GPUを「投資可能なインフラ」に NVIDIAと金融大手6社、78兆円超の資金導入を始動

2026年8月15日 16:28

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米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が金融大手6社と進める5,000億ドル超(約79兆5,000億円、1ドル=159円換算)のAIインフラ資金調達構想について、米国の保険会社や資産運用会社、銀行などとの協議を進めている。連合内で唯一の伝統的な投資銀行として、資産運用部門から資本を拠出できるだけでなく、投資銀行部門を通じて債務をプライベートクレジットファンドや将来の公募市場に広げられる立場にある。現時点では法的拘束力のない覚書に基づく構想であり、個別案件の条件や資金投入時期、格付けは確定していない。

■6社連合が5,000億ドル超の資金導入を計画

ロイターが関係者の話として報じたところによると、ゴールドマンはNVIDIAのAIインフラ資金調達構想への参加について、銀行、資産運用会社、保険会社、プライベートクレジット会社など幅広い投資家と協議している。米国の保険会社、資産運用会社、銀行が投資家層の中核になると見込まれ、参加する資産運用会社も資金調達商品の相当部分を保有する計画だという。

NVIDIAは2026年8月10日、アポロ・グローバル・マネジメント(Apollo Global Management)、ブラックロック(BlackRock)、ブラックストーン(Blackstone)、ブルックフィールド・アセット・マネジメント(Brookfield Asset Management)、ゴールドマン、KKRの6社と、独立したコンピュート・ファイナンス・プラットフォームを設けるための覚書を締結したと発表した。フロンティアAI研究開発企業、一般企業、政府、AIクラウド事業者などによるデータセンター建設やNVIDIA製ハードウェアの導入に向け、長期的に5,000億ドル超の第三者資本を呼び込むことを目指す。

覚書は最終契約ではなく、NVIDIAは各社の投資額や個別案件の条件、5,000億ドルを投入する具体的な時期を公表していない。一方、ゴールドマンが投資家との協議を始めたことで、構想を具体的な資金調達手段へ落とし込む作業が進み始めたことが明らかになった。

■長年の取引関係がゴールドマンの中心的役割につながる

ゴールドマンが中心的な役割を担う背景には、NVIDIAとの長年の取引関係がある。2019年にNVIDIAがイスラエルのネットワーク技術企業Mellanox Technologiesを69億ドル(約1兆971億円)で買収した際、ゴールドマンはNVIDIAの専任財務アドバイザーを務めた。高速ネットワーク技術を獲得したこの買収は、大規模なGPUクラスタを構築するうえで重要な戦略案件となった。

2026年6月には、NVIDIAが250億ドル(約3兆9,750億円)の社債を発行し、ゴールドマンはJPモルガン(J.P. Morgan)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)とともに引受会社を務めた。7本の債券で構成され、最長のものは2056年に償還される。ロイターによると投資家から約850億ドルの注文が集まり、募集額を大幅に上回った。

経営トップ同士にも直接的な関係がある。ゴールドマンのデービッド・ソロモン会長兼CEOはCNBCに対し、NVIDIAのジェンスン・フアン創業者兼CEOから資金調達構想を持ちかけられ、協議に応じたと説明した。ロイターは、ゴールドマンの中心的な役割について、NVIDIAとの取引実績と両社幹部の関係を背景に獲得したものだと報じている。

■資産運用と投資銀行の両部門を活用

ゴールドマンは、連合内で唯一の伝統的な投資銀行である。Apollo、Blackstone、KKRはオルタナティブ資産運用やプライベートクレジットの大手であり、BlackRockとBrookfield Asset Managementも大規模な資産運用基盤を持つ。一方、ゴールドマンは資産運用と投資銀行の両部門を通じ、複数の資金調達経路を用意できる。

関係者によると、ゴールドマンの資産運用部門はジュニア資本やプライベートクレジットを提供できる。投資銀行部門は債務の組成や配置を支援し、プライベートクレジットファンドを経て、将来的には公募債市場へ展開することも想定している。

ただし、この構想で発行される個別の金融商品の形態はまだ決まっていない。すべてがGPUだけを担保とする債券になるとは限らず、データセンター施設、利用契約から生じる収入、借り手の信用力、劣後資本、保証などを組み合わせた案件ごとの構造になる可能性がある。

■NVIDIAは最大1,250億ドルを支援できる

今回の構想は、半導体メーカーが資金の全額を自社のバランスシートで負担する従来型のベンダーファイナンスとは異なる。金融会社が個別案件を審査し、保険資金やプライベートクレジットを含む第三者資本を導入することが基本となる。

一方で、NVIDIAが信用リスクから完全に切り離されるわけではない。フアンCEOによると、NVIDIAは潜在的な案件の最大25%に当たる1,250億ドルまでバックストップする選択肢を持つ。実際の支援額や条件は個別案件によって決まるため、NVIDIAの負担が常に25%になるわけではない。

過去の大型案件では、半導体ベンダーによる残存価値保証が信用補完に使われた例がある。2026年にApolloとBlackstoneが手がけたAnthropic向けの約350億ドルの資金調達では、特別目的会社がGoogleのTPUを取得してAnthropicにリースし、Broadcomが約300億ドルのシニア債務に残存価値支援を付ける構造が採用された。

今回のNVIDIA構想では、金融会社が第三者資本を集めて案件を引き受ける一方、NVIDIAも一定範囲で支援できる。投資家にとっては、GPUなどのハードウェアの再販価値だけでなく、データセンターの稼働状況、利用契約による収入、借り手の信用力、NVIDIAによる支援条件を含めて評価する必要がある。

■GPUなどの計算資源を投資対象に

NVIDIAは、GPUやネットワーク、ソフトウェアを含むAI計算基盤を、収益を生み出す長期的なインフラ資産として位置付けている。フアンCEOはNVIDIAの計算資源について、さまざまなモデルや処理に利用でき、顧客や運営事業者の間で移転可能であることを、金融資産として扱える理由に挙げた。

金融会社側の狙いは、AI計算基盤への投資を個別の企業融資だけにとどめず、一定の標準化を通じて幅広い機関投資家が参加できる市場に発展させることにある。資金の供給元を広げられれば、NVIDIAの顧客は自社のバランスシートだけに依存せず、大規模なデータセンターやAIシステムを整備できる。

ただし、GPUは世代交代が速く、将来の中古価値や利用収入には不確実性がある。長期の資金調達商品として成立するかどうかは、担保となる資産だけでなく、利用契約の期間、契約相手の信用力、技術更新への対応、損失を最初に負担する資本の厚さなどにも左右される。

■組成と販売を担うことによる利益相反にも注意

ゴールドマンは資金調達の設計や投資家への配置を支援する一方、自社の資産運用部門を通じて資本の提供者にもなり得る。このように一つの金融グループが複数の立場を担う場合、商品の条件設定、販売先への情報開示、自社または運用顧客が負担するリスクについて、適切な利益相反管理が求められる。

ゴールドマンが複数の役割を担うこと自体が直ちに違法となるわけではない。しかし、投資家は、どの部門がどの立場で参加するのか、ゴールドマンやほかの運用会社がどれだけ自己保有するのか、手数料や損失負担がどのように設定されるのかを個別案件の開示資料で確認する必要がある。

■CoreWeaveでは投資適格のGPU関連融資が成立

GPUなどの高性能コンピューティング設備を裏付けとする大型融資には先例がある。CoreWeaveは2026年3月、最大85億ドルの遅延引出型タームローン「DDTL 4.0」を締結した。同融資はMoody'sからA3、DBRS MorningstarからA(low)の投資適格格付けを取得した。

この融資は、高性能コンピューティング設備と関連する顧客契約によって裏付けられたノンリコース型の仕組みであり、当初約75億ドル、対象資産の安定稼働後には最大85億ドルまで借り入れられる。MUFGとMorgan Stanleyが共同ストラクチャリング・エージェント兼共同ブックランナーを務め、ゴールドマンとJPMorganも調整主幹事として参加した。

ただし、CoreWeaveの融資が投資適格を取得したことだけで、NVIDIAの新構想から生まれる商品も同様の格付けを得られるとは限らない。格付けは、案件ごとの契約収入、担保、借り手、保証、資本構成などを基に判断される。

5,000億ドル超の目標が実現するかどうかは、6社が最終契約をまとめる速度、実際に成立する案件の条件、格付け、機関投資家の需要にかかっている。現時点で確認されているのは、NVIDIAと金融大手6社が資金調達基盤の構築で合意し、ゴールドマンが投資家との協議を進めていることである。

■注目ポイントQ&A

●ゴールドマンがNVIDIAの資金調達構想で中心的な役割を担う理由は何ですか?

NVIDIAとの長年の取引実績があるためです。ゴールドマンは2019年のMellanox Technologies買収で専任財務アドバイザーを務め、2026年6月の250億ドルの社債発行にも引受会社として参加しました。連合内で唯一の伝統的な投資銀行であり、資産運用部門による資本提供と、投資銀行部門による債務の組成・配置の両方に関与できる点も理由です。

●保険商品や年金を通じて個人が関連商品を間接的に保有する可能性はありますか?

将来的にはあり得ます。ただし、具体的な債券の発行や格付け、保険会社・年金基金による購入はまだ発表されていません。投資適格格付けを得ても、すべての保険会社や年金基金が自動的に購入できるわけではなく、それぞれの運用方針や規制、商品の条件に基づいて判断されます。

●今回の構想ではNVIDIAはリスクを負わないのですか?

いいえ。第三者資本を中心とする構想ですが、NVIDIAは潜在的な案件の最大25%、金額にして最大1,250億ドルをバックストップできると説明しています。これは上限を示すもので、実際の支援額や条件は個別案件によって異なります。

●債務の安全性はGPUの中古価格だけで決まりますか?

GPUの再販価値は重要な要素ですが、それだけでは決まりません。データセンターの稼働状況、顧客との利用契約から得られる収入、契約相手の信用力、保証や信用補完、劣後資本の厚さなども評価対象になります。

●ゴールドマンが資金調達の設計と投資家への配置に関与することに問題はありませんか?

複数の役割を担うこと自体が直ちに禁止されているわけではありませんが、潜在的な利益相反は生じます。投資家は、手数料、自己保有分、損失負担の順序、各部門の役割などが十分に開示されているかを確認する必要があります。
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元記事: Goldman Sachs Pitches Nvidia GPU Bonds as Both Sole Structurer and Distributor

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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