効果があることが明らかになった。
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