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【分析】中国CXMTのDRAMシェアが4%から10%へ―次の焦点はHBMと量産競争力

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2026年第2四半期、中国の長鑫存儲技術(CXMT)が世界のDRAM売上高で10%のシェアを占めた。前年同期の4%から大きく伸び、Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyの大手3社を追う第4のメーカーとして存在感を強めている。
今回の伸びには、CXMT自身の生産能力拡大と中国国内の需要に加え、AIサーバーの普及を背景としたDRAM市場全体の急拡大が重なっている。売上高シェア10%は重要な節目だが、今後は市況変動のなかでもシェアを維持できる生産規模と技術力を確立できるかが焦点となる。
■CXMTの売上高シェアが10%に上昇
Counterpoint Researchの調査によると、2026年第2四半期の世界DRAM売上高シェアはSamsungが38%で首位となり、SK hynixが25%、Micronが24%、CXMTが10%で続いた。CXMTのシェアは2025年第2四半期の4%から、2026年第1四半期の8%を経て10%まで上昇した。
CXMTの売上高は前年同期比716%増となり、主要DRAMメーカーのなかでも特に高い伸びを示した。Counterpointは、その背景として中国国内における従来型DRAMの強い需要と、生産能力の拡大を挙げている。
一方、同四半期の世界DRAM市場全体も前四半期比57%増、前年同期比385%増と大幅に拡大した。CXMTの伸びは市場全体を上回っており、販売量やシェアの拡大を伴っているが、売上高の急増にはDRAM価格の上昇も寄与したと考えられる。
大手3社では、Samsungが従来型DRAMの需要と価格上昇の恩恵を受けて首位を維持した。Micronも前年同期からDRAM売上高を約5倍に拡大し、SK hynixとの差を縮めている。CXMTの成長だけでなく、大手メーカー間の順位や製品構成も変化する局面となった。
■AI需要がDRAM市場全体を押し上げ
DRAM需要を押し上げているのは、AIサーバーをはじめとするコンピューティング基盤への投資である。GPUやAIアクセラレーターには広帯域メモリ(HBM)が使われる一方、サーバーのCPUや周辺システムでは大容量の従来型DRAMも必要になるため、AI関連投資は複数のメモリー分野に需要を生み出している。
HBMは、複数のDRAMダイを積層し、広いインターフェースを通じて大量のデータを転送するメモリーである。一般的なDDR5よりも容量当たりで多くのウェハー資源を必要とし、Micronは同一世代、同一容量で比較したHBM3Eのウェハー投入量について、DDR5のおよそ3倍になるとの目安を示している。
大手メーカーがHBMの供給を増やせば、同じ工場から供給できる従来型DRAMの数量には下向きの圧力がかかる。もっとも、2026年第2四半期の価格上昇にはAIサーバー用CPUの需要や在庫、長期契約、生産能力の配分なども関係しており、汎用DRAMの供給逼迫をHBMへの移行だけで説明することはできない。
CXMTは現在、DDR5やLPDDR5Xを中心に製品を展開している。先行メーカーがHBMを含む高付加価値製品を強化するなか、中国国内のPC、サーバー、モバイル機器向け需要を取り込めるかが、同社のシェア拡大を左右する。
■露光装置の制約と技術開発
CXMTの長期的な課題の一つが、先端半導体製造装置へのアクセスである。最先端のDRAMメーカーは、回路の微細化に極端紫外線(EUV)露光装置を利用しているが、中国企業によるEUV装置の調達は輸出管理によって制限されている。
深紫外線(DUV)露光装置でも、複数回の露光やパターニングを組み合わせることで微細な回路を形成できる。ただし、工程数が増えれば、製造時間、装置の稼働回数、位置合わせ、歩留まりなどの管理が難しくなる。CXMTが先行メーカーとの差を縮めるには、回路設計だけでなく、量産時の歩留まりとコストを継続的に改善する必要がある。
CXMTが実際に使用している工程ごとの歩留まりや、先行メーカーとのビット当たり製造コストの差は公表されていない。このため、特定の比率を確定した製造原価として扱うことは難しい。2026年上半期にはDRAM価格と販売の上昇を背景に大幅な黒字を計上したが、市況が変化した後も同様の収益性を維持できるかは今後の業績から判断する必要がある。
代替的な技術経路としては、メモリセルと周辺回路を別々のウェハーに形成して接合するウェハー・ツー・ウェハー技術などが検討されている。Counterpointは、CXMTが先端露光装置へのアクセス制限を受けるなか、垂直チャネルトランジスタやウェハー接合などの技術を追求していると分析している。
こうした方式は、各部分を適した製造工程で作り分け、接合後のメモリー全体として集積度や性能を高める発想である。量産性やコストの検証はこれからだが、CXMTが既存の製造経路とは異なる方法で技術差を縮めようとしていることを示している。
■「シェア15%」が次の目安
Counterpointは、CXMTが世界のDRAM市場で主要メーカーとして長期的な地位を確立するための目安として、売上高シェア15%を挙げている。DRAM事業では新工場の建設や製造技術の更新に巨額の投資が必要となるため、一定の事業規模を確保できるかが次世代投資を継続するうえで重要になる。
同社の分析では、台湾のDRAMメーカーは2008年前後にシェアが15%を下回った後、次世代工場への投資資金を確保できず、合計シェアを約3%まで低下させた。もっとも、15%はあらゆるメーカーに一律に適用できる絶対的な生存条件ではなく、過去の事例を踏まえてCXMTの投資余力を考えるための指標と位置付けるのが妥当である。
Counterpointの基本シナリオでは、CXMTの世界DRAMビット出荷シェアは2028年に11%、売上高シェアは9%となる見通しで、2035年までに売上高シェア15%へ達するかが長期的な観測点とされている。
CXMTは生産能力を月産約32万枚から2027年に約42万枚へ拡大し、2030年までに現在の約2倍、2035年までに約3倍へ増やす計画を掲げている。計画通りに工場を立ち上げられるかに加え、増加した生産能力を価格競争だけに頼らず販売できる製品構成と顧客基盤が必要になる。
■DDR5とLPDDR5Xから製品分野を拡大
CXMTの公式製品群には、PCやサーバー向けのDDR5、モバイル機器向けのLPDDR5およびLPDDR5X、従来世代のDDR4とLPDDR4Xが含まれている。DDR5ではチップだけでなく、PCやサーバーで使用する複数形式のメモリーモジュールも展開している。
同社は2026年8月、次世代の低消費電力DRAMであるLPDDR6について、顧客向けサンプルを出荷したと発表した。公表値では最大データ転送速度は12,800Mbps、最大容量は16GBで、モバイル機器、サーバー、自動車向けを想定している。実際の採用製品や供給規模については、顧客側の発表を含めて確認していく必要がある。
製品構成をDDR4などの旧世代製品からDDR5、LPDDR5X、サーバー向けDRAMへ移せれば、販売数量だけでなく製品単価と収益性の向上にもつながる。海外の大手顧客から継続的な受注を得られるかも、世界市場におけるシェアを拡大するうえで重要になる。
■HBM3Eは顧客評価の初期段階か
CXMTはHBM分野への参入も進めている。複数の報道によると、同社はHBM3Eを少量生産し、Alibaba Group傘下の半導体設計部門T-HeadとCambricon Technologiesが、自社のAIプロセッサーと組み合わせた評価を行っているという。
試験が順調に進めば、早ければ2027年に関連製品へ採用される可能性がある。ただし、CXMT、T-Head、Cambriconは少量生産や採用試験について公式に発表しておらず、CXMT製HBM3Eの転送速度、容量、積層数、生産量、歩留まりも明らかになっていない。
現段階で確認できるのは、CXMTが従来型DRAMだけでなくHBMの開発と顧客評価へ進んでいると報じられていることだ。量産供給へ移行するには、プロセッサーと組み合わせた性能、信頼性、熱設計の検証に加え、安定した歩留まりと供給能力の確立が必要になる。
Samsung、SK hynix、Micronはすでに次世代のHBM4へ生産を移しており、CXMTとは製品世代や量産実績に差がある。一方、HBM3Eも2026年時点でAIアクセラレーターに使われる主要なメモリーであり、CXMTが中国国内のAI半導体メーカー向けに安定供給できれば、新たな収益源となる可能性がある。
■IPO資金を次世代DRAMと生産設備へ
CXMTは2026年7月、上海証券取引所の科創板に上場し、579億2,000万人民元、約86億ドルを調達した。1ドル=156円で換算すると約1兆3,416億円となる。
同社が上場前に示した募集資金の使途には、DRAM技術の高度化に130億人民元、次世代DRAMの研究開発に90億人民元、量産ラインの技術改良に75億人民元を投じる計画が含まれている。
CXMTは2026年上半期に売上高1,503億人民元を計上し、前年同期比873.64%増となった。純利益は776億人民元で、前年同期の赤字から黒字へ転換した。同社はDRAM不足が2026年下半期も続くとの見方を示す一方、貿易摩擦や追加規制がサプライチェーンと事業運営に影響するリスクも挙げている。
資金調達によって工場や研究開発へ投資する余力は拡大した。今後の評価を分けるのは、投資額そのものよりも、増設した生産能力の立ち上げ、先端DRAMの歩留まり、海外顧客の獲得、HBMの量産化へ結び付けられるかである。
■米国政府調達では供給元の確認が課題に
米国では、2023会計年度国防権限法第5949条に基づき、CXMT、SMIC、YMTCなどが製造または提供する対象半導体を含む製品やサービスについて、連邦政府機関による調達を制限する制度の整備が進められている。法律上の調達禁止は2027年12月23日に発効する予定である。
対象となるのはメモリーチップを単体で調達する場合に限らず、対象半導体を組み込んだ電子製品やサービスにも及ぶ。米国政府向けにPC、サーバー、通信機器などを納入する企業にとっては、完成品のブランドだけでなく、内部の半導体をどの企業が製造したかを把握することが課題となる。
DRAMはプロセッサーの指示に従ってデータを一時保存する部品であり、メモリー単体が通信機能を持つわけではない。企業の調達判断では、部品の機能と、法令上の調達制限やサプライチェーン管理を分けて検討する必要がある。
■10%到達後の競争力が焦点
CXMTの売上高シェアが10%に達したことは、世界DRAM市場における中国メーカーの存在感が一段と高まったことを示している。前年同期の4%からの上昇は、市場価格だけでなく、中国国内の需要と生産能力の拡大が重なった結果である。
一方、2026年第2四半期はDRAM市場全体が急拡大した特殊な局面でもあった。市況が落ち着いた後もシェアと利益を維持できるかを判断するには、出荷ビット数、製品構成、歩留まり、生産能力、海外顧客への販売実績を継続して見る必要がある。
今後の主要な観測点は、CXMTがDDR5やLPDDR5X、サーバー向けDRAMで顧客を広げられるか、LPDDR6を量産へ移行できるか、そしてHBMを安定した商業製品へ育てられるかである。10%という数字は大手3社中心の市場構造に変化が生じていることを示すと同時に、CXMTの技術力と投資余力が本格的に試される段階に入ったことを表している。
元記事: CXMT Hits 10% DRAM Share: Samsung’s HBM Pivot Handed China Market Vacancy
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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