TACは25年3月期2Q累計大幅増益、通期も上振れの可能性

2024年11月7日 09:30

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  TAC<4319>(東証スタンダード)は11月6日に25年3月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。計画を上回る大幅増益(11月1日付で上方修正)だった。個人教育事業が堅調に推移したことに加え、営業コスト構造の見直しや全社ベースの業務効率化の効果が寄与した。通期連結業績予想は据え置いたが、第2四半期累計の上方修正を勘案すれば通期も上振れの可能性が高いだろう。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は上方修正を好感して急伸し、年初来高値を更新した。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期2Q累計大幅増益、通期も上振れの可能性

 25年3月期第2四半期累計(中間期)連結業績は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比0.1%増の101億35百万円、営業利益が3.5倍の8億23百万円、経常利益が3.7倍の8億44百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が3.3倍の5億77百万円だった。

 計画を上回る大幅増益(11月1日付で上方修正)だった。前回予想(5月15日公表値、売上高101億12百万円、営業利益4億95百万円、経常利益4億70百万円、中間純利益3億13百万円)に対して、売上高は23百万円、営業利益は3億28百万円、経常利益は3億74百万円、中間純利益は2億64百万円、それぞれ上回った。

 個人教育事業が堅調に推移して売上高が計画を上回ったことに加え、営業費用についてオンライン受講の拡大に伴い教室受講を前提としたコスト構造の見直しを行った成果が出始めていること、さらに全社ベースの業務効率化の効果も寄与して売上原価と販管費が計画を下回り、各利益の増益幅が拡大した。また経常利益と中間純利益については、営業外収益に受取保険金約37百万円を計上したことも寄与した。

 個人教育事業は現金ベース売上高が1.7%増の54億93百万円で現金ベース営業利益が3億63百万円(前年同期は2億29百万円の損失)、法人研修事業は現金ベース売上高が2.6%減の23億54百万円で現金ベース営業利益が1.1%増の6億27百万円だった。受講者数は個人受講者が0.6%減の7万3733人、法人受講者が4.1%減の5万2476人、合計が2.1%減の12万6209人だった。講座別(個人と法人の合計ベース)は、税理士講座が2.2%増、不動産鑑定士講座が16.0%増、FP講座が13.5%増、建築士講座が42.5%増、行政書士講座が13.4%増、CompTIA講座が12.0%増となった一方で、簿記検定講座が3.2%減、公認会計士講座が15.6%減、証券アナリスト講座が13.5%減、公務員の国家総合職・外務専門職講座が14.9%減、公務員の国家一般職・地方上級講座が9.7%減等となった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が6.5%増の19億88百万円、営業利益が26.1%増の3億92百万円だった。旅行ガイド等の売上が減少したが、前期末に計上された返金負債の戻入などが寄与して増収増益だった。人材事業は売上高が1.2%減の3億15百万円、営業利益が0.1%増の84百万円だった。TACプロフェッショナルバンクの会計系人材事業、医療事務スタッフ関西の医療系人材事業とも概ね堅調だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が50億23百万円で営業利益が3億18百万円、第2四半期は売上高が51億12百万円で営業利益が5億05百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が24年3月期比1.1%増の192億20百万円、営業利益が2億70百万円(24年3月期は3億07百万円の損失)、経常利益が2億20百万円(同3億29百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円(同2億19百万円の損失)としている。配当予想は、24年年3月期比2円減配の4円(第2四半期末2円、期末2円)としている。予想配当性向は48.4%となる。

 グループの持続的な事業活動と中長期的な成長を推進するための重点施策として、オンラインでの学習環境強化と講座開発、営業人材育成による営業強化、需要の大きいDX関連研修の拡販、TAC出版書籍販売サイトのリニューアル、会計人材紹介事業の成約率向上、直営校の校舎規模の適正化、講座運営体制の抜本的見直し、全社的な作業効率の追求などを推進する方針だ。また株価純資産倍率(PBR)の改善にも取り組むとしている。

 通期連結業績予想は据え置いたが、第2四半期累計の上方修正を勘案すれば通期も上振れの可能性が高いだろう。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。

■株価は急伸して年初来高値更新

 株価は上方修正を好感して急伸し、年初来高値を更新した。1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月6日の終値は222円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS8円27銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS323円28銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約41億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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