西華産業の好収益と右肩上がりの株価動向には、それなりの理由がある

2025年12月2日 14:01

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 西華産業(8061、東証プライム市場)。三菱系機械商社。発電プラントを軸に三菱重工と親密。

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 株主手帳のZoomIR企画で、1年半ぶりに櫻井昭彦社長の話を聞く機会を得た。前回の取材時は昨年6月12日の企業・産業欄に、『株価を意識した経営を掲げる西華産業に、中長期投資の魅力を覚える』と題する原稿を投稿した。今回の取材でも、その意を改めて強くした。

 西華産業はいま、至2027年3月期の中計と、至31年3月期の長期ビジョン実現に向けた歩みを進めている。そして中期計画・長期ビジョン双方とも進行過程で「上方修正」。前者は「売上高1200億円、営業利益62億円」、後者は「売上高1800億円、営業利益120億円」を掲げている。

 前回の取材の際にも櫻井氏は中長期施策として、「財務の健全性を維持しつつ強いBSを活かし、100億円規模の成長投資を実行する。具体策は目下、鋭意検討中」とした。

 今回の取材に先立ち「100億円規模の成長投資の具体策」を、ホームページ上の会社資料を探してみた。

 「100億円規模の事業投資による既存事業の深化と事業領域の拡張。新たな収益基盤の獲得とし、M&Aによる新たな柱の獲得」とする記述に出会った。櫻井氏に「具体的な動き」を質した。こんな答えが返ってきた。

 「10月に長らく取引関係にあった旭サナック(塗装機械・圧造機械・ニューコンポーネント事業を手掛ける創業1942年の老舗)を子会社化した。成長事業への注力のためだ。ようやく発表できてホッとしている」。また東京産業(8070、東証プライム市場)の株式の取得も行っている。新規・成長事業立ち上げに、着実に歩を進めている。

 西華産業は櫻井体制下で「ビルト」されたといって過言ではない。不採算事業をスクラップし中軸事業の再構築で、2022年3月期以降成長段階入りしている。収益動向に明らか。前記した「中計」「長期ビジョン」の進行にも反映されている。

 意地悪な質問をぶつけた。「18年4月に社長に就任。荒療治を経て成長路線を歩んできた。また来年も再来年もこうした機会にお目にかかれると期待してよいか」。

 返ってきた答えは、「社員が資産。がパンフレット販売は志向していない。顧客ニーズ沿った商社を標榜している。従い工場管理や生産管理などで、社内の人材体制が不可欠。充分とは言い難いのが事実」。「まだやらねばならないことは多々ある⇒続投」意向と、聞き取れた。

 本稿作成中の株価は2400円台前半水準。11月6日の年初来高値2514円のゾーン内。スクラップ&ビルト/株主還元策(自社株買い)効果で、10年弱の修正済み株価パフォーマンスは5倍強。中長期構えで対応するべきと・・・。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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