TCFD提言への賛同表明及び情報開示について
配信日時: 2022-03-29 14:00:00
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、気候関連のリスク・機会を特定しました
東京地下鉄株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役社長:山村 明義、以下「東京メトロ」)は、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)」提言へ賛同を表明いたしました。
近年、気候変動は大きな社会経済リスク及び機会をもたらす要因の一つであり、世界中の政府や企業において脱炭素化の動きが広がっています。
首都東京を主な事業基盤とする東京メトロは、自然災害による事業リスクに加え、主要事業である鉄道事業が電力を消費するという特性を有することから、これまでサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)テーマに「地下鉄を安全に、そしてつよく」及び「地球にやさしいメトロに」を掲げ、気候変動問題に関する取組みを強化してきました。
この度、東京メトロはTCFD提言に賛同し、気候関連リスク/機会を特定した上で、それらに対応する体制等について、より積極的な情報開示を進めることとしました。
開示情報を活用してステークホルダーの皆様との対話を活性化させ、気候変動に関する取組みを推進することを通じて、「安心で、持続可能な社会」の実現を目指してまいります。
詳細は以下のとおりです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-71070394b394a0496fba-0.png ]
1.ガバナンス
2019年4月から社長を議長とし、取締役及び各部等の長から構成される「サステナビリティ推進会議」を設置し、重要課題である気候変動について議論を行っています。
具体的には、環境方針や長期環境目標、気候関連の非財務指標の設定等を行うとともに、気候関連のリスク/機会の検討・承認・フォローアップを実施し、重要案件は取締役会に付議・報告します。
[画像2: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-23772826b6f11386db2d-1.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-67ae424533f76ef076db-2.png ]
2.戦略
他の交通手段と比べてCO2排出量が少ないという鉄道事業の特性を活かし、運輸部門の脱炭素化に貢献します。また、長期環境目標「メトロCO2ゼロ チャレンジ 2050」に基づき、CO2排出量の削減に積極的に取り組んでいきます。
さらに、気候変動による水害の激甚化を想定し、駅出入口の改良やトンネル坑口の防水ゲート新設などのハー ド面の対策と、BCP(事業継続計画)の策定や関係自治体等との連携といったソフト面の対策を進めておりますが、これをさらに推進し、物理的リスクの低減に努めます。シナリオ分析により特定したリスク/機会及びこれらに対応した取組みの方向性については、次頁の「~戦略の詳細(シナリオ分析によるリスク/機会の特定等)~」をご覧ください。
3.リスク管理
水害などを含む自然災害リスクを全社リスクの一つとして位置づけており、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会及び経営会議にて審議のうえ毎年計画を策定し、それぞれのリスクに対する取組みを実施しています。
今後は、サステナビリティ推進会議においてTCFD提言に基づく気候関連リスクのフォローアップを実施するとともに、全社的なリスクマネジメントとの連携も含めた気候関連リスクの管理体制構築の検討を進めます。
4.指標と目標
2021年3月に長期環境目標「メトロCO2ゼロ チャレンジ 2050」を設定し、当社グループ全事業が排出するCO2排出量について「2030年度に-30%(2013年度比)」「2050年度実質ゼロ」を目指しています。また、「東京メトログループ サステナビリティレポート」において、CO2排出量、エネルギー消費量等の実績値を公表しています。
~戦略の詳細(シナリオ分析によるリスク/機会の特定等)~
シナリオ分析の検討に際しては、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表しているシナリオを参照のうえ、以下の2つのシナリオを設定し、シナリオ別の外部環境変化に応じて、当社の主要事業である鉄道事業へのリスク/機会を特定しました。リスク/機会の特定にあたっては、2050年までの時間軸(短中期:2030年頃、長期:2030~2050年頃)で検討し、特に事業に影響を及ぼす可能性が高いものについては、取組みの方向性を定めました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-ee42cd442068336cf062-3.png ]
分析の結果
●主な移行リスク/機会(脱炭素社会実現シナリオ:2℃未満/1.5℃の場合)
[画像5: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-f914b64e5356702751c6-4.png ]
●主な物理的リスク/機会(温暖化進展シナリオ:4℃以上の場合)
[画像6: https://prtimes.jp/i/20053/897/resize/d20053-897-04a6bb21bfd481a8caa4-5.png ]
分析を踏まえた今後の方向性
本分析を通じて、脱炭素社会への移行が実現する社会においてはエネルギーミックスの変化による電気料金の上昇、温暖化が進展する社会においては、豪雨の激甚化等による鉄道施設の損傷・沿線地域の被災、平均気温の上昇による新型感染症の発生が、特に影響の大きいリスクであると捉えています。同時に、脱炭素社会への移行が実現する社会においては、環境優位性の評価によるお客様の需要増加やMaaSの進展など、鉄道事業にとって機会も生じると想定しています。
今後はこうした分析結果を踏まえ、特に影響が大きいとされたリスクの分析精緻化や、リスク低減・回避のためのさらなる取組みを進めるほか、環境にやさしい交通手段である鉄道の利用促進など機会を捉えた取組みを進めることにより、「安心で、持続可能な社会」の実現を目指してまいります。
以上
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