加賀電子は25年3月期2Q累計減収減益だが計画比上振れ、下期回復見込みで通期予想据え置き

2024年11月7日 09:30

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  加賀電子<8154>(東証プライム)は11月6日に25年3月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。減収減益だった。電子部品事業における主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、人件費増加なども影響した。ただし社内計画比では上振れて着地した。そして下期は需要が回復に向かうと見込み、通期予想を据え置いた。なお次期中期経営計画(26年3月期~28年3月期)も発表した。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■25年3月期2Q累計減収減益だが計画比上振れ、通期予想据え置き

 25年3月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は売上高が前年同期比5.8%減の2590億64百万円、営業利益が17.1%減の115億01百万円、経常利益が19.1%減の112億78百万円、そして親会社株主帰属四半期(中間)純利益が30.4%減の79億41百万円だった。

 減収減益だった。売上面は電子部品事業における主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、一部の特定大口顧客向け取引縮小も影響した。利益面は、販売ミックス良化で売上総利益の減少が2.9%減にとどまったが、人件費や物流費など販管費の増加も影響した。ただし社内計画比では売上高が約40億円、営業利益が約15億円、それぞれ上振れて着地した。なお営業外では為替差損が増加(前期は2億91百万円、当期は9億95百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は10億74百万円、当期は76百万円)したほか、前期計上の負ののれん発生益4億81百万円と関係会社清算益4億80百万円が剥落した。

 電子部品事業は売上高が6.9%減の2258億66百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.4%減の86億79百万円だった。減収減益だった。EMSビジネスは車載向けや産業機器向けが堅調だったが、部品販売ビジネスにおける主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、子会社エクセルの海外子会社における特定大口顧客向け取引縮小も影響した。

 情報機器事業は売上高が10.1%減の186億33百万円、利益が8.7%増の13億92百万円だった。売上面は量販店向けパソコンが低調だったほか、LED設置ビジネス大口案件の一巡も影響して減収だが、利益面はセキュリティソフトの好調などで利益率が向上して増益だった。

 ソフトウェア事業は売上高が20.1%増の14億71百万円、利益が2.3倍の2億56百万円だった。CG映像制作が堅調に推移して増収増益だった。その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が24.2%増の130億93百万円、利益が75.6%増の10億94百万円だった。パソコン製品・周辺機器のリサイクルビジネス、アミューズメント機器、スポーツ用品の販売が好調に推移して大幅増収増益だった。

 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が8.3%減の96億89百万円、加賀EFIが59.1%減の9億91百万円、エクセルが19.8%減の6億93百万円、中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が37.3%減の50億19百万円、EMSが0.5%増の41億64百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が8.7%増の13億92百万円、その他が2.3倍の8億47百万円だった。

 また全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1286億38百万円で営業利益が55億50百万円、第2四半期は売上高が1304億26百万円で営業利益が59億51百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比2.3%増の5550億円、営業利益が0.6%増の260億円、経常利益が0.1%増の260億円、親会社株主帰属当期純利益が11.5%減の180億円としている。配当予想は第2四半期末が110円、期末が55円としている。24年10月1日付株式2分割を考慮して換算すると、24年3月期は年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、25年3月期も24年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)となる。予想配当性向は32.1%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が2.1%増の4825億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が0.1%増の209億円、情報機器事業の売上高が1.6%増の450億円で利益が2.6%増の30億円、ソフトウェア事業の売上高が16.8%増の30億円で利益が8.1%増の4億円、その他事業の売上高が5.4%増の245億円で利益が9.3%増の17億円としている。営業利益(前期比+2億円)の変動要因は販売数量・販売ミックスで+16億円、人件費増加(賃上げ、新卒採用、定期昇給など)で▲15億円、その他経費で+1億円の見込みとしている。

 営業・経常利益横ばい予想としている。需要面については下期からの本格回復を見込んでいる。利益面では賃上げ等による人件費の増加を販売数量と販売ミックスによって吸収する見込みだ。第2四半期累計の進捗率は売上高47%、営業利益44%、経常利益43%、当期純利益44%とやや低水準の形だが、上期が社内計画比で上振れたことや下期からの需要回復を勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(1株当たり数値は24年10月1日付株式2分割後)は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。11月6日の終値は2827円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS342円53銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の110円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPSを株式2分割後に換算した2871円11銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約1623億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【株式市場特集】名古屋証券取引所バリュー株に脚光!低PER・PBR、高配当銘柄が続々(2024/10/28)
【株式市場特集】日米選挙控え、金関連株と自社株取得銘柄に注目(2024/10/21)
【株式市場特集】為替と金利動向も見据え、相場の方向性を探る(2024/10/15)
【株式市場特集】中東危機で株式市場に異変、日経平均と個別株の反応に乖離(2024/10/07)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事