NTTとの連携で存在感を増すスカパーJSATHD

2026年3月25日 13:54

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●NTTとスカパーJSATが新サービスを発表

 NTTとスカパーJSATは、2030年までに、人工衛星で観測した地表や気象などのデータを光技術により、高速・大容量で伝送するサービスを開始することを発表した。

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 両社は2021年5月から連携しており、2022年7月にはそれぞれ50%ずつ出資して、Space Compassを設立した。

 スカパーJSATホールディングス(HD)は、防衛省向け宇宙・衛星事業の受注拡大と2026年3月期決算の業績が好調だったことも好感され、中東情勢で乱高下する中、3月16日には上場来高値を更新した。

 スカパーの衛星技術に加え、将来的にはNTTの次世代光通信基盤であり、省電力・高速大容量伝送が特徴のIOWN(アイオン)の活用で、両社の強みを活かす。

 民間主体での衛星サービスは前例がなく、日本の衛星ビジネスの広がりも期待される。

●なぜスカパーが衛星に強いのか?

 スカパーJSATは、1985年に日本初の民間の衛星通信事業としてスタートし、1989年には日本初の民間通信衛星「JCSAT-1」を打ち上げた。

 1996年にパーフェクトTV(後のスカイパーフェクトTV)を開局し、デジタル多放送チャンネルを開始。2002年の日韓サッカーW杯やイタリアプロサッカーリーグ「セリエA」の放送権獲得などに成功した。

 一般的にはメディア事業のイメージが強いが、17基の静止衛星を保有するアジア最大の衛星通信業者でもあり、売上では宇宙事業とメディア事業は半々だが、営業利益では宇宙事業はメディア事業の3倍ある。

●新サービスでどう変わる?

 従来は衛星が取得した膨大なデータを地上に送って処理していたが、通信容量の限界が課題だった。

 両社の連携により、宇宙空間でAI解析やデータ処理を行うことができる。衛星間と地上間を光で結ぶことにより、現在の数百倍の通信容量を目指す。

 日本政府の宇宙関係予算は、令和8年度は前年度から12%増の1兆446億円となる見通しで、初めて1兆円を突破する。各省庁共に衛星を活用した分野の予算を計上しており、衛星の需要は高まる。

 地表などの観測データは軍事基地の把握などにも使われ、日本だけでなく、各国政府や防衛関係企業での需要も高まるだろう。

 短期的、長期的のいずれの視点でも、NTTとスカパーJSATの需要は高まるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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