米軍がワイルド・ウィーゼルとF-35Aを中東へ増派、ミサイル在庫の逼迫が作戦の制約に

2026年7月23日 00:24

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記事提供元:Tech Times

米中央軍がイランへの空爆を続ける中、国防総省は防空網制圧に特化した「ワイルド・ウィーゼル」とステルス戦闘機を中東へ急派した。しかし、戦略国際問題研究所(CSIS)の分析によると、これまでの戦闘でパトリオットやTHAADなどの迎撃ミサイルの在庫が大幅に減少しており、生産上の制約から回復には数年を要するとみられる。この弾薬不足は、西太平洋で想定される有事への備えにも深刻な影響を及ぼす可能性がある。

■中東への戦闘機急派と空爆の継続

国防総省は日曜日、欧州の基地から敵レーダーの捜索・破壊に特化した航空機とステルス戦闘機を中東へ派遣した。米中央軍(CENTCOM)がイランの軍事目標に対する9夜連続の空爆を実施する中での増派であり、作戦の拡大を示している。一方、独立系アナリストは、国防総省の作戦規模が、自らの継戦能力を上回りつつある可能性があると警告している。

ドイツのシュパンダーレム空軍基地から第480戦闘飛行隊のF-16CJ「ワイルド・ウィーゼル」、英国のレイクンヒース英空軍基地から第48戦闘航空団のF-35A「ライトニングII」ステルス戦闘機が、CENTCOMの担当区域に向かっている。これは『Air & Space Forces Magazine』が確認し、オープンソースの飛行追跡でも独自に検証された。空中給油機も同行している。7月17日には無線監視システムにより、コールサイン「TABOR51」「TABOR61」「TABOR71」を使用する9機のF-35Aが追跡された。これらの機体は、移動任務のためにサウジアラビアからフランスへ再配置されたKC-135Rストラトタンカーの支援を受けていた。

この展開は、CSISが指摘する「航空機の増強では解決できない構造的な弾薬問題」が表面化する中で行われた。CSISによると、6月に終了した39日間の初期作戦で、米軍のパトリオット迎撃ミサイルの在庫は約半分に減少し、THAADの在庫も同様に大幅に減った。防衛産業基盤の生産能力では、消費されたペースに近い速度でこれらを補充することはできないという。

■「ワイルド・ウィーゼル」とステルス機の組み合わせが意味するもの

ワイルド・ウィーゼルとステルス戦闘機の組み合わせは、通常のローテーションではなく、具体的な意味を持つ作戦上のシグナルである。F-16CJは、敵の統合防空システム(IADS)が依然として機能している場合に投入される。イランのレーダー電波発信源、沿岸監視インフラ、防空拠点を標的とした9夜の空爆を経ても、国防総省は、それらのシステムを作動させ、検知し、破壊することを専門とする航空機を必要としている。イランの防空網は弱体化しているものの、専用の電子戦支援なしで攻撃編隊が作戦を実施できる水準まで制圧されてはいない。

「ワイルド・ウィーゼル」と呼ばれるF-16CJブロック50は、AN/ASQ-213 HARMターゲティング・システム(HTS)ポッドを搭載している。これはコックピット下部に取り付けられた受動型センサーで、電磁スペクトルを継続的に走査し、敵レーダーの周波数やパルスパターンから発信源の特徴を識別する。HTSが信号を捕捉すると、自機の位置を明らかにすることなく、正確な方位と脅威の種類を特定できる。その後、機体はAGM-88 HARM、またはより高度なAGM-88E AARGMを発射する。AARGMはミリ波レーダー・シーカーとGPS・慣性航法装置を備えているため、イランのレーダー要員がミサイル発射と同時にレーダーを停止しても、最後に確認された位置まで飛行してアンテナを攻撃できる。AARGMの登場により、レーダーを一時的に作動させてすぐ移動する「シュート・アンド・スクート」で対レーダーミサイルをかわすことは難しくなった。

第480戦闘飛行隊は、冷戦期にF-4Gファントムで「ハンター・キラー」任務を担って以来、米空軍のワイルド・ウィーゼル専門部隊であり続けている。注目すべきことに、同飛行隊は前回の中東へのローテーション配備からシュパンダーレムへ戻ったばかりだった。オープンソースの飛行データでは7月17日の時点ですでに追跡されており、短期間での再派遣は異例の作戦上の緊急性を示している。

■F-35Aとワイルド・ウィーゼルの連携

F-35Aの役割は、ワイルド・ウィーゼルを作戦構成上補完するものである。F-16CJがレーダー網を制圧する専門機であるのに対し、F-35Aはその結果生じた隙間を利用する。ライトニングIIの低被探知性を備えた機体と、ステルス性を維持する機内兵器倉の組み合わせにより、イランに残るレーダー網の空白部分へ侵入し、強固な目標や重要度の高い目標を精密誘導兵器で攻撃するのに適している。外部パイロンに兵器を搭載すれば、レーダー反射断面積が増えてステルス性が損なわれる。

この2機種は、重層的な攻撃編隊を形成する。ワイルド・ウィーゼルが攻撃編隊を先導または護衛し、イランのレーダー要員にシステムを作動させたうえで、反応した電波発信源を破壊する。続いてF-35が、電磁波上の脅威が抑えられた環境を利用し、本来なら防御されている目標へ到達する。両機種とも空中給油に対応しており、同行するKC-135R給油機によって、作戦地域の外にある基地からイラン西部や南部の沿岸地域にある目標へ到達するのに必要な航続時間を確保できる。

7月18日には、イタリアのアヴィアーノ空軍基地から、さらに7機のF-16CM編隊が給油機の支援を受けて東へ向かっているのが追跡された。過去4日間に欧州からCENTCOM担当区域へ移動した戦闘機の累計規模は、近年でも特に大規模なNATOの前方展開を支える兵站作戦の一つとなっている。

■9夜目の空爆対象とイランの反撃

CENTCOMは日曜日午後7時(米国東部時間)、イランに対する「9夜連続となる新たな空爆を開始した」と発表した。標的となったのは、軍事指揮センター、防空・沿岸監視施設、海上戦力、ミサイル・ドローン発射施設、通信ネットワークである。発表された目的は、「ホルムズ海峡を通過する商船と民間船員への攻撃に使われるイランの軍事能力を引き続き低下させること」である。

CENTCOMが公開した映像には、戦闘機とトマホーク巡航ミサイルによる攻撃とみられる山岳地帯の標的が含まれていた。イラン国営通信IRNAは、イランが西部ロレスタン州から「敵の標的」に向けて報復のミサイル攻撃を実施したと報じたが、具体的な攻撃対象は明らかにしなかった。イラン現地時間の月曜日未明には、国内各地で爆発が報告された。

また、イラン原子力庁は、南西部フーゼスターン州で計画されているダルホビン原子力発電所の建設現場が、夜間の攻撃の応酬で被弾したことを確認した。同発電所は、ペルシャ湾から北へ約100キロメートル離れたカルーン川沿いに建設が計画されている、出力300メガワットの加圧水型原子炉である。イラン原子力庁は、この攻撃を「国際法に違反する侵略的かつ野蛮な行為」と非難し、国際原子力機関(IAEA)事務局長に対応を求めた。IAEAは調査中であることを確認する一方、施設は建設の極めて初期段階にあり、直近の査察時点では核物質が存在せず、放射線上のリスクをもたらすとは考えられないと述べた。

■枯渇する弾薬と再建に必要な時間

今回の航空戦力増強は、独立系アナリストが実質的な制約とみなす装備・弾薬事情を背景に行われている。CSISの調査によると、39日間に及んだ初期作戦「オペレーション・エピック・フューリー」により、少なくとも4種類の重要弾薬の在庫が戦前の半分を下回る水準まで減少した。最も減少した4種類、すなわちトマホーク巡航ミサイル、THAAD迎撃ミサイル、パトリオット迎撃ミサイル、スタンダード・ミサイル(SM-3およびSM-6)は、西太平洋で想定される有事でも特に必要とされるシステムである。

元米海兵隊大佐でCSIS上級顧問のマーク・カンシアン氏は、THAADについて、在庫減少の面で「おそらく最悪」だと述べている。国防総省の補正予算関連文書で確認されたところによると、米軍は作戦開始後の16日間だけで、総在庫の約40%に相当する推定198発のTHAAD迎撃ミサイルを使用した。ロッキード・マーティンによる現在の増産時の生産量は年間96発である。6月24日に締結された353億ドル(約5兆7539億円、1ドル=163円換算)の契約は、これを年間400発へと約4倍に増やすことを目指している。しかしCSISの分析では、契約規模にかかわらず、在庫の完全な回復は2029年末まで完了しないとみられている。再建を制約しているのは資金や政治的意思ではなく、複雑なシステムの製造に34~39か月のリードタイムが必要なことである。

トマホークの補充スケジュールも同様の制約を受けている。現在、米軍の在庫には月約15発が納入されている。イランでの戦争で使用されたトマホークの補充が完了するのは、2030年後半になる見通しである。パトリオット迎撃ミサイルは月約20発が米軍の在庫に加わっており、それ以外の生産分はウクライナと、パトリオットを運用するほかの17カ国に供給されている。パトリオットの在庫を戦前の水準へ戻すには、2027会計年度の調達要求に基づく納入が始まる、2029年5月ごろまでかかるとみられる。

さらに状況を複雑にしているのが重要鉱物の問題である。レーダー誘導システムや電子戦装備の増産は、先進レーダー、ミサイル誘導装置、赤外線光学機器向けの化合物半導体に使われるガリウムとゲルマニウムに依存する。中国は世界生産のうち、ガリウムで約98%、ゲルマニウムで約60%を占めている。国防総省は7月、代替供給源の構築に着手するため、インディアナ州の精製事業者に2500万ドル(約40億7500万円、1ドル=163円換算)を投資したが、米国内にはまだ商業規模の生産能力がない。

ワシントン・ポスト紙に提供された米当局者による非機密の評価では、減少する迎撃ミサイルの予備在庫が、さらなる戦力増強の制約になっているという。ピート・ヘグセス国防長官は先月、補充には「兵器システムによって数か月から数年」かかると公に認めた。

■作戦を支える給油機とイスラエルへの展開

戦闘機とともに追加の空中給油機を展開することは、作戦到達範囲を確保するうえで重要である。2026年5月の作戦ピーク時には、陸上基地と海上を拠点とする100機以上の航空機が、作戦地域全体を継続的にカバーした。欧州の基地からこのペースで戦闘作戦を続けるには、給油機を常時展開する必要がある。イラン南部・西部の沿岸地域や内陸部の目標に到達するため、航空機は展開時の移動と攻撃任務の双方で空中給油を必要とする。

イスラエルメディアが報じ、イスラエル当局者も認めたところによると、週末に14機の米軍給油機がイスラエルへ到着した。これにより、米軍の攻撃編隊の到達範囲と滞空・作戦継続能力が拡大した。同当局者は米軍の全体的な態勢について、エスカレーションではなく「調整」だと説明した。しかし、別の米当局者はワシントン・ポスト紙に対し、軍は「より広範な戦争を想定して計画している」と語った。

■公には語られない「太平洋のギャップ」

弾薬をめぐる各種の数値の背後にある戦略的懸念は、イランそのものとは関係がない。THAADとパトリオットの迎撃ミサイル、トマホーク巡航ミサイル、艦艇発射型のSM-6迎撃ミサイル、長距離攻撃ミサイルJASSMは、作戦立案者が西太平洋での有事に不可欠と位置付けているシステムである。これは、高度な能力を持つ敵を相手に、長距離攻撃と重層的なミサイル防衛を継続するシナリオを意味する。オペレーション・エピック・フューリーが始まる前から、これらの米軍備蓄は、同等の軍事力を持つ国との大規模紛争には不十分だと考えられていた。イランとの戦争は、以前から存在していた不足を著しく深刻化させた。

生産ペースを加速させたとしても、「現在の問題は資金ではなく時間だ」とCSISの分析は指摘している。航空作戦が一夜続くたびに、米軍の在庫へ戻るまで何年もかかる弾薬が消費される。現在、作戦地域へ急派されているF-16CJとF-35Aも、出撃拠点となる基地を守るために、同じ迎撃ミサイルを必要とする。

■ホルムズ海峡の封鎖とイランの防衛

この作戦で公表されている目的は、引き続きホルムズ海峡に関するものである。紛争前には、世界の石油系液体燃料の約20%と、海上輸送される原油の約25%が同海峡を通過し、1日当たりの通航隻数は60~140隻だった。イランが3月初旬に海峡の閉鎖を宣言して以来、タンカーの通航量は急減した。ブルッキングス研究所は、年央までに同海峡の商業船舶の通航が「ほぼ停止状態」に達し、通航を試みる船舶は保険を利用できないか、保険料が極端に高額になっていると説明した。

米国は4月13日、イランの港湾に対する海上封鎖を開始した。これに加え、イランが船舶の通航を妨害する能力を支える沿岸レーダーと海上関連インフラを空爆している。この対応が、防空網制圧(SEAD)を重視する現在の部隊展開を必要としている。商船が海峡を通航できる状態を保つには、イランのレーダーと沿岸防衛システムが船舶への攻撃を誘導できないようにする必要がある。それらのシステムを弱体化した状態に保つために、ワイルド・ウィーゼルが必要となる。

■外交ルート:同時に送られる2つのメッセージ

マルコ・ルビオ国務長官は日曜日、CENTCOMが9夜目の空爆を発表する一方で、「米国は常に外交的解決を受け入れる用意がある」と述べた。トランプ大統領はCENTCOMの発表後、イランは「非常に、非常に大きな損害を受けた」「軍事面ではほぼすべてを失った」と語った。

現在の戦闘は、一時的に主要作戦を停止させていた、パキスタン仲介の枠組み「イスラマバード覚書」の崩壊を意味する。同覚書は6月17日に署名され、イランは7月18日に履行を停止した。その後、イランによる攻撃は地域全体へ拡大した。クウェートとバーレーンは、イランのドローンやミサイルに対して防空システムを繰り返し作動させている。ヨルダンは日曜日、イランの弾道ミサイル3発が自国領内に着弾したと報告した。ヨルダン軍によると、迎撃システムが飛来した複数の脅威を無力化し、4発目は南部の遠隔地に着弾したが、死傷者は出なかった。ヨルダンはその後、イランの臨時代理大使を召喚した。イスラエルは、ヨルダンの港湾都市アカバを狙ったミサイルが、隣接するイスラエルの都市エイラートを危険にさらす可能性があると警告した。

7月17日には、ヨルダンでイラン側の攻撃により米軍人2人が死亡した。戦闘再開後、イランによる直接攻撃で米軍に死者が出たのは初めてである。また、米軍人1人が現在も作戦行動中行方不明となっている。

■注目ポイントQ&A

●ワイルド・ウィーゼルとは何ですか?なぜ今イランに派遣されているのですか?

ワイルド・ウィーゼルは、敵のレーダーや地対空ミサイルシステムを捜索・破壊するために設計されたF-16の特殊派生型で、具体的にはF-16CJブロック50です。AN/ASQ-213 HARMターゲティング・システム・ポッドとAGM-88対レーダーミサイルを装備し、レーダー電波を受動的に検知して、敵がほかの航空機へミサイルを誘導する前にレーダーを破壊します。9夜にわたる空爆の後もイランの統合防空システムが完全には制圧されておらず、現実に活動している脅威へ対処するために派遣されています。

●米国のミサイル在庫はどの程度減少し、いつ回復しますか?

CSISの調査によると、39日間の初期作戦により、THAAD、パトリオット、トマホーク、スタンダード・ミサイルという少なくとも4種類の重要弾薬の在庫が、戦前の半分を下回る水準まで減少しました。現在の生産計画では、THAADの完全回復は2029年末、パトリオットが戦前の水準へ戻るのは2029年5月ごろ、使用したトマホークの補充は2030年後半になるとみられます。再建の主な制約は資金ではなく、約34~39か月に及ぶ製造リードタイムです。

●これは中国が関係する潜在的な紛争への米国の即応態勢に影響しますか?

独立系アナリストによると、影響します。THAAD、パトリオット、トマホーク、艦艇発射型のSM-6迎撃ミサイルは、西太平洋での有事に向けて優先されているものと同じシステムです。CSISは、イランでの戦争によって、在庫が回復するまで続く「脆弱性の窓」が生じたと指摘しています。在庫回復には、増産契約を前提としても数年かかります。一方、CSISは、米国の最近の戦闘実績を認識している中国にも「最近の実戦経験がない」と明記しており、それが短期的な抑止の維持に寄与する可能性があります。

●イランの防空システムの現状は、作戦期間にどう影響しますか?

イランのレーダーと防空インフラを狙った9夜の空爆後も、ワイルド・ウィーゼルを投入する必要があることは、イランの統合防空システムが、専用の制圧支援を伴わない米軍の攻撃編隊を脅かせるだけの能力を維持していることを示しています。これは作戦が失敗したことを意味するものではなく、イランが相当な規模と厚みを持つレーダー・ミサイル防衛網を備えていることを意味します。空爆を重ねればその能力がさらに低下する可能性はありますが、作戦開始からこの段階で防空網制圧の専門機が投入されることは、イラン上空の防空脅威を十分に抑えるまでの期間が、1週間程度の空爆だけで達成できるものより長いことを示唆しています。

元記事: Wild Weasels and Stealth Jets Surge to Iran as US Missile Stocks Hit Critical Low

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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