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米SecuritizeがNYSE上場と同時に自社株をトークン化、Solana・Avalancheで展開

(Securitize.io)[写真拡大]
デジタル証券プラットフォーム大手のSecuritizeが2026年7月2日、SPAC(特別買収目的会社)との合併を経てニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。同社は上場初日に、12億5000万ドルの評価額のもと、自社普通株2億9500万ドル(約474億9500万円)相当をSolanaおよびAvalancheブロックチェーン上でトークン化して発行。米国の上場企業として、上場と同時に発行体公認の形で自社株をトークン化した初の事例となった。
■SPAC経由でのNYSE上場と高い機関投資家の支持
Securitizeは、Cantor Fitzgeraldの関連会社がスポンサーを務める白地小切手会社(SPAC)のCantor Equity Partners IIとの合併を経て、NYSEへの上場を果たした。ティッカーシンボル「SECZ」での取引は2026年7月2日に開始された。この合併により、上場前の株式評価額12億5000万ドル(約2012億5000万円)に対して約4億ドル(約644億円)の総資金調達を達成した。これは2021年以降の事業会社向けSPAC PIPE(私募増資)としては最大規模の部類に入る。
特に注目すべきは、Cantor Equity Partners IIのクラスA株主による償還請求率が30%未満にとどまった点である。近年のSPAC市場では償還率が80〜90%に達することが常態化している中、この低い償還率は、機関投資家が合併条件やSecuritizeの開示書類(S-4)、規制環境を精査した上で、投資継続を選択したことを示している。共同創業者兼CEOのカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏はX(旧Twitter)上で、「新たなマイルストーンを達成した。NYSEに上場した公開企業として、我々の新しい時代が始まる」とコメントした。
■「発行体公認トークン化」と「合成トークン」の決定的な違い
今回のトークン化において最も重要な法的・技術的特徴は、トークン化されたSECZ株が原資産である株式とどのように結びついているかという点にある。現在市場に存在する多くのトークン化株式は、対象企業が関与しない第三者によって作成された「合成トークン」や「カストディ型トークン」である。これらは仲介者の破産リスクを伴うか、単に株価に連動するだけで、議決権や情報開示請求権などの株主権利は付与されない。
これに対し、SecuritizeのSECZトークンは「発行体公認(Issuer-Sponsored)モデル」を採用している。Securitize自身がブロックチェーン上の記録を公式の株主名簿に直接統合しているため、SolanaやAvalanche上でのトークン移転は、公式名簿上での株式移転と同義となる。トークンと株式は同一の金融商品であり、異なるインフラ上で記録されているに過ぎない。これにより、保有者は完全な所有権、議決権、経済的権利を享受できる。米証券取引委員会(SEC)が2026年1月に発表したスタッフ声明に準拠した初の本格的な実装事例であり、機関投資家にとって法的な適格性を満たす唯一の選択肢となり得る。
■コンプライアンスを自動化する「DS Protocol」の仕組み
Securitizeの技術的基盤となっているのが、独自に開発しオープンソースで公開しているスマートコントラクトフレームワーク「DS Protocol(Digital Securities Protocol)」の第4世代(v4)である。SECZトークンはERC-20規格の上位互換として構築されており、一般的なウォレットや取引所インフラと互換性を持ちながら、オンチェーンでの移転実行前に2つのコントラクトレイヤーが作動する。
1つ目は「コンプライアンス・サービス」である。トークンの移転要求が発生すると、システムが受信者の適格性(適格投資家ステータス、居住国制限、投資家数の上限など)を検証する。移転が拒否された場合はエラーコードが返され、プラットフォーム側で具体的な違反理由を特定できる。2つ目は「レジストリ・サービス」である。保有状況をウォレットアドレスではなく投資家の個人識別情報(ID)単位で追跡する。これにより、同一投資家が複数のウォレットを使用しても、米証券取引所法第12条(g)が定める「株主数2,000人制限」などの規制上限を誤って超過するリスクを防ぐことができる。
■SolanaとAvalancheが選ばれた理由
イーサリアムではなく、SolanaとAvalancheを同時に採用した背景には、明確な技術的トレードオフがある。
Avalancheは、規制対象の金融アプリケーション向けに「サブネット(Subnet)」インフラを強化してきた。これにより、機関投資家はカスタマイズ可能でアクセス制限された実行環境を構築し、インフラレベルでコンプライアンスルールを強制できる。一方、Solanaは圧倒的な処理能力(スループット)と、1回あたり1セントの数分の一という極めて低い取引手数料を誇る。迅速かつ安価な決済が求められるデジタル証券において、Solanaは実用性の高いパブリックチェーンである。実際に、Securitizeが管理し、運用資産残高が30億ドル(約4830億円)を超えるBlackRockのトークン化マネー・マーケット・ファンド「BUIDL」もSolana上で稼働している。
■強力な機関投資家の支援と今後のインフラ展開
Securitizeは2017年にマイアミで設立され、米国におけるSEC登録ブローカー・ディーラー、移転代理人、代替取引システム(ATS)運営者としてのライセンスに加え、欧州のEU DLTパイロットレジーム下での投資企業としての認可も取得している。同社にはBlackRockが2024年に4700万ドルの戦略的投資を主導したほか、ARK Invest、KKR、Hamilton Lane、Morgan Stanley Investment Management、Jump Cryptoなどの有力企業が名を連ねている。2026年6月時点で、同社が管理するトークン化資産は650以上のファンドにわたり40億ドル(約6440億円)を超えている。
さらに、NYSEとの提携も深化している。2026年3月、NYSEはSecuritizeをデジタル移転代理人に指定し、オンチェーン決済とステーブルコインを用いた24時間365日のトークン化株式・ETF取引プラットフォームの構築に向けた覚書(MOU)を締結した。また、米国証券保管振替機関(DTCC)は2026年7月1日に限定的なトークン化パイロットを開始しており、同年10月にはRussell 1000構成銘柄やETF、米国債を対象とした本格的な本番稼働を予定している。Securitizeは、このDTCCの決済バックボーンに接続するオンチェーン発行・移転インフラとしての役割を担う見通しである。
■現時点における制約事項
一方で、投資家が留意すべき制約も存在する。第一に、トークン化されても株式の法的性質は変わらないため、譲渡制限やKYC/AML(顧客確認・マネーロンダリング防止)チェックは引き続き適用され、適格な投資家以外は保有できない。第二に、デジタル証券セクター全体の課題として、従来の株式市場に比べてセカンダリーマーケット(二次市場)の流動性が極めて薄い点が挙げられる。第三に、NYSEが計画している24時間取引プラットフォームは未だ開発段階であり、現在は既存のT+1決済サイクルなどの市場インフラに依存している。10月に予定されるDTCCの本格稼働が、これらの状況を変える次の節目になるとみられる。
■注目ポイントQ&A
●発行体公認トークン化とは何ですか?合成トークン化株式と何が違いますか?
発行体公認トークン化とは、株式の発行元企業(今回の場合はSecuritize)がブロックチェーン上の記録を公式の株主名簿に直接統合する仕組みです。これにより、オンチェーンでのトークン移転が公式名簿上の株式移転と同等になり、完全な所有権や議決権が付与されます。一方、合成トークンは第三者が企業の関与なしに作成したもので、単に株価に連動するだけであり、株主としての権利は一切付与されません。
●一般の個人投資家もSolanaやAvalancheでトークン化されたSECZ株を購入できますか?
トークン化されたSECZ株を購入するには、Securitizeの規制されたプラットフォームを通じて、本人確認(KYC/AML)や適格性審査を含むオンボーディングプロセスを完了する必要があります。また、居住国による制限も適用されます。これらのプロセスを経ずに簡単に投資したい個人投資家は、通常の証券会社を通じてNYSEに上場しているSECZ株を購入することができます。
●現時点におけるデジタル証券(トークン化株式)の技術的・環境的な限界は何ですか?
主に3つの制約があります。1つ目は、トークン化されても譲渡制限などの法的規制は免除されず、常にコンプライアンスチェックが必要な点です。2つ目は、従来の株式市場に比べて二次市場の流動性が大幅に不足している点です。3つ目は、24時間365日の取引を可能にするインフラ(NYSEの取引プラットフォームやDTCCの本格的な決済サービスなど)がまだ完全には稼働していない点です。
元記事: Securitize Tokenizes $295M of Its Own NYSE Stock on Solana and Avalanche
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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