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銀河系の星間雲が氷河期をもたらした可能性 ボストン大らの研究
米キャニオンランズ国立公園から撮影され天の川。銀河系には星間雲の濃い場所とそうでない場所が混在している。星間雲の濃い場所を通過する際、氷河期につながる可能性があるという。(c) NPS/Kait Thomas[写真拡大]
地球(厳密には太陽系)は、今日も時速約83万kmという猛烈な速度で銀河系を周回している。だがこの速度をもってしても、銀河系を一周するのに約2億5,000万年を要する。
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ボストン大学の科学者らによる国際研究チームは、この壮大な銀河周回ドラマは、時として地球に氷河期のような気候変動をもたらした可能性があるという説を発表した。
現在の地球は、太陽圏と呼ばれる領域内で太陽の周りを公転している。太陽圏とは分かりやすく言えば、太陽風によって銀河系からの様々な悪影響から守られている領域を指す。
ボイジャーによる観測では、太陽圏は太陽中心から約120天文単位以内の領域とされる。だが星間ガスの密度の濃い領域を通過する際に、この太陽圏が圧縮される現象が起こるという。銀河系の星間ガスによって太陽圏が地球の公転軌道の内側にまで圧縮されると、氷河期がもたらされるというのだ。
今回の研究では、過去の銀河系における太陽の経路を遡った結果、今から200万年前と700万年前に銀河系の星間雲が存在する領域を通過したことを突き止めた。
この時代、地球の上空では星間ガスの悪影響で水素レベルが大きく上昇。このことが夜光雲の発生をもたらし、その結果、太陽光の約7%が遮断され、それが氷河期をもたらす引き金になった可能性があることを明らかにした。
通常の雲は、地上から10km付近に発生するが、夜光雲は地上約75~85kmの中間圏界面付近で発生する。そのため太陽が地平線以下にあっても、日光に照らされて青白く輝く性質がある。また上空の水素ガスが豊富な夜光雲は、より低空にある雲の水蒸気上昇をもたらし、これが太陽光を遮断するというシナリオだ。
太陽風は、太陽活動によってもたらされる荷電粒子の流れで、太陽系では秒速400ないし800kmの速度を有する。これが銀河系のあらゆる方向から飛来する、生命にとって有害な宇宙線を跳ね返し、地球生命を守ってくれている。
だが現在の地球の温暖な気候も、太陽風が銀河系の星間ガスの悪影響から保護していることによって維持されているかもしれないという、今回の研究の結論は、我々に太陽のありがたみをますます実感させるものだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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