厳しい時代を通り抜けてきたコスモスイニシア、収益動向の礎が整備されてきた

2024年10月23日 09:06

印刷

 コスモスイニシア(8844、東証スタンダード)。分譲マンション業界の中堅。収益動向を確認し、正直“ホッ”としている。株を保有しているわけではない。代表取締役会長:高木嘉幸氏の顔をフッと思い出したからだ。

【こちらも】「列島リフォーム」を掲げる:エムビーエスの足元

 コスモスイニシアの前身は、彼のリクルートコスモス。高木氏は学卒と同時に「銀座で特異なビジネスを展開しているリクルートで働くことを夢見て?入社した」。が入社当日に受け取った事例は、「海外での不動産開発」を手掛ける新事業部門。

 “リクルート問題”が表面化した以降の略歴は、携わった「MBO」「ADR再建」が示す通り波乱万丈。数年前に御本人から「早々の驚きの辞令から昨今までの紆余曲折」を聞き「こんなビジネスマン人生もあるのか」と驚き、以来同社の収益動向・株価動向が気になっていた。

 2021年3月期は「60.5%の営業減益」。が以降、着々と回復階段を登ってきている。

 「41.1%営業増益/46.9%営業増益/50.7%営業増益」。そして今期も「7.6%の増収(1340億円)、7.8%の営業増益(80億円)、9.8%の最終増益(47億円)、6円増配26円配」計画。

 業態柄、下期偏重の収益構造。が開示済みの第1四半期は「前年比45.0%増収、21.88倍営業増益、17億4300万円純益(1億2500万円の赤字)」と順調。

 多くの不動産関連業者同様に、「立ち直り顕著な事業部門」の貢献が本格化している。第1四半期の決算内容にそれは、顕著に見て取れる。

 主軸のレジデンス部門は「前年同期比5.9%増も、セグメント利益は64.9%減」。新築・リノベマンションの引き渡し戸数は増加も、販売の長期化に伴う一部完成在庫に対する棚卸資産評価損を計上した結果だ。

 対して、「前年同期比85.6%増収(72億3600万円)、セグメント利益179.1%増(23億3200万円)」の部門が登場している。「宿泊事業」だ。ホテル施設販売額(424.2%増)/ホテル運営(41.2%増)。インバウンド需要の増加を受けた平均客室単価が大幅に改善した結果である。コスモスイニシアは独特のホテルを展開している。「アパートメントホテル」。全室、キッチン・・・・・付き。

 至27年3月期の中計では「売上高1660億円(22年3月期比54.7%増)、営業利益34億円(33倍強)、自己資本比率30%(5.2P上昇)」を掲げている。

 そんなコスモスイニシアの時価は700円台半ば、予想税引き後配当利回り2.75%。PBR0.56倍は課題。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事