ITエンジニア需要拡大を見据えた学生起業家、TSSは僅か7年で上場

2025年10月10日 14:19

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 TWOSTONE&Sons(7352、以下TSS、東証グロース市場)。フリーのITエンジニアと企業のマッチングが中軸事業。企業向けIT・戦略コンサルティングも展開している。

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 TSS(当時はBrandingEngineer)に驚かされたのは、2020年7月の上場時だった。公開価格490円に対し、初値2920円で生まれた。その時点での予想PERは129.55倍。20年はIPO人気が急膨した年だった。が公開価格比6倍近い初値にはビックリした。IT人材への需要急増という「時の流れ」が背景だったにしても・・・である。

 確かに経産省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(2016年6月10日発表)」でも既に、「今後ますますIT人材不足が深刻化する」とし「2015年の人材不足は約17万人だったが、30年には約59万人に及ぶ」としていた。

 対して昨今「ITエンジニアには将来性がない」とする論も出始めている。「ハードワークで体力を消耗する/AIの発展によりITエンジニアの仕事の一部が奪われる」などが根拠として挙げられているが・・・

 TSSの収益動向を見る限り、そうした見方は「?」を抱かざるをえない。実質上の上場初年度:2020年8月期こそ「人材確保への多額投資」で「10.3%増収(31億1000万円)、29.2%営業減益(1億100万円)」となったが以降の推移は「42億8300万円、1億2700万円/60.4%増収、52.9%増益/46.4%増収、63.5%増益/42.1%増収、48.6%増益」、そして今8月期も「30.2%増収(186億円)、114.8%増益(10億1800万円)」計画。第3四半期時点で「134億200万円、8億8900万円」。

 TSSは現代表:川端保志CEO、高原克弥COOにより2013年に創業された。ともに電気通信大学大学院同級生。学生起業家である。河端氏は創業を、こんな風に振り返っている。

 「スマホの登場で(IT絡みの)市場が激しく変化していた。そんな時期に前身のブランディングエンジニアを興した。ゴールドラッシュの時に金を取りにいった人でなくつるはしを作った商人が一番儲かったように、市場が変化する時の確実に必要とされるエンジニアのリソースにフォーカスした事業から始めた」。

 僅か7年で上場。株価動向はIPO高値を振り落とし、10万円で単位株投資が可能な水準にある・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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