ハンドルもペダルもないテスラ「Cybercab」、テキサス州で商用運行へ

2026年9月5日 00:37

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記事提供元:Tech Times

テスラがローンチイベントを開催した自動運転専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」(写真:同社ウェブサイトより)

テスラがローンチイベントを開催した自動運転専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」(写真:同社ウェブサイトより)[写真拡大]

テスラは米国時間9月3日、テキサス州オースティンで自動運転専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」のローンチイベントを開催した。Cybercabは2人乗りで、ハンドルやアクセル、ブレーキの各ペダルを備えず、乗客が車内から運転を引き継ぐことを前提としていない。

テキサス州では2026年5月から、無人で旅客や貨物を運ぶ商用自動運転車に州の認可取得が義務付けられている。認可は事業者が提出する車両、運行、安全対策などの資料をもとに行われ、州が自動運転システムの性能を標準試験で審査する制度ではない。Cybercabの投入は新型車の登場であると同時に、自動運転車の性能を誰がどのように検証するのかという課題を改めて浮かび上がらせている。

■Cybercabは既存のロボタクシー網に加わる専用車

Cybercabは、テスラが2024年10月に初公開した、自動運転による旅客輸送を前提とする電気自動車である。量産仕様は2人乗りで、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、一般的なサイドミラーを備えていない。

テスラは2025年6月、オースティンでModel Yを使用した限定的なロボタクシーサービスを開始した。その後、米国内の複数都市へサービス地域を広げており、Cybercabは既存の配車網に加わる専用設計車という位置付けになる。

Model Yが一般消費者向け車両をロボタクシーにも利用する構成であるのに対し、Cybercabは運転席や人間向けの操作装置を省き、継続的なフリート運用を想定して設計された。車内に手動操作系を持たないため、走行中の判断だけでなく、異常時の停止や運行管理も自動運転システムと遠隔の運用体制に依存することになる。

■テキサス州の商用自動運転車認可

テキサス州議会が2025年に成立させた上院法案2807は、商用自動運転車の認可制度を創設した。同法自体は2025年9月1日に発効し、関連規則の整備を経て、2026年5月28日から認可要件が適用されている。

対象となるのは、自動運転システムを作動させ、人間の運転者なしで旅客または貨物を商業目的で運ぶ車両である。事業者はテキサス州自動車局のTexas Motor Carrier Credentialing Systemを通じて申請し、有効な認可を取得しなければならない。

申請では、車両がSAE InternationalのJ3016規格におけるレベル4またはレベル5の自動化に対応することを示す必要がある。加えて、保険、運行車両の一覧、法令順守、事故への対応、警察や消防など緊急対応機関との連携計画に関する資料の提出が求められる。

一方、州の認可は、自動運転システムを州の技術者が走行試験にかけ、その認識性能や判断能力を個別に認定する制度ではない。テキサス州自動車局は提出資料を審査して認可を発行し、必要に応じて運行の制限、停止、認可取り消しを行う権限を持つ。

■レベル4は運行条件を含む分類

SAEレベル4は、あらゆる道路や天候で無条件に自動走行できることを意味するものではない。定められた運行設計領域、いわゆるODDの中で、システムが継続的に運転操作を担い、必要な場合には自ら最小リスク状態へ移行できるという分類である。

ODDには、走行可能な地域、道路の種類、速度、時間帯、天候などの条件が含まれ得る。したがって、利用者にとって重要なのはレベル4という名称だけでなく、車両がどの範囲と条件で運行されるのか、条件外の状況をどのように検知し、安全に停止するのかという点である。

テキサス州の制度では、認可を受けた事業者が運行車両の情報を管理し、安全上の問題が判明した場合には州当局が運行を制限できる。ただし、個々の事業者が設定するODDや、それを裏付ける試験内容が利用者にどこまで公開されるかは、制度上の認可取得とは別の問題となる。

■EPA文書で判明した車両仕様

Cybercabは2026年5月26日付で、米環境保護庁から2026年モデルの電気自動車として適合証明書を取得した。対象となるテストグループはTTSLV00.0L1Aで、前輪駆動のCybercabが記載されている。

EPAの文書は、排出ガスやエネルギー消費、航続距離など、環境規制に関する適合を扱うものである。自動運転システムがレベル4に相当するか、無人走行時に十分な安全性を備えるかを認定する文書ではない。

認証資料によると、Cybercabは326ボルト、146アンペア時のリチウムイオン電池を搭載する。両者から計算される電池容量は約47.6kWhとなる。駆動用モーターの最高出力は163kWで、前輪を駆動する。

車両重量は3,113ポンド、約1,412kgである。EPAが掲載した試験値では、補正前の複合航続距離は418.2マイルとなっているが、これは所定の試験条件で得られた補正前の数値であり、そのまま通常走行時の航続距離を示すものではない。

Cybercabはワイヤレス充電を前提とし、一般的な充電操作を人が行わなくても、車両が充電場所へ移動して給電を受ける運用が想定されている。これは無人フリートとの親和性が高い一方、充電地点への移動、車両とパッドの位置合わせ、充電開始、終了後の運行復帰までを一連の自動化システムとして安定させる必要がある。

■カメラを中心とする自動運転システム

テスラの自動運転技術は、車載カメラから得られる映像をニューラルネットワークで処理し、周囲の車両、歩行者、道路、信号、標識などを認識して走行経路を決める構成を中心としている。

Cybercab向けシステムは、一般消費者向けテスラ車に提供されている監督付きFSDと同じ製品として扱うことはできない。Cybercabでは乗客が運転操作を担わないため、システム自身が走行を管理し、運行できない状況では安全な状態へ移行することが求められる。

テスラは次世代のFSD v15について、従来世代より大規模なニューラルネットワークを使用し、複雑な走行場面への対応力を高める方針を示している。ただし、パラメータ数の増加は、それだけで安全性の向上を保証する指標ではない。実際の評価には、走行条件ごとの性能、障害発生時の挙動、運行距離に応じた事故や介入の頻度などを継続的に確認する必要がある。

テスラ車のカメラを中心とする方式については、米道路交通安全局が別系統の消費者向けFSDを対象に調査を続けている。2026年3月に開始された技術分析EA26002は、約320万台を対象に、まぶしい光、霧、空気中のちりなどで道路の視認性が低下した際、システムが性能低下を検知し、運転者へ十分早く警告できるかを調べるものだ。

この調査は、運転者の監督を必要とする市販車向けFSDが直接の対象であり、Cybercab向けの自動運転システムそのものを評価した調査ではない。一方、視界が損なわれる条件をシステムがどのように検知し、走行継続の可否を判断するかは、カメラを主要な知覚手段とする無人車両にも共通する重要な技術課題となる。

■米国ではメーカーが連邦基準への適合を認証

米国の自動車制度では、連邦政府がすべての新型車を発売前に個別審査して承認する方式ではなく、メーカーが連邦自動車安全基準への適合を認証する仕組みが基本となっている。NHTSAは市場投入後も含めて調査を行い、安全上の欠陥や基準への不適合が確認された場合には、リコールなどの是正を求めることができる。

Cybercabでは、恒久的に取り付けられたハンドルやブレーキペダルなどを持たない車両が、既存の連邦安全基準にどのように適合するかが重要になる。自動運転の能力に関する州の認可と、車両構造に関する連邦安全基準への適合は、別の制度上の論点である。

テキサス州で商用自動運転車として認可されていることは、連邦機関がCybercabの自動運転性能を事前に試験し、安全性を保証したことを意味しない。同様に、EPAの適合証明書も自動運転機能の安全認定ではない。利用者が車両の性質を理解するには、環境規制、車両安全基準、州の商用運行認可を分けて捉える必要がある。

■他州では異なる許認可が必要

自動運転車の商用運行に関する要件は州ごとに異なる。テキサス州で取得した認可だけで、カリフォルニア州やネバダ州などでも同じ条件のサービスを展開できるわけではない。

カリフォルニア州では、自動運転車の試験や無人走行について州車両管理局が許可を所管し、有償の旅客サービスには公益事業委員会の手続きも関係する。このため、テスラがCybercabを全米規模で展開するには、各州の制度に応じた許認可と運行条件への対応が必要になる。

各社の安全性を比較する際には、事故件数だけでなく、無人走行距離、運行地域、道路や天候の条件、車両数、事故の報告基準をそろえる必要がある。開示されるデータの範囲や定義が異なる現状では、異なる事業者の事故件数だけを並べても、システムの安全性を同条件で評価することは難しい。

■事業性を左右する安全性と稼働率

Cybercabの事業モデルは、運転者を必要としないことに加え、車両の部品点数やエネルギー消費、充電作業、整備時間を抑え、高い稼働率を実現することを前提としている。

テスラはCybercabについて、将来的に3万ドル未満で販売する構想や、個人所有車を自動運転の配車ネットワークに参加させる構想を示してきた。価格、販売時期、個人向けサービスの条件は、量産規模や規制対応、FSDの開発状況に左右される。

低コストの車両を大量に投入できても、悪天候や道路工事、センサーの汚れ、通信障害、充電設備の不具合などで停止する時間が長ければ、フリートとしての採算性は低下する。Cybercabの実力を測るうえでは、デモ走行の滑らかさだけでなく、長期間の運行で得られる走行距離、運休時間、遠隔支援の頻度、事故や故障の記録が重要になる。

Cybercabは、運転者向けの操作装置を取り除いたことで、自動運転技術を補助機能ではなく車両そのものの成立条件にした。オースティンでの投入は、専用ロボタクシーの商用化に向けた一歩であると同時に、メーカーによる適合認証、州の運行認可、連邦政府による事後監督を組み合わせた米国の制度が、無人車両をどのように扱うのかを測る事例となる。

元記事: Tesla Cleared Its Own Cybercab for Tonight’s Rides: Texas Didn’t Ask Anyone Else

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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