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SpaceX、B1082の23回目の飛行でStarlink V2 Mini衛星24機を打ち上げへ

(Spacex.com)[写真拡大]
SpaceXは、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から、24機のStarlink V2 Miniブロードバンド衛星を搭載したFalcon 9ロケットを打ち上げる予定だ。今回使用するブースター「B1082」は23回目の飛行となる。極地や高緯度地域のカバーを強化するミッションである一方、SpaceXでは次世代のStarlink V3衛星をStarshipで展開する計画も進んでいる。
■ヴァンデンバーグからの打ち上げスケジュール
SpaceXは、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地にある第4東発射施設(SLC-4E)から、24機のStarlink V2 Miniブロードバンド衛星を地球低軌道へ打ち上げる計画だ。打ち上げ予定時刻は太平洋夏時間(PDT)の7月20日午前7時(協定世界時14時、日本時間7月20日午後11時)で、打ち上げウィンドウは同午前11時(日本時間7月21日午前3時)までとなっている。
「Starlink Group 17-39」と名付けられたこのミッションは、当初7月18日に予定されていたが、射場スケジュールの競合により2日間延期された。今回の打ち上げでは、23回目の飛行となるFalcon 9ブースター「B1082」が使用される。23回使用されるロケットの第1段に、前世代の約4倍のユーザー向け通信容量を1機当たりで提供する衛星を搭載する構成は、SpaceXが地球低軌道ブロードバンド市場で築いてきた優位性を示している。
上昇時およびブースターの帰還時には、気象条件によってサンタバーバラ郡やベンチュラ郡、ロサンゼルス都市圏で1回以上のソニックブーム(衝撃波による爆音)が聞こえる可能性がある。SpaceXは打ち上げの約10分前から、公式チャンネルおよびXでライブ配信を行う予定だ。打ち上げから約8分後には、ドローン船「Of Course I Still Love You」へのブースター着陸が予定されており、衛星の放出は通常、打ち上げから1時間以内に行われる。
■B1082の23回目の飛行とブースター再利用のコスト
今回使用されるブースター「B1082」は、2024年初頭に運用を開始した。これまでに「USSF-62」「OneWeb Launch 20」「NROL-145」と、19回のStarlink打ち上げを含む政府・商業ミッションに投入されてきた。今回の飛行では、太平洋上に待機するドローン船「Of Course I Still Love You」への着陸を目指す。
この23回目の飛行の背景には、ブースター再利用による経済性がある。SpaceXが2026年6月の新規株式公開(IPO)に先立って提出したS-1登録届出書によると、同社はBlock 5ブースターを25回の飛行にわたって減価償却している。このため、B1082のハードウェアコストは会計上、ほぼ全額が償却済みとなる。
さらに、1飛行当たりの改修費用は30万ドル(約4,860万円、1ドル=162円で換算)未満で、当初の製造コストの1%未満だ。今回のようなミッションで残る主なコストは、推進剤、ドローン船の運用、地上支援、打ち上げ前のスタティックファイア試験にかかる人件費である。これを24機の衛星で分担するため、衛星1機当たりの輸送コストは、競合他社が現在、使い捨てロケットで実現している水準の一部にとどまる。
B1082は、SpaceXの保有機の中で最も飛行回数が多いブースターではない。その記録はB1067が保持している。B1067は2026年7月9日、「Starlink 10-42」ミッションでケープカナベラルから29機のStarlink衛星を打ち上げ、ロケットブースターとして史上初めて36回目の軌道ミッションを完了した。SpaceXはBlock 5を最大40回の飛行を設計目標として開発しており、その水準に到達する可能性が高いブースターは増えつつある。
■前世代V1.5からV2 Miniへの進化
今回打ち上げられる24機の衛星は、SpaceXが2023年2月に初めて打ち上げたV2 Mini世代に属する。その重要性を理解するには、前世代から変更された点を見る必要がある。
前世代のV1.5衛星は質量が約295~306kgで、ユーザーや地上中継局との通信にKuバンドおよびKaバンドのフェーズドアレイアンテナを使用していた。十分な性能と信頼性を備えていた一方、すべてのデータパケットを、衛星から見通せる範囲にある地上局を通じて中継しなければならないという構造上の制約があった。この依存関係により、稠密な通信サービスを提供できる地域は衛星の軌道だけでなく、地上局の配置にも左右されていた。
V2 Miniは、この依存関係を解消する。打ち上げ時の質量は約800kgで、V1.5の約2.5倍だが、増加した重量は通信容量を引き上げる3つの技術的アップグレードに充てられている。
1つ目は、Eバンドを利用するバックホール回線だ。V1.5衛星が地上局との通信にKuバンドとKaバンドだけを使用していたのに対し、V2 Miniは地上とのバックホールリンクにEバンド(71~86GHz)を追加した。バックホールをEバンドへ移すことで、KuバンドとKaバンドの周波数帯をほぼ全面的にユーザー向けダウンリンクへ割り当てられ、インフラ内の中継ではなく、実際の加入者に提供できる帯域幅が大幅に増える。
2つ目は、より高性能なフェーズドアレイアンテナだ。電子制御式のフェーズドアレイは、機械的に向きを変えることなくビームをすばやく形成・変更し、広い地域の多数のユーザーにサービスを提供できる。V2 Miniは、V1.5より大型で高性能なアレイを搭載しており、より細いビームを形成して、衛星1機当たりでより多くのユーザーへ同時にサービスを提供できる。
3つ目は、光学式の衛星間レーザーリンクだ。V2 Miniは隣接する衛星と直接通信できるレーザー端末を搭載し、地上ではなく宇宙空間を経由してトラフィックを運ぶメッシュネットワークを構成する。例えば、アラスカのユーザーから送られたデータは、衛星に到達した後、複数のレーザーリンクを経由して、より低緯度にある地上局付近の衛星へ送られ、インターネットの基幹網に到達できる。これにより、アラスカ周辺に地上局がなくても通信経路を確保できる。この機能は、ヴァンデンバーグから投入される太陽同期軌道のシェルが対象とする、高緯度地域や極域の海上利用者にとって特に重要だ。
Eバンドによるバックホール、高性能なフェーズドアレイ、宇宙空間でのレーザー中継という3つの変更により、SpaceXはV2 MiniのスループットをV1.5の約4倍としている。一方、質量の増加という制約もある。かつて60機のV1.5衛星を収容できたFalcon 9のフェアリングには、V2 Miniは24機しか収容できない。それでも、1機当たりのスループットが4倍であれば、24機によって追加されるネットワーク容量は、従来性能の衛星60機を上回る。V2 Miniのレーザーメッシュは、特にサービスを必要とする地域でネットワークのカバー範囲を改善する効果もある。
■ヴァンデンバーグが担う極地カバーの役割
今回のミッションは、高度約281km、軌道傾斜角97度の太陽同期軌道を目指す。ヴァンデンバーグから太平洋上を南南西方向へ打ち上げることで到達できる太陽同期軌道は、地球表面のほぼすべての地点を、おおむね同じ地方太陽時に通過する。極地や中高緯度地域を一貫してカバーする、高傾斜角の軌道シェルに適している。
ヴァンデンバーグのSLC-4Eは、SpaceXが運用する3つの発射台の中で特定の役割を担う。ケープカナベラル宇宙軍基地のSLC-40とケネディ宇宙センターのLC-39Aは、より低い傾斜角の赤道方向および傾斜軌道への打ち上げに対応し、ヴァンデンバーグは極軌道と太陽同期軌道を担当する。今回のミッションはSpaceXのGroup 17配備の一部で、アラスカ、カナダ、北欧、グリーンランド、極域の海上輸送ルートにおけるコンステレーションのカバー範囲を広げる。これらは、地上ブロードバンドが存在しないか、高コストで信頼性が低い地域である。
■1万機超のメガコンステレーションがもたらす規模と課題
今回打ち上げられる24機は、2026年7月中旬時点で約1万800機の稼働中宇宙機を擁するコンステレーションに加わる。この数は現在、地球を周回している全運用衛星の約65%に相当する。Starlinkは単なるブロードバンドの代替手段ではなく、過去の商業衛星コンステレーションが到達したことのない規模で、世界の通信インフラを構成する存在となっている。
Starlinkのアクティブ加入者数は2026年2月に1,000万人を突破した。この数字はSpaceXのイーロン・マスクCEOとグウィン・ショットウェル社長が公表している。ブリティッシュ・エアウェイズ、ユナイテッド航空、エミレーツ航空、サウスウエスト航空、ルフトハンザ・グループ、シンガポール航空など、主要な各大陸の航空会社がStarlinkの導入契約を結んでいる。貨物船の運航会社は乗組員向けの福利厚生インフラとして採用している。政府や軍もStarlink端末を運用しており、米国防総省は2023年6月から契約に基づいて利用している。
SpaceXは2026年を通じ、平均して3~4日に1回を超えるペースでStarlinkを打ち上げ、上半期だけで1,500機以上を配備した。
一方、この規模は責任と運用負担も伴う。Starlink衛星は2023年12月から2024年5月までの期間だけで、約5万回の衝突回避マヌーバーを実施しており、その運用負担は配備のたびに増えている。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者らは2026年5月、メガコンステレーションの打ち上げによって高高度の大気中に放出されるすすは、同じ質量を地上で排出した場合と比べ、単位質量当たりで約500倍の気候影響を及ぼすと警告した。
■競合Amazonの遅れと次世代V3への移行
地球低軌道ブロードバンド市場におけるSpaceXの主な競合であるAmazonの「Project Kuiper」は、2025年11月に「Amazon Leo」へ名称を変更した。2026年7月中旬時点で、軌道上にある量産衛星は約394機だった。
Amazonが取得した米連邦通信委員会(FCC)の免許では、2026年7月30日までに1,618機を軌道へ投入することが求められていたが、同社はこの基準を達成できない状況だった。FCCは2026年6月、最終的な2029年の配備期限を維持したまま、条件付きの免除を認めた。必要とされる1,618機に対して400機未満という差は、2019年に配備を開始し、競合が追随できない打ち上げ頻度を維持してきたSpaceXの構造的な優位性を示している。
より大きな変化として、SpaceX社内ではV3世代への移行が始まろうとしている。2026年7月23日に延期されたStarshipの「Flight 13」では、実用機能を備えた最初のStarlink V3衛星を搭載し、Starshipから放出する計画だ。V3衛星は質量が約2,000kgで、Starshipの直径9メートルのフェアリングから配備するよう設計されており、Falcon 9で打ち上げるには大きすぎる。
V3はV2 Miniに比べ、1機当たりでさらに1桁大きい通信容量を提供する設計だ。StarshipによるV3衛星の1回の打ち上げで、約60Tbpsのネットワーク容量が新たに追加されると予測されている。これは一般的なFalcon 9によるStarlink打ち上げ1回の約20倍に相当する。今回のV2 Mini衛星24機の打ち上げは、その後継世代が打ち上げに向けて準備されている段階で実施されることになる。
■注目ポイントQ&A
●Starlink V2 Mini衛星は、以前のバージョンと何が違うのですか?
2023年2月に初めて打ち上げられたV2 Miniは、質量が約800kgで、前世代のV1.5の約2.5倍です。増加した重量は、地上局との通信に使うEバンド(71~86GHz)のバックホール、衛星1機当たりでより多くのユーザーに対応できる高性能なフェーズドアレイアンテナ、近くの地上局に依存せず軌道上の衛星間でトラフィックを中継する光学式レーザーリンクという、3つの主要な改良に充てられています。SpaceXは、これらを組み合わせたV2 Miniのスループットを、V1.5の約4倍としています。レーザーリンクは、ヴァンデンバーグから投入される太陽同期軌道シェルが対象とする高緯度地域や極地のカバーに特に重要です。
●なぜSpaceXは同じロケットブースターを何度も再利用するのですか?
Falcon 9の第1段ブースターは打ち上げシステムの中で最も高価な構成要素であり、回収して再飛行させることで、その製造コストを後続のミッションごとに負担する必要がなくなるためです。SpaceXの財務資料では、各ブースターを25回の飛行にわたって減価償却しています。飛行間の改修費用は30万ドル(約4,860万円、1ドル=162円で換算)未満で、製造コストの1%未満です。23回目の飛行となるB1082では、ブースターのハードウェアコストが会計上ほぼ全額償却されているため、今回のミッションでロケット第1段に割り当てられる減価償却費はほとんどありません。保有機の最多記録は、B1067が2026年7月9日に達成した36回です。
●Starlink V3とは何ですか?また、いつV2 Miniと置き換わるのですか?
V3はSpaceXの次世代衛星で、質量は約2,000kgです。Falcon 9のフェアリングには収容できないため、より多くの衛星を搭載できるStarshipの直径9メートルのフェアリングから配備する設計になっています。V3は、V2 Miniの約10倍となる1機当たりのスループットを提供する計画です。実用機能を備えた最初のV3衛星は、2026年7月23日に延期されたStarshipの「Flight 13」で打ち上げられる予定です。Starshipの打ち上げ頻度が高まるまで、Falcon 9によるV2 Miniの打ち上げも継続される見通しで、両世代は数年にわたって並行して配備される可能性があります。
●今回の打ち上げは南カリフォルニアから見られますか?
打ち上げウィンドウは太平洋夏時間の7月20日午前7時から午前11時までで、日本時間では7月20日午後11時から7月21日午前3時に当たります。日中の打ち上げは夜間ほど目立ちませんが、サンタバーバラ郡、ベンチュラ郡、ロサンゼルス郡を中心とする中部・南部沿岸地域では、ブースターの再突入時の燃焼や着陸に伴うソニックブームが聞こえる可能性があります。SpaceXは打ち上げの約10分前から、公式ミッションページとXでライブ配信する予定です。ヴァンデンバーグからの打ち上げが地方空港を思わせる頻度で行われていることもあり、こうした音は地域ではすでになじみのある現象となっています。
元記事: Starlink V2 Mini Launch Today: SpaceX Deploys 24 Satellites from Vandenberg on B1082’s 23rd Flight
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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